【演劇】 IQ5000応援隊のキャストインタビュー

公演「BlackBerry」の開演を間近に、

IQ5000応援団からインタビューを受けたよ!

 

けっこう砕けた雰囲気で世間話のようにしゃべった1時間だったけど、

やっぱり文章にすると固い感じがするもんだね!

インタビューって難しい!

次はそのへんも意識してもっと柔らかい語彙をチョイスしてしゃべろう。

 

以下、インタビュー記事の転載。

 

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自分にとっての正しい姿勢で演劇を続けていけたらそれで充分です。

客演 中西浩インタビュー

 二人目の客演にしてインタビューの本当の最後となるのは中西浩氏だ。中西氏もまたキタ氏と同様、腹筋善之介氏のワークショップに参加して半ばスカウトされたかの如く客演の常連となっていった俳優である。やはりここでもIQ5000に対しての客観論が続出し、とても興味深い対話となったが、実のところ根本的、基本的な事に多く気づかされ、改めて「IQ5000の演劇」に対しての捉え方を考えさせられる重要なものとなった。それこそが客観視ならではの冷静な見解なのか。IQ5000との対比を含めて、一考しながら熟読していただければ幸いである。まずは中西氏のバックボーンから。

「演劇は大学時代からやっていたんですが就職した時にすっぱりとやめまして。卒業する際に、とりあえず演劇を続ける続けないに関わらず東京に出たいと思っていたんですね。でも結局仕事で上京しても自由もなく、このまま30、40になった時の自分というのが想像できてしまって、それはつまらないなぁと。それと僕は大学卒業する間際に父を亡くしてまして、今度はそう悩んでいる時に母も芳しくない状態になってしまって。二人とも僕には好きなことをやって生きなさいと言ってくれていたので、母を亡くした27,8歳くらいの時に会社を辞めました。その後、何か表現活動で生きていけないかなと模索しているときに、友人が『姫が愛したダニ小僧』(後藤ひろひと作)をラゾーナで上演するという事で観に行ったんですが、そこでたまたま腹筋善之介ワークショップのチラシを発見したんです。」

 20代後半にて人生の軌道修正をされた勇気とその気力の大きさは計り知れない。これまでも様々な転機によって腹筋氏がいる演劇の門を叩いてきた方々の話を聞いてきたが、中西氏の場合はまず自らの足場を固め、そこから未知なるフィールドへと一歩ずつ前進していくスタンスである。言葉を変えると、「腹筋氏への憧れありきではない」。とは言え、どこかに腹筋氏の「凄さ」はインプットされていて、そのちょっとした符号がこれからの演劇人生への糸を手繰り寄せる鍵になっていくのが面白い。

「元々惑星ピスタチオとして活動していた時期の腹筋さんをリアルタイムでは知らなくて。友人から『なんか眼力でろうそくの火を消そうとしてる人がいるらしい』というのが、僕にとっての腹筋さんの最初の情報でした(笑)。演じている姿を観たのは2001年のG2プロデュース『天才脚本家』のビデオ映像が初めてで、そのときはとんでもない衝撃を受けて。なのでこのワークショップは是非とも受けてみたいなと迷いなく申し込みました。で、これが、ラゾーナの小屋付きをやられていたスタッフさんたちが、腹筋さんが好きだったゆえにそこに招いてワークショップをやろうという企画だったそうで。行ってみたらそのスタッフさんら皆受講者として参加してるっていう(笑) そこからの縁で彼らが作る作品によく誘っていただく事になり、舞台復帰していくようになるんですね。」

 この後、新たに行われた腹筋善之介ワークショップオーディションに参加した中西氏は一年目の『ヤガク』、半年後の同演目の再演、続いて翌年のワークショップへも参加し百合ヶ丘にて『スクランブル・エッグ』、さらに『カラー・トラップ』、一つ飛んで初めての本公演参加となる『ジャングル』、木星劇場での『ヤガク』と、この参加率はキタ氏同様、既にIQ5000の新メンバーではと錯覚するほどの登板回数である。実際、以前からもっともっと出ていたのではとも思わせるほどIQ5000にフィットしているが、やはり中西氏も一歩引いた目線でこの劇団をと観察されている事がとても興味深い。

「IQ5000は普通の劇団ととても違って、集落というか家族というか、「腹筋村」というんでしょうか(笑)。しかも家も隣り通しがくっついている長屋ってやつですよね(笑)。見ていてそんな雰囲気の家族なんです。フリーでやっているので他の劇団とどうしても比べてしまうと他はもっと素っ気ないというか、もちろん他も仲はいいんですが、ただ「仲が良い」の種類が違うというか…。友達同士の仲良し、恋人、家族の仲の良さ、それぞれちょっと違うじゃないですか。IQ5000はそれらでもない、「特別な仲の良さ」という感じです。もっと淡泊なんですよね。なので、僕は「腹筋村」のお祭りの時期にお呼ばれしてもらえる隣り町の男みたいな存在ですね(笑)。」

 「村」「集落」という表現は大胆かつ言い得て妙な例えではないか。これまでの各位インタビューにて必ず出てくる、「IQ5000は特殊」「IQ5000は他とは違う」といった言い方。これらを言い表す、一般的理解度の高いワードこそがこの、「腹筋村」という例えだと感じる。「村」は奥深く、「村」は優しさと厳しさに満ちている。助け合い、話し合い、共有しながら営みが継続していく、それがまさに「村」「集落」の有り様だ。そしてそこには必ずそこなりの特徴や風習、特有の掟やルール、空気感が存在するもの。それがきちんと伝承されていくかどうかは世代間の交流の度合いや、時代の移り変わりによって多分に揺れ動いていくものだと思うが、確かに「村」には特殊な個性が自然と根付く。「集落」=「集団」とは基本的にはそういうものではないか。そんな隣り村からやって来た中西氏の持論はとても興味深いものがある。その話は村長である腹筋氏の内面論へと移り、まだまだ続いた。

「ジャンル自体がなにものにも属さない、まさに『腹筋善之介という一つのジャンル』なんでしょうね。なんだろう、すごく高尚だし、お茶目だし、たまに少し抜けている時もあったり(笑)、そして時にワガママな子供になってしまったり。でもやっぱり彼が怒っているところは見たことがない。ダメ出しの事も「チェック」と言う。人間のいいところを拾って生きていこうという方なので、悪いところはまず赦したり…。もう全人類が腹筋さんみたいになったら、戦争がピタっと止まるんじゃないでしょうかね(笑)。あと、やっぱり彼は整体師ですから、そういう側面がとても面白いですよね。」

 整体の根源は気功という説もある。その奥底には当然心理的な作用も多分に影響しているものだろう。ワークショップの度に堅い参加者の身体を和らげているという腹筋村長だが、何だか話を聞いていると村長というよりも村の守り神のような存在にも感じてきてしまうのから不思議だ。「何かの拳法の道場の門を叩いて入門したはいいけど、長年の修行を終えて皆伝を迎えた際に師匠から授けられたものは何故か含み針で、なんやねんコレ?みたいな(笑)。一体どういう体験してんだろうこの人はという方ですよね(笑)」と中西氏の腹筋氏トークは止まらない。それはまるで自分の村に帰ってきて、いやぁオモシロい人がおったでぇ!と、みやげ話に花を咲かせているかのようだ。そんな外からの視点、観察は、とても重要なフィードバックとして響く。さて、そんな隣り村からのゲストスターは、今回の村のお祭り、ではなく新作「BLACKBERRY」をどのように捉えているのだろうか。

「まぁ台本は完成していて既に渡されていますので前作(「ジャングル」)よりはまだ(笑)。「ジャングル」は台本の完成も遅かったですしね。今回の「BLACKBERRY」は不幸な境遇の子供達が出て来るんですが、当の本人たちは決してそうではない、幸せと不幸せの物差しがちゃんとないのかもしれないんですが、本人たちなりに前向きにやっていこうとする子たちの物語ですね。演劇って結構計算ずくだったり、体当たりで役になりきっていったりといろいろあるんですが、今回は後者かなと。その役を変な小細工を入れずにしっかりと演じきれたら、とてもいい作品になると思っていますね。僕は子供たちの中の一人で、ちょっとべらんめぇ調の子の役(笑)。早口の威勢のいいお調子者、いきがっているスネ夫みたいな役が僕ですので、是非注目してください(笑)。」

 内容の洞察も実に客観的でクールだ。かつ、続けて話してくれた内容論でも冷静が故の的を得た考察があった。

「多分腹筋さんの中で、社会性のあるもの、メッセージ性のあるものに、今やりたいことがシフトしているんじゃないでしょうか。数年に一度の「本公演」となるとやりたい事がしっかりと出てくるという事だと思いますね。前作「ジャングル」の方が社会性が強かったとは思いますが、もちろん今回もそういう面が多分にあります。だけど、今回はもっと一生懸命に生きていく子供たち、そこに焦点を充てている。そっちの方が大きいかなと思っています。」

 【方向性のシフトチェンジ】とはなかなかの明快なアンサーだと感じてしまった。内面から見ると多面的であろう複雑なカタチととれても、実は表面的に見れば単純な思想の移り変わり、しかし大げさなものではなく季節によって衣替えをするような、そんなナチュラリズム的印象を受けたのだ。これまで様々な形容がこのIQ5000にはされてきたが、この自然な捉え方もまた然りな「見え方」であり「在り方」であろう。やはり隣り村からのごく普通の意見にも、耳を傾けるにこした事はないのだ。

「今後の自分に関しても、今のスタンスと変わらないと思っています。目の前のお客さんの心を動かすために何をしたらいいか、ってことだけを妥協なく考えるだけ。のしあがりたい、名を売りたい、ということを第一目標に考えて目を血走らせて生きることにはあまり魅力を感じていなくて。演劇をやっている動機はお客さんの目の前で芝居をしている時、舞台上でそのリアクションがリアルに返ってくることがわかる、それがとても楽しくて僕は演劇を続けているんですね。もちろん大きい舞台に立つ事は魅力的ですし、観て頂けるお客さんの数も多いに越したことはないです。ただ作品の質にこだわった結果によってそういう機会が増えることは大歓迎ですが、名を売ることを目的にした背伸び営業の生き方はしたくない。最近結婚したんですが、いずれ子供が出来て、皆でゴハンを食べられるくらいの仕事をしっかりとして、その中で自分にとっての正しい姿勢で演劇を続けていけたらそれで充分です。今はそれが出来ていると言えば出来ているので、同じことを同じように続けていきたいですね。」

 最後に中西氏自身の「これから」をうかがってみたところ、これもまた「人間らしい」「つつましい」自然な言葉で素直に表現された答えが返ってきた。この世界観は、実はIQ5000も同様なのではと中西氏は語った。きっとこれからも様々な流れに乗ってカタチを変え、「見え方」も「在り方」も変わっていく事があるだろう。しかし、それが「集まりの姿=集落」であり、何者にも代えがたい「家族=マザーシップ」という事なのだ。真の人間性が共有出来てさえいれば、たとえそれが隣り村からの使者であっても、である。

「IQ5000は集落という存在ですから、自分はこの距離感でいいのかなと。集落と言うといい意味でも悪い意味でもいろいろありますから。他の文化が入りづらいとか、アンテナが短くなりすぎてないかとか。だから僕も村にお邪魔する時はそちらのルールに従っていくし、でも他にもこんな事があるよとか、外の情報を一緒に持って行ってあげたりとか。僕としてはそんな付き合い方がいいと思っています。」

2016年9月29日 新宿にて。

→IQ5000応援隊

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うん、やっぱり終始エラそう!(笑)

でもIQ5000「BlackBerry」をよろしくねぇ!!

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