劇団ロオル LORE.p First project『夜半の月』
最近自分のブログが、浅草グルメネタやコロナ政策へのブーたればっかりで、
「そういうや俺演劇人じゃね!?」っと自分と演劇との疎遠さにショックを受ける今日この頃。
はい、演劇の話題もたまには書かなきゃねぇ。
ってことで今回は配信で観劇した話を。
観劇したのは劇団ロオル LORE.p First project『夜半の月』でございます。
公演基本情報はこんな感じ。
以下、公演特設サイトから引用です。
『夜半の月』
あらすじ:
夢に別れを告げたれば
夜半の月こそ恋しけれ
儚き憂き世に
縁あらんと女は失踪し、男は彷徨い、女は窓外を覗き続けた。
生きにくさに息苦しくもがき続ける三人は、
一体何を求めたのか。
ある夜半、三人は集う。
夜半の月の視線の中、不思議な縁の一夜となるか。作・演出: 本山由乃
主催: LORE.p/劇団ロオル
企画・プロデュース: 本多企画
キャスト: 寺田結美、宮本京佳、梶原航、本山由乃、本多一夫
劇場: 下北沢小劇場楽園
上演日時: 2021/05/12(水)~ 2021/05/16(日)情報引用元:『夜半の月』公演特設サイト
千秋楽の早朝に梶原航から「配信あるから観て!」って言われたので、
「はーい」と配信チケット即買いした流れ。
仕事と育児で忙しい中だとどうしても時間とお金が有限なので、
ふだん観劇のお誘いを頂いたときは観る観ないをチョイスしなければならないのだけど、
梶の「観て!」は、チョイスに迷うことなく「ああ、じゃあ観るか」という説得力がある。
なんだろうね。
別に梶以外の人が劣ってるとかそういうのじゃないんだけどね。
そういう不思議な説得力を持った人間っているよね。
ほい、視聴した感想。
なんかねー、まず一言「美しい」。
細部まで作りこまれた舞台セット、
一見暗く感じるにも関わらず同時に温かみも感じる照明、
要所でかかるセンスの良い音響効果、
その中で生きる人間が発するエネルギー。
とにかく「美しい」んだよね。
メインキャラクターとなる3人は、みんな何かに失敗していて、何かにつまずいていて、何か正解があるんだけれどそれがわからなくて、でもそれを求めている人間。
明日どころか、今日をどう生きるのかにさえ迷っているような。
そんな人間達が、何の因果か同じ夜に同じ部屋に一緒になる、そんな話。
お堅く真面目でネガティブさも感じられる奈津子。
自由奔放で風のように行方をくらませていた幼馴染・ときわ。
奈津子の作品に心を打たれ、奈津子を探して部屋に深夜押し入った見ず知らずの男・信二郎。
どう考えてもチグハグでかみ合うことのなさそうなメンバーだけど、
停電中の薄暗いランプの灯りの中での何気ない会話、時折差し込まれる独白のような詩的な時間。
展開されるその空間が「美しく」てしかたがない。
ひとつの文学作品を観てるような感覚。
それぞれが求めているものが、どれも自身ではなく他人が持っているってのもね。
幼馴染同士はまったく性質の違うお互いに憧れを持ち、自身を否定し、
見ず知らずのファンは、作家本人が分かっていなかったコトを一番理解していて。
信二郎が奈津子の作品を考察して「この人は愛していたいんだ、と。」ってセリフ、好きだなぁ。
じっと観ながら「今夜この場所で3人が出会ったことの美しさ」を堪能しておりました。
拍手。
・・・残念というか無念だったのは、俺自身に樋口一葉の知識がなかったこと(汗)
彼女のこと義務教育で習った程度しか知らないんですスンマセン。。。
この『夜半の月』は樋口一葉をモチーフにしてるらしい。
本作の主人公の名前も一葉の本名・奈津から取ってるんだろうし、
生き様なんかも重ねて描かれてるところがあったんだと思う。
独白中に出てきた言葉も樋口一葉作品からの引用が多かったみたい。
たぶん樋口一葉とその作品のことをもっと知っていれば、観ていてより深いところまで踏み込めたのかも。
作品はまだ配信してるのであんまり細かく書くとアレかな。
とりあえず感想はこのへんで。
購入後は5月30日深夜まで視聴できるらしいのでご興味あればぜひー。
映像の編集もかなり気合入れてされていて非常に見やすいですよ。
ぶっちゃけ2,000円とか安すぎる編集クオリティ。
もちろん作品のクオリティもね!
したらな!
コメント