映画の上映時間2時間が耐えられない若者のニュース
最近の若者は映画の2時間が耐え難いらしい
「映画館でつい、スマホをいじってしまう」という男子学生Aさん(20代)は、その理由をこう語る。
「なぜかと聞かれると『なんとなくスマホが気になるから』というのが正直なところですね……。映画って2時間じっとしているのが結構耐えられない。そんなに長い動画を観ることって普段ないので。YouTubeは長くても20分くらいじゃないですか? 本当に2時間ずっと面白ければスマホは見ないと思いますけど、映画って見なくても話がわかるシーンがあるから。そういう時間はLINEやTwitterをチェックした方が合理的な気がします」(Aさん)
引用元: マネーポスト 映画上映中にスマホいじりする若者、「2時間は耐えられない」
ちょっとした衝撃を受けたニュース。
いまドキの若者は映画を2時間おとなしく見ていられないって内容です。
YouTubeなどの短い動画に慣れ過ぎて長く感じるだの、
多少シーン見なくてもストーリー分かるからOKだの、
マルチタスクで複数のことしてないと時間がもったいなく感じるだの、
まぁ、いろんな理由があって、上映時間中もスマホを触らないと気が済まないんだそうです。
二度と映画館来るな。
YouTubeは長くても20分くらいじゃないですか?中略~映画って見なくても話がわかるシーンがあるから。そういう時間はLINEやTwitterをチェックした方が合理的な気がします」(Aさん)https://t.co/1inEhD1ICE
— 平野勝之 (@hiranokatsuyuki) November 24, 2019
Twitter上では「二度と映画館くんな」なんて意見がバンバン飛び交ってますね。
まぁ、そりゃそうですわな。
とりあえず、ニュースで取り上げられているこの若者が若者世代の代表ってことはないと思います。
さすがに若者全員がこういう人間ではないはず。
でも、一部であってもこういうタイプの人のが存在するってことは事実で間違いないでしょう。
うーん、長い時間映画だけに集中できないんだって主張自体は、
別にツッコむ気も咎める気もないですけどね。
問題なのはね、それ人の迷惑になってんだよってこと。
どんなにスマホの光量を絞ろうが、確実にそれは他のお客さんからも見えてます。
生き物ってのは視界の中で「動きがあるモノ」に注意がいくようにできていて、
スマホ画面の着灯、着灯しているスマホの動き、流れている画面、操作している指の影の動きなどは、たとえそれが視界の端っこにあったとしてもガッツリ注意がいっちゃうもんなのよ。
あなたが上演中に使ってるスマホ、
まわりのお客さんの集中を妨げまくりでございます。
今回のニュースで「うわぁ・・・」って思ったのは、
自分の都合が優先で他人の都合はどうでもいいって空気がプンプン漂ってるところ。
しかも悪いことしてる自覚ないってのが余計タチ悪いです。
学生とはいえ10年20年生きてる中で「映画見るときは携帯OFFに」って言葉には飽きるほど触れているはず。
それでも守ろうとはしないし、そもそも守る必要あるの?って感覚なんですもんね。
おそらくこういう人たちは上演前の注意アナウンスをどれだけ強化しようが、1ミリも改善されることはないでしょう。
あーやだやだ。
演劇における携帯電話問題も深刻
今回は映画での事例だけど、
演劇においてもこういうのは無視できない問題ですよね。
菅田将暉の主演舞台で「スマホアラーム」「何かが光ってる」 マナー違反相次ぎ、主催者が対応強化#カリギュラ #スマホ #マナー #舞台 #菅田将暉 https://t.co/B8govEyoTz
— J-CASTニュース (@jcast_news) November 22, 2019
実際、先日の菅田将暉くんの舞台「カリギュラ」でも観劇マナーの悪さが話題になりましたもんね。
アラーム音を鳴らしたり、自撮りしたり、録音したり。
なんとまぁ、Yahooニュースにまで取り上げられたぐらいです。
どんだけひどかったんだよ(汗)
よくステージパフォーマンスを舞台側からの一方通行の発信だと思っている人がいますが、
実際はそうではありません。
舞台に立っている側は客席からの空気を感じて、それに向き合ってパフォーマンスをしています。
前説とかはそれがわかりやすく顕著ですよね。
前説が面白い人は、しっかりとお客さんのリアクションを拾って話ができています。
お客さんと双方向で話ができてるかどうかって、超重要事項なんですよね。
一方通行で言葉を垂れ流してるだけの前説は面白くないし、内容も全然入ってきません。
芝居中においても、俳優はお客さんの空気によって間の取り方を変えています。
自分は「間のコントロール」は「お客さんの緊張と緩和のコントロール」と捉えていて、
芝居の間で緊張させ続けていけばお客さんはドキドキハラハラ集中していくし、
その緊張を意外なところでホロッと緩めるから安心や笑いが起きたりする。
逆に緩め切ったところからグっと急激に引っ張っていけばドキッとするし、
アップテンポで走り抜ければ爽快感や高揚感を与えられたりします。
でもお客さんはモノじゃないので、その日そのときによって最適な間が全然変わってきます。
昨日はこの間が3秒だったから、今日もこの間が3秒で最適ってことはない。
客席に対して敏感なアンテナを張って、その日そのときの最適な間を測りながら演じているのです。
つまり演劇ってやつは、100回公演であれば100通りのお客さんに対して、
そのときそのときの空気を察した最適のパフォーマンスにカスタマイズしてお届けしているワケです。
そう考えると、お客さんも劇場という空間の一部であり、
芝居に影響を多大に与えているという意味では、もはや作品の一部なんですよね
その作品の一部である客席から、携帯電話の光漏れが出たり、着信音が鳴り響けばどうなるのか。
俳優が繊細に仕掛けていったお客さんの緊張と緩和は、芝居とは無縁の突然の刺激によって一瞬で吹き飛びます。
すみませんが、答える気にもなりません。 https://t.co/n3yMIU5vIj
— ケラリーノ・サンドロヴィッチ (@kerasand) November 21, 2019
Twitterではこんなやりとりを見かけました。
ケラさんも、そりゃ答える気にもならないだろうよ。。。
上演中に携帯の音が鳴らないために、どうしたらいい?
さてさて、
「上演中に平気で携帯電話使う人いるぞ!許せねぇ!」
と鼻息を荒くしていても仕方がありません。
何をしたら防げるのかを考えていくのが建設的です。
先に結論から言っておくと、完璧な解決策ってのはないと思います。
いや、だってそんな簡単に解決できるんならこんな風に長年問題になってないだろうし。
方法があるなら、とっくにどこかの誰かがうまいことやって、それが世間に広まっているはず(笑)
まぁ、でもあきらめて思考停止しても仕方がないので。
あがいてあがいて人は進歩するのサ!
勢いが大事!!
客席で携帯電話をいじる(鳴らす)お客さんが1%でも減らせそうな施策を考えてみましょー。
1.アナウンスを強化する
誰もが一番最初に思いつく手段ですね。
たぶんほぼすべての団体が開演直前に携帯電話についての注意をしているかと思いますが、
これの回数を増やしたり、言葉を強めにしてみたり、受付やもぎりでもアナウンスをしてみたり、
よりお客さんの「携帯はOFFにしなきゃだ」という意識を高める作戦。
でもねー。
たぶんあんまり効果ないですよねコレ。
携帯の電源をOFFにしない人は、何回同じアナウンスを聞こうがそれを実行しません。
仮に携帯の電源をOFFにしない人が20%いたとして、それが19%とか18%程度になるだけのような気がする。。。
逆に、普段からちゃんと電源OFFにしてる人にとっては、しつこいアナウンスってけっこうストレスかも。
すでにちゃんと守ってることを繰り返し言われるのは、誰だって気持ちいいもんじゃありません。
2.入場時に携帯を取り上げる
入場前にお客さんの携帯を預かってしまいましょう!
そうすれば上演中に携帯をいじる人なんて誰一人・・・・うん、無理。
もはや個人情報や金融情報の塊であるスマホを人に預けるなんて、超嫌がられます。
観客の数だけ預かる受付も大変だし、同じ機種が混ざったらもはやカオス。
現実的じゃない、却下!
3.携帯電話抑制装置を導入する
大きな劇場であればこれを備えているところもありますね。
問題は簡単に設置できるものではないということ。
こういったジャミング装置は秋葉原とかでも売ってるらしいですが、
効果範囲は数メートル程度のものがほとんどらしく、
しかも勝手に使用すると電波法違反で罰せられます(懲役5年以下、罰金250万以下)。
携帯電話抑制装置を導入するためには法務大臣からの免許が必要で、
この免許は劇場側が取らなければいけない&めっちゃ高額なんだそうです。
気軽にホイホイつけれるものではないので、ちょっとこちらも現実的ではないですよね。
一般普及も相当先になりそうです。
ちなみにあくまで携帯電話抑制装置は電波受信を妨害するだけなので、
電話のアラーム音は防げませんのであしからず。
4.コミュニケーションあふれる前説をする
前説は制作部の人が立って機械的なアナウンスをするところが多いかもしれませんが、
劇団によっては役者が出てきて面白おかしく前説やるところもあります。
キャラメルボックスなんかは前説でプロデューサーと役者が出てきて、携帯電話の電源切っての歌を歌ったりしてました(笑)
データを取ったわけでもなく個人的な体感でしかありませんが、
こういうコミュニケーションあふれる前説のほうが、劇中で携帯電話が鳴る確率が低い気がしてます。
(歌を歌えとは言っていません)
これってたぶん、お客さんとちゃんと対話できてるからなんじゃないでしょうか。
先にも書きましたが、前説を担当する役者が達者であればあるほど、
お客さんのリアクションをしっかりと拾って双方向のコミュニケーションを行います。
機械的な言葉で言われる「電源はお切りください」と、
ちゃんと顔と顔が合ったコミュニケーションの中で言われる「電源はお切りください」では、
すごく大きな差があるんじゃないかなと。
お客さんからすれば顔と顔を合わせていれば自分に言ってるんだって感覚になりますし、
(明かりのせいで舞台上からは客席の顔はほとんど見えてないことが多いですけど)
面白おかしい前説の段階でその役者を気に入っていれば、すでにそれは推しみたいなもので、
アナウンスにも応じようという気になれます。
応じない人はこれでも応じないんでしょうけど、一定の効果はあるんじゃないでしょうか。
デメリットは、前説に役者が立つこと自体がイメージに合わない芝居だったとき(汗)
本編が堅くて静かな現代劇とかだと、おもしろ前説って憚られますもんね。。。
5.お客さんの観劇マナー意識を底上げする
携帯をOFFにする習慣がない人に、
それがどれだけ大きな影響を与えることなのかを理解してもらえるよう努めること。
具体的にはSNSなどによる地道な訴えでしょうか。
はっきり言ってまず即効性はないですし、満足いく効果が出るかどうかはわかりません。
でも、もしこれで効果が出るのであれば一番理想的で美しいことかもしれませんね。
理解してもらうことは主に2つ。
(1)他のお客様に対しての迷惑
理解してもらう第一は、他のお客様に対して大きな迷惑になっていること。
お客様は当然ながら観劇のためにチケット代を支払っています。
劇場までの移動にも交通費や時間を割いていただいています。
人によっては他の予定を外してご来場いただいていたり、ものすごい遠方地域からご来場いただいていることも。
みなさん、その日そのときだけの劇場での時間を楽しむためにです。
だからこそ、その空間にて他のお客さんが不快に思うことを行わないでほしい。
携帯をOFFにするだけという、ものすごく簡単かつ、ものすごく優しい気遣いを心掛けてほしい。
(2)その瞬間を作り上げるまでの過程のこと
そしてもう一つは、その空間を作ることに演出家や役者、スタッフは一ヶ月以上をかけて準備をしているということ。
「ちょっとした雑音で台無しになるようならその程度のレベルなんだろう」と言う人がいるかもしれませんが、はい、その通りですよ。
作り手は、ちょっとした雑音の有無で仕上がりがガラリと変わってしまうぐらいに繊細なレベルのことを一ヶ月以上模索してきてるんです。
なんとなく気になって携帯を触っちゃうこと、うっかりで音を鳴らしちゃうってことが、それらの努力の時間を驚くほどあっさり吹っ飛ばしてしまうことをわかってほしいです。
客席の携帯問題、結論
うん、現実的なのは 4.コミュニケーションあふれる前説と 5.お客さんのマナー意識の底上げですね。
ただし4は芝居の内容によっては実施が難しいので汎用性は低め。
でも効果が一番望めるのは4のような気がする。
あとは地道な5ですかねぇ。
SNSでそういった常識やマナーを発信していくのはアリですが、
そういうのまったく気に留めない層もいますし、そもそもSNS使わない層もいます。
効果を実感できるレベルまで浸透させるのはすごい先なんだろうなぁ。。。
何か新しい技術ができると解決したりするんですかね?
でも、できれば人間のほうで意識改革が進んで改善されていくほうが望ましいとは思います。
作り手側としても、何かの技術で押さえ込むより、人が自発的に配慮を持ってくれるほうが気持ちいいものなので。
少しでも観劇マナーが向上しますように。
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