先日は上野ストアハウスでコレを観てきた。
大自然パノラマ@マタギ演劇『クマウチ』&『腹筋善之介一人遊び』。
腹筋善之介さん率いるIQ5000の本公演だ!
しかも2本立てだ!
20年近く前から腹筋善之介の一ファンだった自分。
8年ぐらい前のワークショップで付き合いができてから、そこから企画公演をやったり、彼が率いるIQ5000に客演で呼んでもらったり。
憧れの存在でありながら仲間みたいな存在。
いや、でもやっぱり憧れの存在。
今回は久しぶりにお客として純粋に外側から見れる機会。
そりゃあ楽しみってもんですヨ ヘ(゚▽゚ヘ)
まずは大自然パノラマ@マタギ演劇『クマウチ』。
迷子になってしまった山奥の山小屋の中で、元マタギのおじいさんの昔話を聞く形で話が展開していく。
いろんなマタギと、それを支える女性達がいて、自分達の時間を生きている。
開発や環境保護の声に押し込まれながら、それでも昔からの掟を守り自然を第一に考えていくマタギ。
凶暴なクマの報を受けて、最後の猟に出かけていくマタギたちのお話。
要約するとこんな感じの物語。
うん、アツかった。
IQ5000の作品はこれまでに多く触れてきたけど、今回はいつもとちょっと色が違う感じ。
歌詞アリの激しいロックミュージックをバックにして魂燃焼系の演技を繰り広げる様子は、なんとなくつかこうへい的な空気に近いものを感じた。
(終演後に腹筋さんにそれ言ったら「へ?そう?」って言われたけどw)
なんていうか、いつもより「前に提示する」という力が強い感じ。
だからつかこうへいっぽい、って思ったのかもしれない。
狩猟のシーン、雪崩に襲われるシーン、木々の生い茂る中を走り抜けていくシーン。
もちろんIQ5000はこれを自らの身体表現のみで作り上げていくんだけど、これら全てがいつも以上にガツガツ前にくる感じでパワフル。
過去のIQ5000の作品でも同じようなシーンの表現をやってきたと思うんだけど、これまで観てきたものとは、なんか根本的に性質が違ってるんだよね。
なんか「飛んでくる」っていうか。
こっちのほうが個人的には好きだなぁって思った。
マタギのおじいちゃんを演じていたマットさん。
腰の折れた老人から、ランドセルしょった小学生までなんでも演じれる鬼才。
IQの看板役者でありながら、ドSな性格の腹筋さんの一番のおもちゃでもある人(笑)
みんなおつかれさま!
で、次に「腹筋善之介一人遊び」。
圧巻だね。
テイストは元々知っていたけど、それでも予想の上をくる。
圧巻過ぎてなんて言ったらいいかわからない。
なんか、下手な言葉で感想書かないほうがいいんじゃないかって思うぐらい。
逆に陳腐になっちゃう気がして(笑)
あえていうと、お客さん達を「想像力フル回転モード」にする力が本当にすごいなぁと。
一人の人間が舞台装置も小道具もない素舞台で、身体表現のみで作品を作るとき。
当たり前だけど絶対的に必要になるのが「お客さんが想像する」ということ。
お客さんが想像しないとそこに青空は見えないし、大海原も現れない。
カッコイイ主人公も現れないし、はかないヒロインも現れない。
ましてや交互に違うキャラクターになり変わって対話するシーンなんて、想像力なしでは絶対に見れない。
もしお客さんが想像する作業をしなかったら、一人芝居ってやつは、多重人格の頭がおかしい人がただわめき続けてるだけのモノになっちゃうのだ。
お客さん自身が想像しなきゃ話にならない。
でも「お客さんに想像させる」ように仕向けるのが役者側の仕事。
いろんな一人芝居を見てきたけど、腹筋さんの場合はその「お客さんに想像させる」っていう力がケタ違いにすごいんだなぁってのが今回実感したこと。
115たちの住処の情景、ネズミがたくさん溢れる監獄、モズやクマバチとのカーチェイス。
ここまで情景を鮮明に想像させてくれる一人芝居ってなかなか出会えない。
ジャンパーの表現が実物大になったときは、腹筋さんにちゃんと8本の足が見えたし(笑)
序盤に「カメラがこうなる、だからこう見えていく」みたいな表現を多く入れていたのはそういう計算なんだろうなぁ。
お客さんに自ら想像するきっかけを与えて、どんどん自分の味方に変えていく。
そしてズドンと笑いと感動の渦の中に。
圧巻の仕事っぷりですわ。
「クマウチ」「一人遊び」、ともに面白かった!
お疲れ様でした!
またね!
↑お客さんから差し入れでもらったらしい
あったかいね(´▽`)
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