【演劇】 ワークインプログレス

ワークインプログレス

 

昨日はラゾーナ川崎プラザソルで開催された

ワークインプログレス公演 『ラクリーメ・ロッセの読書会』 に行ってきました。

 

まぁ、行ってきましたといっても自分も内側で関わっているので、お客としてじゃないんだけど。

ちょちょいと開演前の準備を手伝ったり、お客さんの誘導をしたり、ドリンク作ったり。

早い話が当日スタッフ的な (´・ω・`)

 

 

ワークインプログレス(Work in Progress)とは、作成中、進行中、工事中などの意味を持ちます。

演劇においては、「未完成の段階である作品を一般公開する」という意味で使われており、

基本的にはワークインプログレスというと、稽古風景を一般のお客さんに見せることが多いようです。

作品が仕上がっていく段階をお客さんに楽しんで頂くのが目的で、一種のファンサービス的な。

 

 

ただし今回の企画は、ワークインプログレス公演。

そう、公演なのです。

稽古ではなく、あくまで公演。

つまり、完成といっても良い状態の作品をお客さんに見せるわけ。

さらに観劇後には演出家、脚本家、お客さんを交えての討論タイムを用意。

ざっくばらんに各々の観劇の感想を述べ合って、作品をより良くするためにどうしたらいいのかをみんなで話し合うのです。

演出家にとっても、脚本家にとっても、役者にとってもハラハラドキドキな企画ですな(υ´Д`)

 

 

今回の演目の『ラクリーメ・ロッセの読書会』 は滝本祥生さんの作品で、

彼女が主催するB.LET’S (ビーレッツ)という演劇ユニットにて10年近く前に一度上演されています。

 

あらすじは以下のとおり。

とある田舎町、日吉野村。
村の特産品のトマトを加工したトマトケチャップ工場「ラクリーメ・ロッセ」。
一時は繁盛した工場だったが、破たん。そこの女社長であり元女優の片桐美紗子は、村の崖から投身自殺を計った。荒れ狂う海に飲み込まれた遺体はそのまま上がらない。崖に残されていたのは社長がいつも履いていたベージュのハイヒールと、一冊の文庫本のみ。警察は女社長の自殺を断定した。

それから半年後、取り壊しの決まった「ラクリーメ・ロッセ」の男子寮、その休憩室。
寮生のほとんどは去り、最後の5人も今日の午後の電車で出て行くつもり、もうこの村にいることはできない。女社長に憧れていた従業員たちは、せめてもの供養になればと、取り壊しの決まった寮を掃除して回っている。
そこへ従業員の近藤がやってくる。
住む場所もなく、働く場所も無いこの村に一人残るという近藤、彼は女社長の遺した文庫本をひたすら読み続けている。彼に女社長の死を受け入れさせるためにも、その死の真相を突き止める為にも、5人の従業員たちは最後の話し合いを始める。引き合いに出されたのは、女社長が遺書代わりに残したと言われる一冊の文庫本だった。展開する文庫本のストーリーに乗せて、従業員たちの本心が明らかになって行く。
「ラクリーメ・ロッセ」の午後、電車が来るまでの最後の30分間に突如開かれることになった、男たちの読書会の物語。

 

男5人、女1人の上演時間90分のお芝居です。

(本来は冒頭とラストにもう1人女性が出てくるのだけれども、今回の脚本ではカットになっていました)

キャストは小坂竜士、田中惇之、β、織田裕之、緑慎一郎、anna。

4月にやったKAAT公演 『ジレンマが嗤う』や、もじゃへら公演 『ヒヨコマメスープの味』などで共演した面々。

いやぁ、実力派&クセ者揃いだわ。

今回都合がつかなくて出演できなかった自分が悔しい(笑)

 

 

 

で、観劇してみて。

 

身内の立場でいうのもアレなんですが、作品として完成度が高く、非常に面白かったです。

少ない稽古日数でよくぞここまで仕上げたものだと感心しました。

まぁ、セリフのミスもちょこちょこあったし、感情表現の部分では確かに色々アラはあったのだけれども。

演じていた役者の緊張感はハンパなかったみたいだしね(笑)

でも今回の企画の趣旨としては、十分に役割を果たしていたと思う。

みんなお疲れ様!ヽ(`・ω・´*)

 

 

そして討論タイム。

議題である作品が良かったのか、演出家の笹浦さんとMCの丸尾さんのラフでくだけたトークが良かったのか、

お客さんはかなり積極的に手を上げて意見を述べてくれていました。

ありがたいことです。

 

 

「あのシーンが良かった」

「あのセリフが好きだ」

などの率直な感想から、

「ここはこうであったほうがいいのではないか」

というような建設的な意見も多く出していただき、非常に良い形で議論が進んだように思います。

演者のベーちゃんが1回暴走したけど(笑)

まぁ、それはそれで (^▽^;)

 

 

いろんな議題があった中で多くの意見が飛び交ったのは、

終盤が説明過多ではないかという点。

セリフによる状況説明や、わかりやすい感情表現が、

お客が想像して楽しむ余白を奪ってしまっているのではないかということ。

 

このあたりは好みも出るから人によって様々ですね。

謎が解けてすっきりしたい人もいれば、見えない部分を自分で想像したいという人もいる。

一般のお客さんから演劇人まで、いろんな人がいろんな価値観をこの場に示してくれました。

 

自分達作り手は、これらの価値観を全て満たした100点満点の作品を作ることはできないけれど、

吟味に吟味を重ねて100点にできる限り近づける作業はできるはず。

濃密な時間に感謝ですm(_ _ )m

 

また、観客として来ていたカプセル兵団の青木清四郎君や扉座の鈴木利典さんが

ちゃっかり存在感を出していたのも面白い所。

特に青木君は自身のキャラクターを観客にしっかりと晒して他のお客の心を掴んでいて、

その距離を縮めていたような気がする。

 

昔は「俳優は舞台上でしか会えない稀少な存在であれ」っていうブランディングがあって、

有名劇団に所属している先輩からは「客出しに出るな、いつでも会える存在になるな」って教わったこともあったけど、

いまの小劇場界では適しない場合がほとんどだね。

近年のアイドルユニットと同じで、「身近で親近感があって見守っていたい存在」ってのが正解なんだろうなぁ。

 

 

 

うん、ワークインプログレス公演という企画としては成功だったんじゃないでしょうか。

観劇中のお客さんの空気、討論タイムでのお客さんの熱気、

非常に価値のある時間だったと思います。

 

 

今回のワークインプログレス公演を踏まえて、

この『ラクリーメ・ロッセの読書会』 は今年の11月中旬以降で本公演が企画されています。

まだ確定事項が少なくて情報を開示できる状態ではないですが、自分も関わることになりそうな(笑)

いまから楽しみだわコリャ。

 

とりあえずみんなおつかれさま!

ラクリーメ・ロッセの読書会