小島被告の万歳三唱から感じる、検察と裁判官の思考停止
新幹線殺傷の被告 無期判決に「控訴しません」と絶叫し万歳繰り返す
新幹線殺傷事件で横浜地裁小田原支部が言い渡したのは、小島一朗被告が身勝手に望み続けた「無期懲役」だった。判決を言い渡された小島被告は、裁判長の許可もなく、「控訴はいたしません。万歳三唱します」と叫び、実際に両手を3回、高々と上げた。
公判で、小島被告は「一生刑務所に入りたかった」「3人殺すと死刑になるので、2人までにしようと思った」などと身勝手な動機を話していた。
この日は、その公判と同じく、灰色のスエット姿に眼鏡をかけて入廷。傍聴席や裁判員席に何度も目をやる場面がみられた。
判決の言い渡しが始まると一転、小島被告は、じっと前を見据えた。「被告人を無期懲役に処する」。佐脇有紀裁判長が、こう告げた瞬間も、微動だにしなかった。
だが、裁判長が控訴について説明し、自席に戻るように促すと、小島被告は立ち上がって万歳することを宣言した。「被告人は席に戻りなさい」。裁判長は強い口調で制したが、小島被告はやめることはなかった。
裁判長は閉廷を宣言。小島被告は刑務官に自席に連れ戻されたが、その表情には笑みが浮かんでいた。
ショッキングなニュースでしたね。
無期懲役を言い渡された直後に万歳三唱したっていう行為自体ももちろんショッキングだけど、
それ以上に自分は「え?無期懲役で済むの?」というほうが1億倍ぐらいショッキング。
小島被告は、去年6月に新幹線の中で刃物を使った無差別殺傷事件を起こしました。
突然走行する車内で刃物を取り出し、近くに座っていた女性2人を切り付け、
さらにそれを止めようとした38歳の男性会社員を60回以上切り付けて殺害しました。
そのとんでもない凶行の動機は「無期懲役で刑務所に入ってみたかった」だそうで。
しかも3人以上殺害すると死刑になるかもしれないとわかっていたため、
最初から殺害数は2人までにしておこうと決めていたとのこと。
・・・え?
自分がただ無期懲役になるためだけを目的にして、
何の関係もない2人の女性をなたで切りつけて、
1人の男性の人生を終わらせて、
この人間に与えられる刑罰が無期懲役ってどういうこと??
いや、別に「ムカつく奴の刑が軽くて不満!」とか、
そういうネット自警団的な安い正義感じゃなくてさ、
刑罰ってそもそもさ、悪いことした人間に罰を与える目的のものでしょ?
その人間にとって厳しく辛いものじゃないとダメじゃんよ。
「むきちょうえきになるためにひとをころしたひとがいたので、むきちょうえきのばつをあたえました」
えーと、控えめに言って、バカなの?
昔からずーっと目についていたけど、裁判ってホント過去の判例に縛られ過ぎ。
過去の判例では殺害人数3人以上はいかないと死刑ってケースがほぼない
↓
今回は1人ね、じゃあ死刑はやめときましょ
↓
その次に厳しい刑は無期懲役、じゃあそれで
ってのが、常に蔓延している感じ。
いくらなんでもお粗末でしょ。
これでOKなんだったら、もう検察も裁判官もAIでいいじゃん。
過去の蓄積データを元にして、一瞬で過去の判例に沿った的確な判決出してくれるだろうよ。
過去の判例ももちろん参考にはするべきだけど、あくまでそれは参考。
文化もテクノロジーも価値観も、すべてがアップデートされてる中で、
いまこの瞬間に適した判断基準があるはずでしょ。
刑務所に入るためだけを目的にして殺人をしている、
新幹線の車内という閉じられた空間に刃物を用意し、
女性から優先して狙い、殺害した男性を60回以上切り付けていて、
しかも最初から殺す人数まで計算に入れている、
っていう「目の前」の判断材料に対して、
一人しか殺してないから、精神障害があるから、
っていう「過去」の判断材料が上を行き過ぎてる。
この「目の前」の判断材料、超絶に猟奇的で悪質で卑劣だと思うんだけどね。
「過去」の判断材料を物差しにして殺人をした小島被告の思い通りの判決になったってことは、
結果的に「目の前」の判断材料は1ミリも汲み取られることはなかったってことになる。
その結果が、被告の万歳三唱が生まれているわけで。
殺害動機どおりの刑にして何の意味があんの?
新幹線殺傷事件の小島一朗被告、無期懲役判決にこともあろうに法廷で万歳三唱!23歳のこんな男を税金で一生養うなんて!6人殺害のペルー人も裁判員制度の死刑判決を覆し無期懲役に。精神を病んでいようが殺人は殺人。生きている価値のない人間を一生私達の血税で生きさせるなんて絶対反対!
— デヴィ スカルノ (@dewisukarno) December 19, 2019
デヴィ夫人もお怒りです。
実際、無期懲役刑で1人あたりにかかるコストってどんなもんだろうって思って調べたけど、
あんまり信頼できそうなソースと数字が出てこなかった。
唯一信頼できそうなのが平成30年版の犯罪白書で、
これによると「刑事施設の被収容者一人一日当たりの収容に直接に必要な費用(予算額)は,1,837円である(法務省矯正局の資料による。)」だってさ。
1日1,837円なら、1年間で約67万円、50年間なら3352万円。
いま23歳の小島被告、何歳まで生きるだろうね?
平均寿命のとおりであれば、これから国は彼に対して3000~4000万円の税金を注ぎ込むことになる。
この日本がこれから少子高齢化で貧乏まっしぐらってときに。
収監費用にケチをつけて死刑促進なんてのがナンセンスなのは100も承知だけど、
それでもやっぱりすっきりはしない。
とまぁ、費用のことはいいや。
おいておいて。
やっぱり一番危機感を覚えるのは、
「無期懲役を受けることを殺害動機にして残虐な犯行を行った人間に対して、
その希望通りの無期懲役を与えることの異常さと、その異常さに対しての無自覚」に尽きると思う。
一人しか殺してないから、精神異常だから、で機械的にやっていい裁判じゃなかったはずよ、今回のは。
検察と裁判官の論理的な思考能力を疑いますわ。
完全に思考停止状態でしょ。
裁判長は今回の判決の締めに、
「刑務所での服役の日々を送らせ、重刑の現実に直面させる」
と言ったそうだけど。
たしかに無期懲役はよくイメージされるような衣食住がついた快適空間なんかじゃ決してない。
自由のない強制労働、他の囚人からの虐め、そして将来への希望がひとかけらもない。
「ちょっと刑務所入ってみたいな」なんて浅はかな考えは一蹴される過酷さだと思う。
たぶん小島被告も早い段階で絶望を味わうだろう。
でもね、
裁判長が「重刑の現実に直面させる」って言ってるのは、
つまりは「甘い考えのお前に服役の実際の辛さを見せてやる」ってことでしょ?
その教育、今回の被告にやってあげる必要あるかい?
将来的に更生させるために厳しさ見せるんならともかく。
わざわざ「ほら、服役ってこんなに辛いでしょう?」ってやってさ、
もう将来がない人間に対して厳しい現実を教えてやったところで、何か生まれる?
そんなの裁判長の自己満足にしか感じられないんだけど。
無期懲役の判決を言い渡した直後の万歳三唱。
「ありがとうございました!」と言って退廷した被告の後ろ姿。
この光景を見たご遺族がどんな感情になったかは簡単に想像がつく。
今回2人の女性をかばって犯人に立ち向かい亡くなった38歳の男性は、
どこに行っても評判が良く、まさに「いい人」を体現していた方だったらしい。
事件直後の遺族のコメント→https://www.asahi.com/articles/ASL6L6551L6LULOB01S.html
今回の件を「無期懲役が最も適している」と判断した検察と裁判官。
一生、あの万歳三唱の光景を覚えてやがれ。
コメント