【演劇】演劇ファンの強い味方「観劇三昧」

演劇ファンの強い味方「観劇三昧」

観劇三昧

 

以前ワンピースアプリを紹介した記事でチラッとふれたサービス「観劇三昧」

 

前回はあまりに薄っぺらい触れ方しかしなかったけど、本当に優れた仕組みを作っているサービスでございます。

せっかくなので今回は観劇三昧というサービスがどういったものなのか、具体的に見ていきましょー。

 

 

観劇三昧とは?

観劇三昧アプリ

株式会社ネクステージが運営する「観劇三昧」は演劇専門の動画配信サービス。

全国さまざまな劇団がこのサービスに自分たちの過去公演の本番映像を提供していて、それをパソコンやスマホアプリでいつでも視聴して楽しめるというもの。

 

あ、ちなみに観劇三昧は下北沢と大阪日本橋にグッズ販売などを行っている実店舗があるんだけど、混ぜて話すとややこしくなるので今回は割愛。

とりあえずここでは動画配信サービスとしての観劇三昧のみに焦点当てていきまーす。

 

 


 

まずは一般の利用者にとって観劇三昧では何ができて、いくらかかるのか、ってところから。

 

1.観劇三昧ではどんな作品が見れる?

テレビ

 

2019年1月時点で328の劇団が合計1,111の動画を提供してます。

 

動画は過去上演作品をフル収録したもの。

有名な劇団では演劇集団キャラメルボックス、柿食う客、劇団鹿殺し、維新派、カムカムミニキーナなんかが揃っている。

有名とまでいかなくてもよく名前を聞くような中堅どころの劇団もいっぱい登録されてるね。

 

映像クオリティはその劇団が自分たちの公演の上演中に撮影したものなので、けっこうバラバラかなー。

たとえばDVDの出来にこだわりを持ってるカプセル兵団なんかはかなり質が高いけど、逆に自分達で撮ってがんばって編集したのかなというクオリティのものも混ざってはいるね。

とは言え、いちおう運営側でチェックが入っているので、露骨におかしなクオリティのものは混ざっていないのでご安心を。

 

2.観劇三昧の利用料金は?

観劇三昧の費用

 

動画は、アカウント登録さえすれば見放題になる無料動画と、ライセンス購入をすると見ることができる有料動画の2種類が用意されている。

ライセンスは月額980円ポッキリ。

 

キャラメルボックスのチケット代なんかは通常7,000円ぐらいするので、1本それを見れば7か月分の元が取れてしまうという破格の価格設定。おそるべし。

 

3.観劇三昧の活用方法は?

観劇

 

いつでもどこでも何度でも上演作品が見れるというのが一番のメリット。

好きな劇団の過去作品を見たい、昔見て面白かった作品をもう一度見直したい、上演期間中に劇場に足を運ぶ時間が取れなくて見逃した作品を見たい、遠方地域の劇団の作品を見たい、仕事や育児で劇場に足を運びづらいが演劇を見たい、有名劇団の作品を見て勉強したい、とにかく安く多くの作品を見たい・・・

こういった様々な使い方が考えられます。


 

 

まぁ、一言でまとめると観劇三昧は「月980円で演劇動画1000本がスマホとパソコンで見放題のサービス」ってことです。

とくにややこしいことはない、極めてシンプルなサービス内容ですね。

 

 

じゃあ次は劇団側からみた観劇三昧とは、って視点で。

 


4.劇団側からみた観劇三昧のメリット

観劇三昧の劇団側のメリット

観劇三昧は、運営会社が利益追求よりも劇団それぞれへの支援と演劇業界の発展を目指しています。

 

そのため劇団側にかかる金銭的な負担は完全にゼロ。

具体的には、観劇三昧への劇団の登録費用なし、観劇三昧への動画の掲載費用もなし。劇団が観劇三昧には1円足りとも払うことはなし。

 

それどころか、観劇三昧で得られた全体収益の70%を各劇団に還元するという太っ腹っぷり。

つまり何度も再生されるような人気動画を観劇三昧に提供できた劇団は、それだけ大きな収入を得られるというわけ。

 

しかも観劇三昧に公開されている動画自体が宣伝になることもあるはず。

これまでその劇団を知らなかった人が「この劇団おもしろいな。次の公演観に行ってみようかな」という形でお客さんになってくれる可能性も期待できます。

このように観劇三昧は、劇団にとってメリットだらけ。

 

劇団にとってのメリット:

  • 劇団の金銭的負担ゼロ
  • 動画の再生回数に応じて報酬が発生する
  • 劇団の宣伝になる

 

5.劇団側からみた観劇三昧のデメリット

観劇三昧の劇団側のデメリット

じゃあ逆にデメリットはなんだろう・・・・と考えても、あまり思い当たらないなぁ。

 

その劇団が過去公演DVDを販売していたとしたら、観劇三昧にその作品を提供することでそのDVDが売れなくなってしまうという懸念をするかもしれない。

でも自分もいろんな劇団の物販手伝ったりしたことあるけど、知るかぎりでは過去公演DVDってぶっちゃけほとんどハケないのが実情じゃない?

公演中の作品のDVD予約はたくさん取れても、過去作品DVDって数枚しか売れないとかもザラって印象なんだけど(ウチは過去公演DVDいつも何十枚も売れてるよ、ってところあったらごめんなさい)。

 

もう大した売り上げにならないことがわかっている過去作品DVD。

これを眠らせたままにしておくか、観劇三昧に出してお客さんの目に止まるようにするか、どちらが有効かは明らかでしょー。

劇団にとってのデメリット:

  • 過去公演のDVDが売れなくなるかもしれない → そもそももう大して売れねぇよ!(暴言)

 

観劇三昧のこれからの課題

観劇三昧の普及

 

いいことづくめの観劇三昧。

でも課題は普及率。

 

なんかまるで観劇三昧の手先かのようにサービスの良い部分ばっかり書きまくったけど。

でも観劇三昧には残念な部分もやっぱりあるわけで。

 

それはまだまだサービスの認知と普及がされていないこと。

 

公式HPを見ると現在ダウンロード数は15万ぐらいらしい。

でもレビューを見ると初期不具合が多くて不満を書いてる人が多く見かけられる。

たぶんこの感じだとダウンロードはしたけど使ってないって人がかなり多いんじゃないかなぁ。

 

そう考えると観劇三昧の現在の実稼働数はそれほどの数字ではないはず。

どんなに良いサービスだったとしても、使ってくれる人がいなかったら意味がないもんねぇ。

せっかく劇団に収益還元するシステムがあっても現状だと雀の涙で終わってしまいそう。

 

1.観劇三昧の普及を進めるために

観劇三昧の運営さんはSNSなんかで情報発信をがんばってるし、リスティング広告も出したりしてる。

とにかく認知度を上げて普及させ、利用者を増やしていかないとだもんね。

 

でも普及には、ぶっちゃけ劇団側の協力が一番大きな力になると思う。

 

たとえば、日本で実稼働してる劇団の数っていくつぐらいになるのかわからないけど仮にそれが1000だとして。

1000の劇団がそれぞれ1本ずつ自分たちの過去作品動画を提供して、自分たちの公演で当日パンフの裏表紙に観劇三昧の案内とそのQRコードを掲載する。

たったそれだけでもすごい宣伝効果にならないかい?

 

もちろん一枚岩の業界ではないし、数多の劇団それぞれに協力を仰いでいくこと自体が大変なことなのは間違いないんだけど。

劇作家協会とか、地域の演劇連盟とか、もしくは演劇祭やコンテストなど、まずはそういったまとまった団体からでも連携って取り合っていけないものか。

 

もし業界全体でそういう姿勢になることさえできれば、観劇三昧の普及は決して難しくないし、普及による恩恵もどんどん膨らんでいくと思うんだよなぁ。

 

2.もし観劇三昧が大きなサービスに成長したときの恩恵は計り知れない

観劇三昧が成長していまの何十倍何百倍の規模になれば、多くのメリットが生まれてくると思う。

 

まず単純に有料会員数が増えれば、収益が増えて劇団に再生回数報酬が入りやすくなるよね。

さすがにそれだけで劇団が食べていけるようになるとは思えないけど、ちょっとでも活動資金の足しになるなら万々歳だと思う。

 

あと期待できるのは演劇自体の地位と認知度の向上。

コレ大事。

 

演劇動画に触れる人口が多くなれば「映像で見るより生で見た方が100倍面白い」という演劇の特性からいって、実際に劇場に足を運んでくれる人口は間違いなく増える。

業界内のお客さんの母数が増えればそれだけ多くのお金が動くわけで、そうなればこれまでよりマネタイズがどんどんしやすい環境になっていく。

 

これにより「演劇は儲からない」という現状が改善されれば作り手は増えるだろうし、一定ラインの利益が出せる算段がつけば企業だって参入してくる。

小劇団単位で考えても経済的負担の軽減は作品作りの環境を向上させるので、良質な作品を生み出しやすくなって、それがまたお客さんを呼ぶという、良い循環が生まれていくんじゃないかな。

 

あとは観劇三昧自体が大手ポータルサイトとして認知されると大きいよね。

観劇三昧が動画配信サイトとしてだけでなく、面白い劇団を探す場所、面白い役者を探す場所として活用されるようなポータルなメディアになっていくと万々歳。

作品から最新の公演情報への動線なんかも整理できると集客につなげやすいんじゃないと。

 

3.動画コンテンツの未来は明るい

ちょうどいま、動画コンテンツの進化が目覚ましい状況にあることも追い風だよね。

YouTuberたちの躍進はみんな知ってのとおりだし、これからは次世代通信方式「5G」の普及が控えていて、動画コンテンツがより盛んになっていくのはWeb系のインフルエンサー達がみんな口を揃えて言っていること。

これからは何かしらの事業を展開するときには動画コンテンツは無視できない存在になると思う。

 

そんな中で、演劇業界も動画コンテンツを当然のように扱っていけるといいよね。

今回の話の場合は「演劇の本番映像を残してストックビジネスとして活用していく」ってことだけど、こういったやり方が当たり前になっていけばいいなぁと思う。

 

っていうか、そうなっていくべきと強く言ったほうがいいのかも。

 

いろんなテクノロジーが発達して様々な新しい形態のサービスが生まれていく中で、それを無視して昔と同じことをしていていいわけがないもんね。

(演劇に限らずだけど、残念ながら業界には昔ながらのモノを守るって言い訳で、時代の流れに対応することをサボる人が非常に多いので)

 

まとめ

観劇三昧は良いサービス!

業界のためにもっと普及させたい!

みんなで普及の協力できるといいね!

 

って感じの内容でした。

 

普及に関しては、こういった机上での考察はホント簡単なんだけどねー。

実践するのは当然大変だし結構な体力が必要。関係者一人一人がちょろっとずつでも意識してくと何か変わっていくのかもね。

 

自分のようなしがないイチ役者としては、こういうブログ書いていくことぐらいでしか普及には貢献できないかもだけど。

自分もお世話になってるサービスだけに、もっともっと発展していってほしいっす!

 

観劇三昧と演劇界の未来に栄光あれっ!

 

 



→演劇動画配信サービス「観劇三昧」

 

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