新型コロナウイルス、目を開けて、正しく恐れよう。
もはや前置きも不要ではありますが、世界中で新型コロナウイルスが猛威を奮っております。
日本もけっこうな騒ぎになっているのは言わずもがな。
学校は休校要請が出されて、ほぼ99%の学校が長い春休みに。
アーティストのライブや演劇公演なんかは中止が相次ぎ、
マスクやトイレットペーパーが買占めで品薄状態。
甲子園は無観客試合になるし、夏の東京オリンピックも開催が心配されているしで、
いまの日本はかなり大変な状況でございます。
でもねー、個人的にはいまの状況に納得がいっておらず。
うん、ぶっちゃけ、かなりいまストレスフルです。
いろいろおかしくね?みたいな。
まぁ、そういった諸々を含めて現状の整理をしてみたいなと。
いまは情報が溢れすぎて、どれを信頼していいかもわかんなくなってるしね。
悪意のある煽りとかも少なからずあるし。
あ、ちなみに自分は政府関係者でも医療関係者でもない、ただの一般人です。
浅草に住んでるただの39歳の手タレかつ演劇人で1児の父。
一般人が新型コロナについてむやみに情報拡散するべきでないみたいな意見もチラホラ見かけますが、
あくまでここで書くのは「数ある情報の中で信頼性の高いものを判断してそこから現況を考えてみた」内容になります。
とは言いつつも、自分でいうのもなんだけど正しい現実からそれほどズレた考え方じゃないと思ってますヨ。
まぁ、参考程度にドーゾ。
1.新型コロナウイルス自体の脅威について
3月6日正午。
国内感染者349名
退院69名
入院中249名
軽中度142名
人工呼吸/ICU30名
確認中68名
待機中9名
陽性で症状なし25名
死亡6名
クルーズ船関係(3月5日)
陽性696名
帰国?
入院中?
人工呼吸又はICU 34名
退院242名
死亡7名— 河野太郎 (@konotarogomame) March 6, 2020
2020年3月6日正午時点で、日本国内での感染者は349名、死亡者は6名です。
ダイヤモンドプリンセス号での数字はここでは除きます。
あれは参考値にするにはあまりに状況が特殊なので。
さてさて、Twitterなんか見てると、
「日本政府は感染者数や死亡者数をカウントさせないためにコロナ検査を断っている!」なんて陰謀論が出ていますが。
とりあえず先に言っておくと、コロナウイルスによる死亡者数ってのはまず隠せません。
人間が死亡した際には必ず死因を調べるし、ましてやいま肺炎症状で亡くなっているなら検査を怠るわけがなく。
だって検査しないと医者本人の身が一番危ないもん。
自分の病院で蔓延しちゃうし。
実際、コロナで死んだ人を見逃したせいで発生したと思われる院内感染の事例も1件も見受けられませんし、
これだけ数多にいる医者たちが誰一人「政府に隠蔽しろと命じられた!」と告発していない現状からすれば、
数字は発表どおりの6名でほぼ断定してよし。
じゃあ感染者数はどうなのか。
感染者数のカウントを無駄に増やしたくないのは、
正直言って日本政府にとってある程度の本音だと思います。
いま感染者の数字がガンガン伸びちゃうと、国際的な信用は低下するし、オリンピック開催が危ぶまれちゃう。
でも、コロナ検査を限定しているのはそれがメインの目的ではありません(2で後述)。
この感染者数については、
①コロナ検査は検査対象者をかなり限定している
②感染者が普通にライブハウスやスポーツジムに通っていたり、マクドナルドや保育園で働いていたり、公共の移動手段を普通に使っていたりしていた
③とくに若年層においては感染しても症状なしで感染自覚がない割合がかなり多い
この3つがあるので、表面的に発症していない「隠れ感染者」は間違いなくけっこうな数で存在するでしょう。
うーん、どれぐらいいるだろうか?
少なく見積もっても、隠れ感染者は5倍10倍レベルでいるんじゃないかな。
仮に10倍だとすると約3,500人ほどいるってことになります。
Twitterなんかでは「新型コロナはやばい!潜在的な感染者は万単位でいるはずだ!」なんて過激な想像をしている人もいたりしますが(苦笑)
さぁ、状況整理の前置きが長くなりましたが、ここからが本題。
日本国内におけるコロナウイルスの危険度を考察してみましょう。
コロナウイルスによる死亡者数はさきほど言ったとおり、偽りようがありません。
これは6人で断定しちゃいます。
感染者数は、発表されている349人よりは確実に多くいますが、
正確な予想はしようがないので、仮に10倍のおおよそで3,500人とかにしておきましょう。
じゃあその場合の致死率は?
3,500人感染で6人死亡ってことは・・・なんと致死率はたったの0.17%。
仮に「新型コロナはやばい!潜在的な感染者は万単位でいるはずだ!」って意見を鵜呑みにして感染者数を1万とか10万とかに仮定すれば、それぞれ致死率は0.06%、0.006%まで下がります。
「新型コロナはやばい!」って言って感染者数について悲観的な予想をすればするほど、そのぶん致死率は爆下がりして、逆に安全であることを証明してしまうという不思議な構図(笑)
ちなみにインフルエンザは致死率おおよそ0.1%ね。
念のため言っておくと、インフルエンザは予防接種も治療薬も存在するのに致死率0.1%です。
予防接種も治療薬もいまのところ存在しない新型コロナの致死率は0.17%。
さらに死者数の視点で考えると、
肺炎で亡くなっている人が毎年10万前後、インフルエンザで亡くなってる人が毎年2,000人前後です。
新型コロナウイルスは、あれだけ初動でポカやって国内に蔓延を許してしまっているにも関わらず、たった6人。
しかも、いまのところ亡くなっている6人はすべて70歳オーバーの高齢者でしょ?
つまり体力的に不安がないのであれば、重症化はあっても、死に至ることはまずないってこと。
・・・ねぇ、ぶっちゃけていい?
この新型コロナウイルスってさ、そんなに怯えなきゃダメ? ( ´・д・)?
このレベルなんだったらさ、
「風邪やインフルエンザやノロ等が流行っているので気を付けましょう!」
が
「風邪やインフルエンザやノロやコロナ等が流行っているので気を付けましょう!」
になるだけなんじゃないの?
いつも以上に手洗いうがいとマスク着用と体調管理を気をつけましょうね、で終わる話だと思うんだけど・・・。
俺のこの感覚っておかしいんだろうか。
新型コロナウイルスも、
初めて現れたときは「何もわからない未知のウイルス」で情報がないことこそが一番の脅威だったわけですが、この2ヶ月ぐらいで「これぐらいの感染力とこれぐらいの致死率を持っている未知のウイルス」になりました。
この差は、とんでもなく大きいことです。
いつまでも状況変化に目をつぶって未知の脅威におびえ続けるのではなく、
少しずつながら未知の脅威でなくなりつつあることを理解し、正しいおびえ方をしなきゃいけないんじゃないかな、と。
そう思います。
2.コロナ検査を受けられなくて不安が広がっている件について
先程も書いた「政府が感染者数を少なく見せるためにコロナ検査をさせないようにしてる!」って陰謀説。
実際、武漢の渡航歴があったり、感染者と濃厚接触でもない限りなかなか検査はしてもらえません。
でもこの陰謀説は、はっきり言ってノー。
新型コロナウイルスの検査はいまは主にPCR検査を採用しています。
政府がこのPCR検査対象を限定的にしている理由は大きく2つあって。
1つめはいちいち検査してたら医療機関がパンクしちゃうこと。
PCR検査はとにかく時間と手間がかかります。
殺到する希望者全員にこれを施していたら、医者も設備もまったく追いつきません。
被験者についても、検査の結果が出るまで全員を隔離入院させる場所なんかあるわけもなく。
パンクした病院内でダイヤモンドプリンセス号内のように無駄な感染が拡大するだけでしょうね。
で、医療崩壊に陥って大パニック、収束不可能に陥ると。
ちなみに武漢が医療崩壊したわかりやすい例で、韓国もいまそうなってしまう懸念がされてるところ。
(※韓国はいまになってヤバイと感じたらしく、重篤者に検査を限定する方針に切り替えました。追記:イタリアも。)
2014年にアフリカでエボラが流行った時にも医療崩壊を起こしましたが、
エボラ対応で手一杯になって医者のリソースが奪われてしまった結果、
その他マラリアや肺炎で亡くなった数のほうがエボラの死亡者を上回ってしまったという例もあります。
闇雲に検査をしても同じように破滅の道をたどっちゃうだけってワケですね。
2つめは、検査すること自体の意味が薄いってこと。
PCR検査は非常に精度が低く、80%以下の判定精度しかないそうで。
「2割の人が、感染していても陰性になったり、感染していないのに陽性になる検査」って、
それ受けるのにそんなこだわる必要あります?
そもそも新型コロナには治療薬はなく、症状に対しての対処療法しかありません。
つまり通常の肺炎であろうが、新型コロナの肺炎であろうが、
その患者には「通常の肺炎と同じ処置をしてできるかぎり人と接触させない」しかやることがないんですよ。
お腹下して病院行ってもノロウイルスの検査は通常やってくれませんよね。
あれも「ノロであろうが他の食中毒であろうが対処は一緒で、ノロ原因であることを特定する意味がない」からです。
新型コロナかどうかを判断するために病院やら保健所に出歩いて感染拡大リスク高める意味がないんですよね。
そういった事情があって、政府としてはPCR検査の対象を限定的にしているわけです。
ちょいと調べればこのへんの事情の解説はいくらでも出てくるんですけどね。
これについては、「9歳の子どもの咳が止まらないのにコロナ検査してもらえない!」って女性のツイート、
あれに正義感を持って反応してしまった一部の人達とテレビメディアが、
「検査拒否許せないガーッ!」と大きく取り上げて一気に煽ってしまった感があります。
(ちなみにこの9歳の子は後日マイコプラズマ肺炎と診断されました)
自分や家族が新型コロナに感染しているかもしれないって不安は重々にわかりますが、
コロナかどうかを調べることに頑張るほうが、自分だけでなく周囲にとってもよっぽど危険なんです。
もしまだ納得できないなら、検査しまくる選択肢を取った韓国の医療の現状をご自分でググッてみてくださいな。
検査を受けられないことに悲観的になる必要ゼロ。
もし感染が疑わしいなら自宅に引きこもって対処療法しながら安静にするだけ!
・・・これ、そんな難しいことじゃないですよね?
3.WHOが言ってるマスク不要論について
WHOが「健康な人の予防目的であればマスクは必要ない」なんてこと言ってますが、
個人的にはこれは絶対ノーと思ってます。
マスクしてても感染するときは感染するけど、絶対にないよりはあったほうがいい。
マスクをしても無駄という根拠は、
「サージカルマスクの繊維の隙間が5μmなのに対し、ウイルスは0.2~0.1μmと小さいから」だそうです。
マスクの隙間からウイルスが侵入できちゃうので意味がないってことですね。
でもさ、マスクの表面に5μmの大きさの穴がいっぱいあるとしてもさ、全ての穴の総面積よりも繊維が折り重なっている総面積のほうが圧倒的に大きいワケで。
確実にウイルスの何割かはこの繊維部分に引っ掛かって、ヒトの体内まで届かないことになる。
「1度使ったマスクは汚染されてるから使いまわさないで」って言うからには、それだけウイルスがマスクに引っ掛かって止まっているってことです。
何もつけない場合に比べたら、軽減効果は明らかにあるでしょうよ。
あと、くしゃみとかの飛沫の場合は粒が大きいため、これはマスクでほぼ完全にシャットアウトができます。
新型コロナって、飛沫感染と接触感染がメインって言われてるんでしょ?
飛沫感染をガードできるマスクになんで予防効果がないって主張できるのか、ちょっと意味不明。
さらに言うと、マスクの重要な役目はウイルスのカットよりも、喉や鼻の粘膜の保湿にあります。
自分のかかりつけの耳鼻咽喉科の先生の口癖も「とにかく粘膜を乾燥させないで」なんですよねー。
鼻や喉の粘膜は乾燥してしまうと傷付きやすく、細菌やウイルスに対する抵抗力も落ちてしまうんだそうな。
保湿の視点でも絶対にあったほうがいいですね。
うーん、WHOって、もうちょっと信用がおける機関だと思っていたんですけどね、
今回の新型コロナウイルスの二転三転ぶりに一気に社会的信用が落ちましたね。
まさかここまで中国寄りでズブズブとは思わなかった。。。
ただし、マスクについては医療、保育、介護など様々な現場でも不足が続いています。
無駄に買い占めたり、二重にしたり、意味のない行動はとらないようにね。。。
4.マスクやトイレットペーパーの買い占めについて
まだまだマスクやトイレットペーパーの売り切れは続いていますが、
トイレットペーパーについてはデマによる買占め煽りが原因だったので、解決に向けて収束傾向ですね。
各種フリマアプリ運営はこういった商品を取り締まる様になりましたし、
悪質な転売ヤーに対する刑罰も検討されているところです。
懲役5年以下もしくは300万以下の罰金ってなかなか重いよね。
ちなみにイランでは死刑だそうです。すげぇなイラン。
ただし、今回の買占め騒動で明らかになってしまったのは、
世間に不安が蔓延している状況であれば、SNSを使っていとも簡単に商品価格をコントロールできてしまうこと。
米子職員がデマ拡散者の一人だとしていま叩かれていますが、転売目的での拡散ではなかったそうで。
高額転売目的で意図的に今回のデマ拡散に動いた人間達がまだ他にいるでしょうね。
また今後も同じような不安事項が発生すれば、また彼らは相場コントロールのデマを流すんでしょう。
もう人間として最悪ですな。
フリマアプリ側の対応や刑罰の具体化でどれぐらい抑え込めるかってとこですが。
個人的には、Twitterやメルカリを含む全Webサービスと警察の連携がもっと綿密になればいいのにって思ってます。
「昨日のあのデマ流してたやつが、もう今日捕まったってよ!」ぐらいのフットワークが出せたらいいのにね。
「即捕まる」ってけっこうなパワーワードだと思うんですよ。
なかなか実現は難しいとは思いますが。
5.メディアが発信する情報の偏りについて
自分が今回の新型コロナウイルス騒動の情報源にしているのは、
テレビ、ネットニュース、Twitter、著名人のブログやnoteなど。
こういった複数メディアを眺めていて気付くのは、情報の偏り方です。
とくにテレビ、その中でも情報バラエティやワイドショーが顕著にひどい。
危険だ、対応がずさんだ、こんなひどいことやってるやつがいるなど、ネガティブ情報を中心に取り扱い、
重く深刻なナレーションに仰々しいBGMや幽霊屋敷みたいな文字フォントのテロップで、
事実をインパクトが強く感じられる方向に演出してるパターンばっかり。
煽ろう煽ろうという意思がありありと感じられます。
そもそもさ、すでに全国各地に広がっている状況で、
「速報です。○○県で1名感染者が見つかりました」って深刻な面持ちで入れる速報って要る?
潜在的な感染者なんて、もう47都道府県すべてに何人かずつはいるよ、間違いなく。
当たり前のことをわざわざ悲報みたいに流すんじゃないっての。
先に書いた、コロナ検査受けさせてくれなかった9歳の子どものお母さんについての報道もそう。
酷い目にあっている悲劇のヒロインがここにいますみたいな構成で紹介されていて、
あまりに視聴者受けを狙った内容に観ていて空いた口が塞がらなかった。
結果あとからマイコプラズマと分かって逆に叩かれまくったってところまで含めると、
このお母さんはテレビメディアによる被害者と言ってもいい。
えーとね、世の中にはエコーチェンバー現象というのがありまして。
これは狭いコミュニティで同じ価値観の情報ばかりに触れていると、
それが間違っていてもその考え方に染まって固執するようになってしまう現象のこと。
イランでイスラム教徒たちが信仰を表すためにモスクの壁を舐めまくってることで、
そのせいでコロナ感染が広がってるってニュースが出ましたが、
これがまさにエコーチェンバー現象ですな。
他から見れば明らかに非常識な行為なのに、狭い集団で特定の価値観の中で過ごしすぎていて、それが正しいことであるっていう刷り込みがすでにされちゃってる。
テレビからの情報だけ、Twitterの特定フォロワーのつぶやきだけ、
って感じで偏った情報収集をしていると、まさにこのエコーチェンバー減少に陥ります。
実際にテレビだけを情報源にしちゃってる人って割合多いと思いますが、
コロナに対しての恐怖心と警戒心は明らかに他より大きく植え付けられてしまってると思いますよ。
以前ブログに書いたこともありますが(→過去記事:『と、言ってる人がいるね』は魔法の言葉)、
あくまで情報の受け止め方は「と、言ってる人がいるね」に留めましょう。
いろんな「と、言ってる人がいるね」という情報を多角的に集めて、
それらを材料に最終的に何が正しいかを判断するのは自分自身であるべきです。
6.イベントや公演の自粛について
これは自分も演劇人の一人なんで、無視することができない問題です。
自分のまわりでも知人が参加するいくつもの公演が残念ながら中止となってしまいました。
かくいう自分も2月24日まで舞台『KEISOU』の本番でした。
もし1週間公演時期が後ろにズレていたら、世間の情勢を考慮して中止の判断もされていたかもしれません。
自粛するべきか、決行するべきか。
野田秀樹さんや平田オリザさんはこれに対して意思表明をされていて。
要約すれば「感染は防がなきゃいけないのはもちろんだけど、演劇を糧としている人達のことも配慮してくれ」ということを言っています。
内容要約し過ぎかな?
ごめんなさい、原文はこちらでどうぞ。→野田秀樹氏の意見書、→平田オリザ氏の意志表明
残念ながら、これにはけっこうバッシングもあって。
「命がまず最優先だろ!自分勝手なこというな!」とか「娯楽や芸術は余裕があるときにやるもんだ!」とか。
うー、演劇人サイドの身としては耳が痛いですね。。。
この問題についてはね、たぶん正解なんてないです。
正解がないからこそ議論は終わらないし、結論も出ない。
そして賛同とバッシングが入り混じる。
通常の演劇公演においては、
劇場は1年以上前からおさえてそこから準備に動き、役者は一ヶ月ぐらい前から拘束されて稽古に励みます。
スタッフは打ち合わせを重ね、制作部は宣伝や集客活動に動きます。
そして公演本番日を迎え、お客様からチケット代を頂戴することで初めてそこまで注ぎ込んだものがお金になります。
そのため公演本番が中止になってしまうということは、
そこまでの準備がすべて水泡と化してしまうということです。
日をずらして同じものをなんてできないし、映像化して収益化することも望めません。
世の中で働いている人の大半はサラリーマンとして会社から給料をもらっているかと思いますが、
その感覚で言えば「ごめん、突然だけど今月の給与ゼロでよろしく。たぶん来月もゼロね」って言われているようなもんなんです。
すでに仕事を終わらせていて時間と体力を注いだ後だったとしても容赦なく、ですよ。
演劇業界の団体なんて、豊潤な資金を持ち合わせているところはほとんどありません。
「数ヶ月おとなしく待機して落ち着いたらやればいいじゃないか」と言われて、
それができる体力を持った団体がどれだけあるでしょうか
そりゃあ、簡単に中止だと言われて首を縦に振れないわけです。
知り合いのプロデューサーから悲鳴のような電話。チケットの払い戻しが2億2000万になるという。このまま中止が続けば7億円を超えて、自己破産の可能性も視野に入れていると。「この1、2週間が山場」はいつまで続く1、2週間なのか。
— 鴻上尚史 (@KOKAMIShoji) March 6, 2020
↑実際こんな状況ですよ。これも氷山の一角。
でも、かといって未知のウイルスの蔓延が危惧される状況の中で、感染拡大リスクを背負って決行するべきなのか。
劇場内はほぼ密閉されていて換気はお世辞にも十分とはいえません。
もし無症状の感染者が自覚なく客席にいたりすれば、そこから感染が拡大する可能性は否定できません。
風評の面でも厳しいでしょう。
感染拡大を危惧する層からは盛大に批判をされますし、
万一にも感染者を出したと騒ぎになれば、いろんなメディアに名指しで取り上げられて大バッシングを受けます。
それらを理解した上で公演を決行するのか?
そう問われると、やっぱりそれも首を素直に縦には振れなくて。
どっちの選択肢をとっても大きなリスク。
もう一度繰り返しますが、この問題にベストの正解なんてないんです。
考えなきゃいけないのは、落としどころですよね。
イベントも公演もリスクがあるからといって永遠にやらないわけにはいきません。
いまは「中止による経済的なリスク」と「新型コロナによるリスク」、
これらを天秤にかけたときに、後者のほうが重いとされて皆公演中止の判断にいたっていますが、
これが逆転する状況になればいいわけですよね。
「中止による経済的なリスク」の重さに対して世間の理解を求める行動が、
まさに前述の野田秀樹さんや平田オリザさんの行動だったわけですが、
残念ながら理解しようとしない層とは永遠に平行線なのだなということが証明されてしまいまいた。
そうなるとできることは、「新型コロナによるリスク」のほうを軽くするしかないですよね。
劇場内の清掃・消毒・換気、マスク着用義務化、マスク配布、アルコール消毒液の設置。
あとは客席の間隔を十分に取ったり、キャストによる客出しの中止を行ったり。
そして、そういった施策を万全にしていることの周知。
そして何より、1でも言ってますが、演劇人自身がコロナウイルスを正しく恐れるということ。
流行りだして2ヶ月経ったいま、どれぐらい感染して、どれぐらいの人が死に至っているのか。
有効な対策は何なのか、日常生活をどこまで制限するのが妥当なのか。
もう未知のウイルスだからといって「よくわかりません」と人任せにする段階でもないと思うんですよね。
数多の情報が世界中で出揃ってきています。
それらからわかることを正しく整理し、理解し、発信すること。
「新型コロナによるリスク」がそれほど脅威でないなって状態に自らの力で導いていく。
それが公演を決行してOKという、世間の空気作りにつながるんじゃないでしょうか。
まとめ
毎年、病気やら事故やら自殺やらで日本国内で亡くなる人の数はおおよそ150万人です。
その中でインフルエンザで亡くなる人の数は、国内でおおよそ2,000人前後。
(2018年~2019年シーズンはやや数が多く、3,000を超える人が亡くなりました)
でも、インフルエンザ予防接種って3割ぐらいの人しか受けていません。
3,000人の命を奪うほどの強力なウイルスにも関わらず、です。
でもそれが普通であり、その中で私たちは当たり前の日常生活を送っていました。
インフルエンザがあろうがなかろうが、普通に生きていました。
で、いま、新型コロナウイルスという新しいウイルスが現れました。
国内の死亡者はたった6人です。
これから感染が広がっていったとしても、おそらく年内で100に達するか達しないかぐらいじゃないでしょうか。
しかも死亡者は高齢者、その大半が何らかの持病持ち。
これ、日常生活をここまで壊さなきゃいけないものですか?
いつもどおりの日常生活を送ることを批難されなきゃいけないものですか?
雰囲気でなんとなく恐れて、それで日常を失うって、本当につまんないことだなぁって思います。
仮に、新型コロナによる病気で肉体的に苦しめられた量を日本人全体で100とすれば、
新型コロナの恐怖感で経済的と精神的に苦しめられた量は一体いくつになるでしょうね?
200でしょうか?
300でしょうか?
それとも1,000?
・・・たぶん10,000とか100,000を超えちゃってると思いますよ。
小さき損失を恐れて大きな損失って、歯がゆいを通り越して、悔しいですよね。
バブル崩壊後は年間自殺者が1万人弱増えたそうですが、過剰な対策の結果、同じ道をたどりかけている気がしてなりません。
新型コロナに対して決してあなどりもしないし、対策も怠らない。
でも、時間が経って情報は揃ってきました。
なんとなくのウイルスの特徴がわかり始めてきました。
きっと明日はもっと情報があるし、明後日はもっともっと情報がある。
未知のウイルスは怖い。
でも毎日確実にちょっとずつ未知じゃなくなってる。
目をつぶって恐れないで。
目を開けて、正しく恐れよう。
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