早期胎盤剥離の危険があると言われて即・帝王切開した話
先日無事に第一子を我が家に迎え入れることができたわけだけど、実は予定とはかなり大きくズレ込んだ出産だった。
実際の出産日は10月18日だったけど、本当は予定日は11月6日。
なので3週間近く早まった形での出産だった。
いやぁ、想定より早まり過ぎてビックリした(汗)
ほら、ジェットコースターも長い列に並んで、コースターに乗って、コースターがカンカン音を立てながら徐々に最上部に上っていって、っていうステップがあるじゃない?
そのステップの中で覚悟みたいなものができると思うんだけど、今回はそれが朝ふと目が覚めたら下降寸前のコースターの中にすでにいた、みたいな。
「心の準備?一切できてない!・・・けどGO!」って感じだった。
当日朝、妻が出血を訴えてきた
当日は妊娠37週目に入ってまもない頃。
これまでの妊婦検査では胎児は「やや体重少なめかなぁ」と言われたぐらいで、特に何の異常も見つかっていなかった。
その他の母体の検査でも数値異常は何もなく、何もかもが極めて順調といった雰囲気だった。
しかし、その日の朝6時半頃。
妻がトイレから青冷めた顔で出てきた。
お腹に張りと違和感があり、用を足した際にかなり多量の出血があったとのこと。
本来37週目以降であれば「おしるし」として少量の粘り気のある出血も考えられるのだが、今回はサラサラで出血量もかなり多かったらしく、妻曰く明らかに「おしるし」とは別のモノにであるとのこと。
これはいかんと判断し、すぐに着替えてタクシーを拾って病院へ。
病院の緊急窓口に到着して状況を説明したのが7時前ぐらい。
院内で少し待った後、当直医のいる診察室へ妻だけが呼ばれて入っていった。
自分は外で待機。大事に至らないことだけをとにかく祈った。
早期胎盤剥離の可能性があるかも、でも何とも言えない
診察結果は「出血の原因は特定できない。早期胎盤剥離による出血の可能性はあるけど、確かなことはわからない」というものだった。
胎盤は本来出産後に子宮から自然に剥がれ落ちるものだけど、早期胎盤剥離は胎盤が何らかの原因で出産前に剥がれてしまうことをいうらしい。
胎盤は胎児に栄養や酸素を運ぶ重要な役割を果たしているので、もし胎盤剥離が進行してしまうと赤ん坊が窒息してしまう。
死に至らなくても酸素欠乏による脳障害を持ってしまう可能性もあるんだとか。
ただし、現時点で胎盤剥離が進んでいるかどうかは判断ができないとのこと。
とりあえず今この瞬間に胎児や母体に危険があるものではないらしいのでまずは安心した。
しかしもし胎盤剥離でありそれが進むようであれば危険性が高まってしまうので、入院して胎動や出血量の経過観察は必須になるとのことだった。
妻は病室でベッドの上に寝かせられ、胎動が24時間確認できるようにお腹にエコーの装置をつけられた。「え、出産予定日までずっとこの装置つけたまま寝たきりになるの?」と想像してちょっと気が遠くなった。
専門医が出勤、帝王切開の提案をされる
その後しばらくして専門医が出勤、あらためて妻は診察室に呼ばれていった。
もちろん自分は外で待機。時間はたぶん9時ぐらいだったような気がする。
専門医の診断も変わらず「早期胎盤剥離の恐れ、経過観察が必要」ということだった。
ただ、さきほどの診察とひとつだけ違ったところは、これからどうするかについての選択肢の提案があったこと。
専門医が提案した選択肢は次の2つ。
1.このまま入院して経過観察を続けて本来の出産予定日を待つ
2.今日これから帝王切開にて出産する
突然の今から出産という提案に「えええええええっッ!!?」ってなった。
まさにさっき例えた突然ジェットコースターの感じ。
胎児の体重1,000gを超えれば早期早産でも生存率はぐんと高いって話は事前に知っていた。
今日の時点で胎児の体重は2,000gは超えていたはずなので、ここで出産に踏み切っても何の問題もないわけだ。
むむむ、そうか。冷静に考えると理にかなった選択。
帝王切開でいますぐの出産を決断
どちらを選択するかゆっくり相談してくださいと言われたが、個人的にはもうコッチしかないだろうというのは決まっていた。
妻も同じだった。
「お腹の中で胎児がこれから苦しい思いをするかもしれないのなら、早く外に出してあげよう」
もし胎盤剥離が進めば赤ん坊には危険が及ぶわけだし、そもそも三週間先の出産予定日まで測定機器をつけたまま病院で寝たきりになるなんて妻の精神的・肉体的な負担は大きすぎる。
俺も仕事の量を減らさざるを得ないし、長期入院であれば費用もキツイ額になるだろう。
あらゆる要素が今すぐ切ることが最良であることを示していた。
すぐに専門医に意志を伝えた。
「今日、帝王切開をお願いします」と。
そこからは話が一気にトントン拍子。
「手術室すぐいけます!」「執刀医すぐいけます!」「あ、この書類に署名お願いします!」って感じで医師や看護師が行ったり来たり。
話はアッという間に展開していった。
なんと10時過ぎに帝王切開の意志を伝えたのに、11時にはすでに妻は手術室に運ばれていくいう鬼展開。
さっき遠方にいるお義母さんに「今日帝王切開することにしました。時間など全く未定なので何か決まったらまた電話します!」という連絡をしたのに、その直後には「いま手術室入りました!あと30分ぐらいで生まれるそうです!」という連絡をすることに。
お義母さんもさぞびっくりしたことだろうな(笑)
誕生!!
自然分娩と違って帝王切開は夫は立ち会うことができないので、俺は待合スペースで待つことに。
待合室は自分一人しかおらず、看護師や患者の通りもなく静かだった。
さっきまであんなにバタバタしてたのに、実は世界はすでに滅びていて俺一人しか残っていない的な静けさが印象的だった。
帝王切開はだいたい手術開始から30分ぐらいで赤ん坊が取り出されて手術室から出てくる。
あっという間だね。
待っているときに何かをした記憶がないってぐらいにあっという間。
さらにその50分後ぐらいに縫合を終えた妻が運ばれてきた。
ありがとう、ごくろうさま。
本当に心から感謝しきり。
産後に聞いた専門医の話
出産が終わって落ち着いたタイミングで専門医の話を聞いたところ、やはり胎盤剥離が進行していたとのこと。
なんとへその緒も若干取れかかっていたらしい。
もしこのまま経過観察を続けていたら、母子ともに命の危険もあったかもしれないとまで言われてしまった。
つまり、いますぐ帝王切開という今回の選択は正解だった。
もし逆の選択をしていた場合は最悪の事態もあり得たかもしれないわけで、想像もしたくない。
あくまで一夫婦の体験として
これが自分達夫婦が体験した、出産予定日3週間前に起きたたった8時間の出来事。
突然の出血から始まった怒涛の出産劇です。
もしかしたらこれから同じシチュエーションに遭遇する夫婦もいるかもしれないので、いちおうありのままの体験談として書いておきまーす。
同じような状況だったとしても常に帝王切開が最善ではないかもしれません。
ですが、こういう夫婦の例もあったよという情報として少しでも参考になれば幸いっす。
したらな!
生まれてきてくれて、本当にありがとう。
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