【演劇】劇団チョコレートケーキ『一九一一年』

劇団チョコレートケーキ『一九一一年』

劇団チョコレートケーキ一九一一年

 

劇団チョコレートケーキ『一九一一年』を配信で観たよ!

 

あ、公演はすでに全上演日程を終了しています。

アーカイブ配信は8月15日まで。

 

 

史実に対して内側から切り込み、その人間模様を描いてく作品が多いチョコレートケーキ。

今回の題材は1911年の大逆事件における検事・判事達のドラマ。

 

自分は学生時代は理系に進んでしまったので、近代日本史って全然詳しくなくて。

大逆事件(幸徳事件)も、天皇暗殺計画を立てた人達を捕まえるのを口実に無関係な人がたくさん捕まって処刑されたという、ざっくりした知識しかなく。

おかげで偏見とか持たずに観れるので知識がないことも悪くないなと思ってみたり(←己に甘いw)

 

 

普通こういう冤罪裁判モノの話だと、罪をでっち上げられる側をメインに描くのが一般的で。

でも逆に今回はでっち上げる側をメインに描いているのが印象深いところ。

 

巨大な権力によって結果ありきで着々と進む裁判の中で、

唯一それに疑問を抱き、判事としての在り方に悩む田原判事。

しかし周囲の検事や判事には誰一人味方はいない。

 

菅野須賀子の何にも屈しない真っすぐな生き様を目の当たりにした田原が、

死ぬほど悩み、苦しみ、自分が取るべき行動に準ずる姿は本当に美しかった。

 

史実通りそこには無情な結果が待っているわけだけど、

「田原の行動が無駄な努力であった」と思われるような印象はまったくなく。

そこには人間がいて、心臓を動かして、呼吸を荒げて、自分の想いと信念を貫いて。

確かにこの場所この瞬間を一人の人間が生きていたんだなぁと。

グリグリとこちらの内側をえぐってくるものがあった。

 

 

机を4段5段重ねたオブジェもよかった。

あの迫ってくる無言の圧迫感が要所要所でたまらない緊張感を醸していて。

 

 

 

劇中の田原のセリフ、

「彼らを殺したのは権力ではなく、名前のある人間」

っていうのがね、すごい刺さった。

 

コレ、このコロナ禍やオリンピックのゴタゴタでも通じるところいっぱいあるよね。

政治家やら何やらお偉いさんの権力主義的な行為はもちろんそうだし、

逆に一般人が意気揚々と正義の旗振るって誰かを袋叩きにするような行為もそう。

 

世論の声、じゃない。

SNSの声、じゃない。

何かを責める運動が起きたとき、責めた側にいるのは一人一人名前のある人間なんだ、と。

 

そんなことを心に留めておきたいなと思った夜なのでありました。

 

 

あ、劇団チョコレートケーキ『一九一一年』、

アーカイブ配信は前述したとおり8月15日まで!

かなり骨太で見応えのある作品なので、ご興味ありましたらぜひー。

 


劇団チョコレートケーキ『一九一一年』

本編:2時間17分
座談会:1時間25分

【キャスト】
西尾友樹(劇団チョコレートケーキ)
佐瀬弘幸(SASENCOMMUN)
青木柳葉魚(タテヨコ企画)
吉田テツタ
岡本篤(劇団チョコレートケーキ)
島田雅之(かはづ書屋/studio4093)
近藤フク(ペンギンプルペイルパイルズ)
林竜三
浅井伸治(劇団チョコレートケーキ)
菊池豪(Peachboys)
谷仲恵輔(JACROW)
堀奈津美(DULL-COLORED POP)
アンサンブル 加藤広祐、栗原孝順、浦田大地

【スタッフ】
脚本: 古川 健 (劇団チョコレートケーキ)
演出: 日澤雄介 (劇団チョコレートケーキ)
舞台美術: 長田佳代子
美術助手: 小島沙月
照明: 松本大介、石坂晶子
音響: 和田匡史
音楽: 加藤史崇
衣装: 藤田 友
ヘアメイク: 赤坂街子
舞台監督: 本郷剛史、渡邊歩
演出助手: 石塚貴恵
演出部: 加藤広祐
宣伝美術: R-design
写真: 池村隆司
撮影: 神之門隆広、与那覇政之、松澤延拓、大竹正悟
Web: ナガヤマドネルケバブ
制作協力: 塩田友克
制作: 菅野佐知子(劇団チョコレートケーキ)
企画・製作: 一般社団法人劇団チョコレートケーキ

→映像配信案内ページ

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