【日常】東日本大震災から10年、福島のいまを理解する

東日本大震災から10年、福島のいまを理解する

 

2011年3月11日の東日本大震災から今日でちょうど10年となりました。

テレビメディアはこぞって「震災から節目の10年」なんて特番を組んでますが。

サンドイッチマンの伊達さんの「節目なんてない、ただ10年が経っただけ、また明日が来るだけ」って言葉が刺さりますね。

 

震災で亡くなられた方に黙祷。

 

 

 

 

10年前のあの時間の自分は、自宅にいました。

当時は雷門1丁目の1Kの部屋に一人暮らしだったので、自宅で一人でいるところに直撃。

何をしている最中だったかまでは覚えてない。

たぶんHP作成とかPC作業をしてたような気がする。

 

 

寒気がするような強烈な揺れ。

とりあえずパソコンモニターが倒れないように手で支える。

できたことはそれだけでした。

 

 

学生のときに四国で芸予地震を体験していたので、すぐに電話回線がパンクすることは想像がつきました。

なので揺れが収まりきらない最中にケータイを取って「東京ででかい地震きたけどとりあえず俺は大丈夫」とだけ、実家福井にいる兄貴に送信しました。

 

お互いに連絡不精な性格だったので、そのメールを見た兄貴は「あの弟が連絡してくるぐらいだから相当な事が東京で起きているぞ」と同僚に話したそうで。

うん、おっしゃるとおり相当な事態だったけれども(苦)

 

 

ちょうど演劇公演「街挿話」の稽古期間中で、その日も夕方から稽古予定だったけど、

さすがにすぐに稽古中止の連絡がきました。

あとから知ったけど、電車なんか全部止まっててそもそも稽古場に向かうこともできなかった。

 

たまたま稽古場に早く入っていた人たちはそのまま帰宅難民になり、稽古場に泊まっていったそうな。

帰れないことを気の毒に思う反面、あの大きな不安の中で誰かと一緒にいれるというのは、ある意味では羨ましかった記憶がある。

 

 

そこから10日間程度は身の回りの仕事はすべてストップ。

自宅でずっとテレビやTwitterで惨状を眺め続ける日々。

何もやることもなく負の情報を延々と収集する時間は辛かったけど、それ以上に辛い目にあってる人が多くいるという事実がまた気持ちを落とさせる。

 

計画停電はウチの地域には結局来なかったんだったっけかな?

幸い自分は暖と食に困ることはなかったのが不幸中の幸いだったかもしれない。

 

 

 

 

あれから10年。

 

 

あの日からいろんな情報が錯綜して、

その中には正しい事と誤っている事が入り混じっていて、

そのどちらもゆっくりと人々の記憶から薄れつつあって。

 

 

いけない、いけない。

 

あの震災によってもたらされたものは何だったのか。

10年経ったいま被災地だった福島はどうなってるのか。

わかりやすくまとめたエントリがあったのでご紹介しておきます。

 

 

現代ビジネス『3.11から10年…福島の「情報災害」が未だに払拭されない理由』

 

林 智裕さんという、福島出身福島育ちで、実際に福島県内で震災を体験したフリーライターの方が書いた記事です。

リンク先はなかなかボリュームのある長文ですが、震災を振り返る上でかなり価値のある内容だと思います。

 

時間がない方はここだけでもおさえてほしいという記載があったので、

以下、そこだけ抜粋で載せておきます。

必読。

 

 

 

10年目の福島を知るための「5つの論点」

ともあれ、まずは3.11から10年目の「福島の今」を改めて知るための5つの結論を先に挙げておきます。あくまでも概略ではありますが、お時間の無い方は、とりあえずこの5点だけおさえて頂けると幸いです。

【 1)避難地域は今どうなっている?】

・避難解除された時期などにより帰還や復興の状況は同じ双葉郡地域内でも大きく異なり明暗が分かれる。
・復興拠点には住民が戻りはじめ、週末には商業施設を中心に観光客も多数訪れ賑わいを見せている。
・現在、帰還や居住のハードルは放射線というよりインフラ整備の問題がより大きい。
・福島県浜通り地域では「イノベーションコースト構想」という、地域と日本全体の未来に資するための建設的構想が進められている。

【 2)原発事故での健康被害は?】

・被曝自体を原因とした被害は起こらず、今後も考えられない。遺伝など次世代への影響もない。
・東電原発事故ではそもそも懸念される量の被曝そのもの自体が起こらなかった。
・一方で放射線以外を要因とした健康被害は多発し、震災関連死も福島が突出した。

【 3)食の安全は大丈夫なのか?】

・日本の食品基準が世界に比べ極めて厳格で、実際には基準を超えたものを多少食べても全く影響は無い。
・そもそも出荷されている福島県産品はすでに放射性物質自体がほぼ検出されず、基準値を超えたものも出荷されていない。他県産の食品と比べて放射線による健康リスクに差は無い。
・風評被害はおおむね落ち着いてきたが、贈答品や海外の一部にはまだ根強いこと、価格や販路が戻らないなど課題も残る。
・福島の食は美味しいことで知られるようにもなった。米は特A評価続出、日本酒は全国新酒鑑評会で金賞受賞数7年連続日本一の快進撃を続けている。

【 4)福島はまだ放射線量が高いのでは?】

・大規模な除染や時間経過に伴う半減期などにより放射線量は大幅に低下している。制限された一部地域を除き、普通に生活しても全く問題は無い。
・除染で出た大量のフレコンバッグのほとんども、間もなく中間貯蔵施設への運び込みが完了する。
・一方で、除染物の中でも放射線量が低く健康影響を与えないものは減容化のためにも土木工事等での有効利用が求められている。

【 5)今も解決できていない問題は?】

・「安全」は充分に確保できた一方、「安心」の問題が残されている。
・除去土壌等の有効利用やトリチウムを含む処理水処分が誤解と偏見で阻害されている。
・甲状腺検査過剰診断問題での人権侵害が懸念されている。
・情報災害としての原発事故。「福島の今」が判りにくい原因は情報が足りないというより、虚偽や印象操作などの粗悪な情報の過多とそれらが野放しにされたことにある。

引用抜粋:現代ビジネス『3.11から10年…福島の「情報災害」が未だに払拭されない理由』

 

 

 

記載されている内容に「そんなことはないはずだ!」って反論がある方は、ぜひ記事の2ページ目以下をご覧ください。

すべての項目についてエビデンスつきで詳しく解説をされています。

自分がみる限りではどれも信頼性があると感じられ、納得がいく内容でした。

 

 

ショックなのは、いまの福島を一番苦しめているのは、

揺れや津波による被害ではなく人の言葉だということ。

 

 

福島は、住んでもいいし、遊びに行ってもいいし、そこにある食べ物を食べたって、

なーーーんの問題もないという事実はすで科学的に断言できる状態です。

なのに、知識不足、思い込み、排他意識で、それを理解しようとしない、

それだけでなく、偏見をもとに差別とバッシングを積極的に繰り返す人が一定数います。

 

積極的に、っていうのがまた意味不明で不愉快だけど。

 

 

福島から越してきた人を汚染されたように扱うこともそうだし、

福島産の食べ物に対して不買運動をすることもそうだし、

政治家が弁当に対して「ベクレてる」とか発言することもそうだし、

わざわざ「フクシマ」なんてカタカナ表記にすることで世界的に不幸な街である感を出したりするのもそう。

こういった人達が、いま一番の「福島の害」になっています。

 

 

 

なんなんだろうね。

自分が特別な安全地帯にいる気になってるから、こういう差別ができるんだろうけど。

 

 

「福島!放射能だ!ワー!」なんて言ってる人。

どこにいようと、だれもが今この瞬間にガンガンに被ばくしてること知らないのかな。

 

 

我々は、呼吸、食事、土壌、宇宙線から、知らない間にめちゃくちゃ被ばくしてます。

人間はただ普通に生活しているだけで、年間の被ばく量は2.4ミリシーベルト(世界平均)。

下の図を見るとわかりやすい。

 

自然からの放射線量

図の引用元:自然放射線の量

 

あと、生き物からも微量ながら放射線が出てます。

自分自身はもちろん、親、兄弟、友達、ペットからも出てます、放射線。

人ごみにいけばなおさら、満員電車に乗ればさらになおさらです。

 

 

もう我々のまわりは放射性物質だらけなんです。

 

 

でも、別にその影響のせいで私達は病気になったりしてないでしょ?

それを気にして生きてないでしょ?

日常的に私たちは被ばくをしてますが、影響なんて気にしなくていい、その程度の話なんですよ。

 

 

 

福島の最近の放射線量

上の図は2020年時点での放射線量を示すデータです(引用元:福島県放射能測定マップ)。

立入禁止エリアを除けば、時間当たりの被ばく量はほぼ0.1マイクロシーベルト以下におさまっています。

 

単位をミリに揃えると0.0001ミリシーベルト。

これが24時間×365日になると、被ばく量は年間で0.876ミリシーベルト以下ってことになります。

 

外部被ばく

これは、さっきの円グラフでいうと紫色の部分「外部線量」にあたりますが、

円グラフ内の数字を見てみると外部線量の合計は、0.48+0.39で、0.87ミリシーベルト。

福島が0.876ミリシーベルト、全世界平均が0.87ミリシーベルトって、もうほとんど差がありません。

福島も、他の地域もほとんど被ばく量が変わらないってことです。

 

 

つまり、

 

「被ばくしたくないから福島に行きたくない!」って言ってる人は、

福島での被ばくを怖がりながら、福島とほぼ同量の被ばくをしてるってことに。

 

おおぅ、控えめに言っても滑稽すぎるでしょ( ゚д゚)ポカーン

 

 

 

普通に生きていると、年間被ばく量が2.4ミリシーベルト。

ラドン温泉やラジウム温泉の近くでは10ミリシーベルトになることもあるそうです。

ですが、そんな地域であっても発がん率が高いなどのデータは何も出ていません。

 

0.1ミリシーベルトの差を気にするのか、

1ミリシーベルトの差を気にするのか、

10ミリシーベルトの差を気にするのか、

 

どのラインから気にして、遠くに逃げたり、それを避けた生活をするのかは、その人の勝手。

「科学的にどうだって言われようが自分は嫌なんだ!」ってならどうぞどうぞ。

それも一つの価値観だから好きにすればいい。

 

 

 

でも、それは黙って一人でやれよ。

 

違う価値観で生きる人に対して、わざわざ石投げにいくな。

 

 

 

その場所に生きる人達は自分の物差しで「大丈夫」と判断して、その場所に生きている。

あなたの非科学的な物差しでレッテルを貼りにいくのは、迷惑以外の何物でもない。

それは相当イタいし、相当恥ずかしい行為でしょ、

人として。

 

 

 

震災から10年経った福島。

「安全」だけでなく、早く「安心」も一緒に取り戻せますように。

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