【日常】厳罰化の意義は、罰を大きくすることではなく価値観の形成

厳罰化の意義は、罰を大きくすることではなく価値観の形成

 

 

先日の千葉県の飲酒運転事故のニュース。

事件の具体的な内容については、詳細記事を読むだけで同じ子供を持つ親の身としては痛ましすぎて。

ここで内容を掘り下げるのも辛くて仕方がないので、そのへんはニュースや著名人のコメント等をご参照ください。

心からご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

うー、

 

 

 

自分とは無関係の事件にも関わらず、どうしても気が重いしモヤモヤする。

 

 

 

今回の事件でもあらためて思ったし、

個人的にはずーーーーーっと思っていたことなんだけど、

 

 

世の中はもっと厳罰化に対してフットワーク軽くてもいいんじゃないかな。

 

 

これは飲酒運転もそうだし、無免許運転やひき逃げ、

また特殊詐欺系の犯罪とかにも言えることなんだけど。

 

 

悪質性が高い犯罪についてはどんどん厳罰化していっちゃダメなんだろうか。

 

 

厳罰化による瞬発的な効果は薄いかもしれない、けど

飲酒運転

 

今回のような悲しい事件が起こると、必ず厳罰化も議題にはなるんですが、

同時に「厳罰化されても守らない奴は守らない」なんていう意見もあったりして。

その他諸々大人の事情があるのか、なかなか厳罰化の実現には至りません。

 

 

厳罰化されても守らない奴は守らない、ってのはまぁ、残念ながらそうでしょうね。

もうそういう人格が形成され終わっちゃってるんだもん。

そういう人に対して、重い罰が下りますよと説いたところで、右から左でスルーでしょう。

そもそも自分が当事者になるという想像さえできない人も多いんじゃないかな。

 

「厳罰化されても守らない奴は守らない」って理屈からいくと、

厳罰化のおかげで今年は事件が減りました!的な瞬発的な効果はあんまり期待できません。

 

 

 

でもね、

厳罰化って別の面で大きな役割があると思うんですよね。

 

 

それは人々の価値観の形成です。

 

 

厳罰化によって、それが重犯罪であるという常識と価値観が生まれる

厳罰化による価値観の形成とはどういうことか。

 

飲酒運転の死亡事故推移

画像引用:警視庁HP資料

 

たとえば、飲酒運転発生件数の推移を見てみましょう。

 

2002年にガツンと厳罰化されて以来、その後も規制が少しずつ強められ続けたこともあって、

飲酒運転はこの20年確実に減少傾向にあります。

(それでも今回のような事件が起きてしまったのは残念極まりないですが)

 

 

この20年を酒が飲める立場で体験してきた人は実感あると思いますが、

世間の飲酒運転に対するイメージは猛烈に変化しましたよね。

 

 

20年前は正直言って、身内間では飲酒運転ってモノへの嫌悪感が緩かったように思います。

 

 

誰かが「昨夜飲んだ後運転しちゃってさー」とか言っても、周りは、

「おいおい、気をつけろよー」

「あらら、危ないからやめとけよー」

程度の軽い反応の人が多かったと思いません?

 

 

でも今は、

 

誰かが「昨夜飲んだ後運転しちゃってさー」なんて言えば、周りは、

「はぁ!?何してんの!?」

「いやいやいや、マジで!絶対やめとけって!」

って強い拒絶反応を示す人が圧倒的に増えたんじゃないでしょうか。

 

 

これって厳罰化がもたらした、人々の価値観の変化だと思います。

 

 

以前は軽く見られがちだった飲酒運転が、厳罰化されたことによって重罰になり、

俗な言い方をすれば飲酒運転は「ランクが高い犯罪」になったんですよね。

つまり、殺人や強盗のように非常に嫌悪感が強い、ドン引きされる行為になったわけです。

 

「自分は飲酒運転なんてとんでもない」

「飲酒運転してる人なんて信じられない」

という考えを持つ人が多く出てくれば、当然それが常識となり価値観となります。

 

そういった価値観を持つ人が増えれば増えるほど、

当然ながらそれだけ飲酒運転に及んでしまう人の数は減りますもんね。

 

幼少期環境における周りの価値観の影響は果てしなく大きい

子供の育つ環境

 

さらに言うとね、こういった価値観形成が真の力を発揮するのはちょっと先の未来だと思っていて。

ちょっと先の未来、つまりそれは我々の子供達の時代ですね。

 

 

価値観形成って、人間にとっては早ければ早いほど、人間の芯の部分に残り続けます。

 

 

たとえば、我々日本人は犬や猫を食べる文化を持っていません。

これは生まれたときから「犬や猫は食べ物ではないし、むしろ家族として仲良く共存するもの」的な価値観の環境で生きてきたからです。

 

だから、大人になった今になって「犬猫食べるとめっちゃ美味しいよ!」と教えられたところで、

まずほとんどの人が拒否反応を示すことかと思います。

もし犬猫を食べることを強要させられれば、涙を流す人も多いでしょうし、嘔吐する人もいるでしょう。

 

我々日本人には、犬猫を食べることができない価値観が絶対的に形成されているんですよね。

同じ4本足の哺乳類である牛や豚は何も感じることなく食べられるにも関わらず、です。

それぐらい生まれ育った環境による価値観は、その影響が大きいと言えます。

 

 

 

先日の飲酒事故を起こしたドライバーは60歳でしたが、

これって飲酒運転が軽く見られがちだった時代を40年間生きた人なわけで。

 

「飲酒運転絶対ダメ!」というルールを頭では十分理解していたとしても、

人間としての芯の部分で「飲酒運転絶対ダメ!」の価値観が形成されていなかった。

だから、運転前だけどちょっと一杯、をついついやってしまう。

 

例えが悪いかもですが、彼に「犬猫は食べれない」の価値観と同じぐらいに芯の部分から「飲酒運転絶対ダメ!」の価値観が形成されていれば、ちょっと一杯なんて思考にはならなかったと思います。

 

 

飲酒運転を絶対的にありえないものとする価値観の形成。

これから10歳20歳と年を重ねていく子供達を、そういった良質な価値観のもとで育ててあげるのが、現代を生きる大人の仕事なんじゃないかなと思います。

 

まとめ 厳罰化の意義は、罰を大きくすることではなく価値観の形成

厳罰化による価値観の形成

 

はい、表題のとおり。

厳罰化の意義は、罰を大きくすることではなく価値観の形成。

 

厳罰化は、罰を大きくしてより一層懲らしめてやるとか、

犯罪しそうな人が罰の大きさにビビッて抑止力になるとか、

そういう効果はそれほどでもないし、正直どうでもいいんじゃないかと。

 

 

大事なのは、

 

世間において「それは絶対ダメ!」の常識と価値観を形成させること。

さらに、そういった良質な価値観の環境で次の世代を育てていくこと。

これに尽きるんじゃないでしょーか。

 

 

それができれば、

お酒飲んで車を前にしたときに「まぁいいか」って軽々しくハンドルを握れる人は激減すると思います。

(世の中には価値観とか関係なく行動しちゃう例外的な人も存在するので、それはどうしようもないだろうけど)

 

 

 

これは飲酒運転に限らず、特殊詐欺なんかでもそう。

 

極端な話、超絶厳罰化して殺人罪と並ぶくらいの量刑にしてみたらいいと思います。

ただの受け子であっても、被害総額や悪質性から判断して終身刑や極刑もありえる、みたいなレベルに。

 

そうすれば、世間の間で「特殊詐欺は殺人と同じぐらいランクの高い犯罪」って常識が生まれ、やがてはそれが広く価値観になります。

大学生やフリーターが闇バイトに手を出してしまうのは、それが「ちょっと危険なアルバイト」程度にしか見えない価値観だからです。

 

いまだって「殺人してくれるバイトさん募集!」だったらみんな腰が引けて応募しないでしょ?

「特殊詐欺が殺人とイコールのヤバイ犯罪」という価値観形成さえできていれば、

同様に気軽に応募できる人はそうそういなくなるはずです。

 

さらにその価値観が「犬猫は食べれない」と同じレベルにまで幼少期から形成されていれば、

その脳裏に闇バイトに手を出そうという発想が全く生まれ得ないでしょう。

 

 

 

 

うん、厳罰化、もっとしていけばいいのにね。

 

 

そこから得られる恒久的な価値観形成って、相当な価値を持ってると思うんですけど。

 

 

 

飲酒運転がダメって価値観をもっと根強くできれば、確実に今回のような悲しい犠牲者は少なくなるでしょう。

特殊詐欺がダメって価値観をもっと根強くできれば、確実にお金をだまし取られる被害者や、捨て駒にされる受け子が少なくなるでしょう。

 

 

そういった犯罪を厳罰化したところで、悪い事をしない人には何のデメリットもない。

それでいて、悪い事をするかもしれない予備軍な人にそれをさせない。

その結果、悪い事が起きる件数を減らせる、悲しい思いをさせられる人が減らせる。

 

 

厳罰化って確実に世の中の不幸を減らせる有意義な選択だと思うんですけどね。

 

 

そのあたりの法整備ってそんなに難しいものなのかなぁ。

仮に厳罰化反対派がいるとして、反対理由って何なんだろうね。

真っ当に生きてる人にとっては厳罰化なんて良い事しかないはずなんだけど。

 

 

世の中から少しでも不幸がなくなりますように。

今回のような悲しい事故が減りますように。

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