小劇場が以前の小劇場に戻るために
こんにちは。
コロナ禍が始まって以来、まったく演劇人らしい活動をしておりません。
そんな演劇人、中西浩です。(決め顔)
もはや説明不要ですが、コロナ禍で演劇業界は相当苦しんでいます。
なんせ公演がまともに打てないんですもの。
ソーシャルディスタンスを守って感染拡大防止に努めなきゃいけないってことで、
お客さん同士の席の間隔を2メートル空けましょうとか、
演者もマスクしましょうとか、
歌うのやめましょうとか、
とにかく要求されるルールが多く。
さすがにお茶吹いてしまったのが、このツイート。
昨日、横浜市内某施設より「観客を入れる入れないにかかわらず、舞台上の役者同士の間隔も2メートル空けていただきます」と言われたのですが…作品にもよるけど物理的に上演無理なのでは。。。コロナ禍の新たなルールであり、守れなければ利用できないとのこと。うーん😞
— 椎名泉水 (@shiina_izumi) June 24, 2020
マスクや防護服を着けていても 間隔は保って欲しいとのことでした。密を避ける意図だとのことです😣 コロナが終息すれば ルールも柔軟に変えていく、とのことでしたが。
— 椎名泉水 (@shiina_izumi) June 24, 2020
役者同士で2メートル以上の間隔空けるってのは、まぁ1歩譲ってアレだとしても、
マスクや防護服の有無に関わらずでってのはすごいよね。。。
感染確率ゼロの状態を作っても距離を取れって意味不明すぎるわ。
目的と手段がかみ合わない、いつもの思考停止のお役所仕事。
もちろん、こういったルールを全て守って上演できる作品もゼロとは言いませんけどね。
逆手にとって「全員風邪ひいてる設定でマスク着用」とか「アクリル板の檻に入った近未来の囚人たちの話」とか、演出や設定で解決する方法は多々あります。
三谷幸喜氏もいまソーシャルディスタンス版として作品作ってる最中だし。
でもね、たぶん多くの団体にとってそれは自身が本当にやりたい作品ではないし、お客さんにとっても1回目は「コロナ禍を逆手に取っておもしろいなぁ」と感じるかもしれませんが、それを5回10回と繰り返し続けて同じ感想を持っていただけるとは思えません。
そもそも「劇場で公演再開します!」って声を上げただけで、その内容や感染防止対策なんか問わずにとりあえず叩きにくるような自粛警察さんも少なからずいて。
「不要不急のイベントなど許せん!成敗だ!」とオナニー的な正義の旗を振りながら楽しそうに攻撃してきます。
いやぁ、なんとも世知辛い状況。。。
通常の演劇はできないし、かといってコロナ対策の制約下でやる演劇はやりたい演劇ではないという。
Zoom演劇など、映像配信路線を進むって選択肢もあるんですけどね。
もちろん、それがやりたい演劇である人にとっては何の問題もないです。
でも、それがやりたい演劇でないと感じる人にとっては、それをがんばって上演する意味も意義もないでしょう。
これについては自分も後者なもので。
仮に映像配信でしか演劇ができない世界がやってくるのなから、俺は普通に役者辞めます。
生のお客さんの前でやるってことに演じる生きがいを見出しているので、自分の人生においてやりたくないことに進んで注力することは俺はしません。
じゃあそういった状況を踏まえたうえで、やっと本題。
小劇場が以前の小劇場に戻ってほしい。
コロナ前のあの演劇スタイルを取り戻したい。
これは俺含めてすべての演劇人の願いだと思います。
じゃあ、いったいどうしたらそれは叶うのか?
演劇業界が死んでしまう、と声を上げた結果どうなったのか
とにかく何か声を上げること。
まずパッと思いつくのはこれですね。
いまはTwitterでもSNSでも自分が何かを発信することは容易な世の中です。
「この自粛生活の中ではアーティストがやっていけない!」
「アートは不要不急ではないんだ、文化として必要なものなんだ!」
演劇の現状の苦難とそれに対する思いをいくらでも発信することができます。
でもね、
先に結論を言っておくと、これ失敗します。
っていうか、すでに実際に失敗しました。
野田秀樹氏や平田オリザ氏がコロナ禍の初期にそれぞれ声明を出しましたね。
内容的には「このままでは演劇が死んでしまう」という訴えでしたが、
芸術に対して理解がない層から袋叩きにあってしまい、思いっきり炎上してしまいました。
お二人とも声明の内容は筋が通っていたんですけどね(製造業のくだりは余計だと思いましたが)、
結果としては世間に対して「アーティストは非常事態の中でも自分たちのことしか考えない身勝手な奴らだ」という印象を強めてしまっただけに終わりました。
もしかしたらこの声明によって、プラスの影響よりもマイナスの影響のほうが大きかったかもしれません。
行動自体の是非に関わらず、結果だけ見ればはっきり言って失敗だったと言えるでしょう。
まぁ、これは私たち下々の者がやっても結果は同じで。
Twitterでどんなにカッコイイ言葉で演劇の重要性を語ったところで、
同業者や身内から、いいねとRTをある程度もらって終わり。
他業種の人間に対して響くものがないと、何の意味もなさないんですよね。
まずは新型コロナの危険度がどれぐらいなのか、それを正確に知ること
新型コロナウイルスは出現当初は完全に未知の殺人ウイルスでしたが、
この数か月でおおよその性質が見えてきました。
・東アジア人(日本人含む)にとっては、感染力も致死性もそれほど高くない。
・半数以上が無症状で、とくに若年層への影響は極めて軽微。
・感染経路は飛沫感染と接触感染。空気感染はほぼ皆無。
・飲食店であっても対面で向き合ったり大皿を共有しなければリスクは少ない。
・一時は医療崩壊が懸念されていたが、すでに全然余裕のある状態になっている。
・感染の自覚なくいつのまにか免疫取得してる人もいる。
これらを踏まえると新型コロナウイルスさん、ハッキリ言って、風邪やインフルエンザと区別して対応しなきゃいけないほどのものじゃないと言えます。
断言しますが、新型コロナウイルスの本来の危険レベルに対して、日本は国民全体で過剰に恐れすぎている状態であるということに間違いはありません。
100ぐらいの危険度のウイルスに、いま10000の恐れ方をしているような状態。
ちなみに世間では「コロナはインフルエンザとは違うんだガー!」みたいな人もいますが、
今年1月から始まった日本での新型コロナの感染者は6/26今日時点で、感染者1万8,110人、致死者968人です。
それに対してインフルエンザは2018-2019シーズンで感染者1,200万人、致死者3,300人。
インフルエンザは予防接種があって治療薬があっても、ですよ。
この数字をみて、いったいどういう思考回路で「インフルエンザよりコロナのほうが恐ろしい」って主張するのかちょっと意味不明。
確かにコロナはアメリカやヨーロッパでは猛威を奮っていますが、日本人にとってはコロナはそれほどのものではないと数字がしっかりと出ているのです。
また、「これから第二波が来るんだ!ガー!」なんて人もいますが、はい、来ませんよ第二波。
ほら実際に東京でまた感染者が増えてるじゃん!って思うかもですが、増えてるのはあくまで感染者であって、そのほとんどが無症状です。
ニュースがあまりにも毎日毎日感染者の増加数を報道してるので不安に思うかもですが、ぶっちゃけ無症状感染者の数なんてどうでもいい数字なんですよね。
風邪だってインフルエンザだって無症状感染者は街中にうじゃうじゃ歩いてますよ。
大事なのは感染者の数じゃなくて、それによる重篤者や致死者の数が増えているかどうか。
ですが、これらはとくに目立った増加はみられません。
これはとっくに経済再開を始めちゃってる中国や韓国でも同様に確認できない(感染者数は増えたけど重篤者の増加割合は低い)ので、この状況だと再度第一波と同じような重篤者や致死者が出てくるとはまず考えられません。
このように新型コロナウイルスは、データで見れば明らかに危険性は風邪やインフルエンザと大差ないものなんです。
(念のため繰り返すけど、東アジアの人にとって、ね)
科学的なエビデンスを見る能力がないお偉いさんが雰囲気とイメージで指揮をして、さらにマスメディアがインパクトがあるほうにニュースを煽る、というのをこの数ヶ月繰り返した結果が、いまの国民の新型コロナウイルスへの恐れ方へとつながってしまっています。
データを科学的に判断すれば、風邪もインフルエンザもコロナも危険度はそれほど大差ない。
で、その対策もマスクして、手洗いして、体調整えればいいってことでどれも共通なんですよ。
じゃあさ、ソレ今までどおりの生活でいいじゃんよ。。。
これまでどおりの演劇、どう考えてもやっていいはずなんですよね。
公演を打つ側としてはどんな対応をしていくべき?
先に書いたとおり、現状は普通に演劇していい環境であると断言できます。
でも、劇場においてどうしても対策を念入りにしたいっていうのなら
・観客は全員マスク着用
・客席での歓談ご遠慮いただく
・最前列を潰す、役者は前っツラで正面切った芝居をしない
これぐらいで対策としては十分すぎるほどなんじゃないでしょうかね。
特に観客席においては何の問題もないはず。
だって飲食店は横並びで座りましょうってことでOKが出てんだもの。
それなのにマスクしてる人が平行に並んで無言で観劇することがNGになる意味がわからない。
俺、おかしなこと言ってます?
あとは役者同士の感染リスクだけど、これは団体側の管理責任として扱うしかない。
役者は普段から感染しないように最大限に気をつけるし、万一感染者が出てしまった場合は休演などの適切な対応を取る。
これは今までのインフルエンザへの対応とまったく同じだよね?
コロナとインフルエンザのリスクが大差ないんだから、まったく同じ対応で何も間違ってないと思うよ。
これまでどおりの演劇をしたけりゃ、それをしていい世論を作るのが唯一の道
とまぁ、普通に演劇をしていい環境だってことをこれだけ言っても、実際にやれるかどうかにおいては問題があります。
いま、これまでどおりの普通の演劇をするための直接的な障壁は、コロナではないんですよね。
いま演劇業界の一番の障壁は、政府やらマスメディアやらが作ってしまった「コロナを必要以上に恐れなきゃいけない」っていう空気です。
あ、もちろん恐れなきゃいけないんですよ、コロナ。
死に至る可能性があるって、それは立派に怖いウイルスですもの。
でもね、
風邪やインフルエンザと大差ない危険度なんだったら、それに適した恐れ方をしなきゃなりません。
100のリスクに対しては100の恐れ方をするのが正しいあり方。
でも10000の恐れ方をして、過度な対策をしたり、過度に自粛したり、その副作用でそれ以上に苦しい思いをしていたら本末転倒です。
じゃあどうしたら世論を正しい状態に持っていけるのか
はっきり言って、この状況を一撃で解決できるような魔法のような手法は存在しません。
ひとりひとりが地味に正しい行動を取っていくことしかありません。
個人レベルでできることからやってきましょー。
1.とりあえず自分自身がコロナの危険性レベルを正しく理解しましょ
これまでどおりの劇場に戻すためには世論がコロナを警戒し過ぎている。
でも、それを訴える本人がコロナの知識不足じゃあ話になりません。
とりあえずテレビだけを情報源にしてる人は、それを改めましょう。
ニュースもワイドショーも視聴率を取るのが目的の人間が台本ありきで作っているモノなので、明らかにインパクトを与えるための演出がされています。
街頭インタビューに答える人間がサクラだったり、専門家に取ったインタビューも都合の良い部分を切り取ってまったく別の内容にされてしまったりなど、日常茶飯事です。
→過去記事「こんなときでもテレビの街頭インタビューのやらせは横行している」
テレビ、ニュース、SNSを含めて多角的に情報収集をしていきましょう。
そうすれば必ず同じ事象について「安全だ!」「危険だ!」という真逆の意見を見かけることになります。
でも多角的に情報収集していればどちらが信憑性ありそうかな、という判断はしやすいはず。
自身での判断が難しいときは、数字的なデータをしっかりと出してくれてるほうを信頼すると良いです。
自身がコロナの危険性と、その対策の一番ベストな塩梅を知る。
その上で正しく振舞っていくことで、自分の周囲にもそれを伝播させていきましょう。
2.対策するのはいいけど、対策アピールはやめましょ
俳優がSNSでやりがちなのが「自分は対策万全です!」「自分は自粛守ってます!」のアピール。
どこかの公園で遊んだことを報告するときなんかも、「今日は気分転換に公園に散歩にいってきました!あ、もちろんソーシャルディスタンスは守った上でね!マスク着用して、人もほとんどいない時間帯を選びました!」みたいな。
公園に散歩に行った行動自体は全然いいんですけどね、
いまの科学的エビデンスに基いて考えるのであれば、人がほとんどいない時点でマスク要りません。
そもそも会話がない一人散歩であれば、人がいたって問題ありません。
しかもそれが屋外であれば、感染確率なんて限りなくゼロ(いまだに日本において屋外のクラスター報告は1件もない)。
つまり、過剰な対策であるということは間違いありません。
コロナに対してどのレベルまで対策をするかは各々の勝手ですが、
このケースの場合は、過剰に行っている対策を「良いこと」として報告しちゃってるわけですよね。
普通の演劇をしていい世論作りを目指すなら、こういうのはマクロな視点で見ればマイナスです。
「それぐらい対策しなきゃいけないんだー」っていう空気作りを手伝っちゃってる。
対策しっかりしてます、自粛しっかりしてます、をプラスな事としてアピールすることは逆に言えば、それをしない場合はマイナスであると示すようなもの。
過度な対策をいつまでもプラスアピールしてたら、普通に演劇できる日々なんてこの先一生訪れませんよ。
そんなのみんな望んでないでしょ?
3.都知事選でまともな知事を選んどけ
コロナを過度に恐れるようになってしまった今の世論は、小池百合子氏の都政にも責任があると思ってます。
東京アラートなどムダに煽る方向性のキャッチコピーを量産し、科学的なエビデンスをガン無視して世論を「コロナはガチでヤバい!」へと誘導していったあの政治は、いますべての業界を苦しめています。
(もちろんコロナが欧米諸国と同じ猛威を奮っていたなら正しい対策でしたけどね、早い段階で東アジアはそうでないとわかっていたはずなので)
いまは小池百合子氏再選だと、たぶん劇場はいつまでも今の制約から解き放たれることはありません。
この先ずっと劇場客席は2メートル間隔のままでしょう。
役者同士も2メートル以内に近づけないままでしょう。
こりゃ現職の再選は避けたい、じゃあ誰に任せたらいい?
と、思っていたら現れたのが小野たいすけ氏。
東大卒、アクセンチュア、熊本県副知事の経歴を持ち、くまモンのフリー化による大成功の立役者。
いま小野氏は「#こたえて小野たいすけ」のタグで一般人のツイートに応えてますが、
はい。積極的にエビデンスを取って、できるだけ正常に営業ができるよう、工夫と努力を重ねるべきだと思っています。半分しか席が使えない状態がずっと続くのならば、いくら給付金を配っても問題は解決しません。 https://t.co/ds00MwDIEb
— 小野たいすけ 東京都知事候補【公式】 (@taisukeono) June 26, 2020
これのやりとり見てて、期待できると思いません?
科学的な実証が取れるのであれば通常営業ができるようにすると。
行政がそういうことを明確に示してくれるのであれば、世論はかなり改善が見込めます。
たぶん従来どおりの小劇場の姿を取り戻すための、いま最高のブースターは小野たいすけ氏の都知事当選です。
演劇関係者だと山本太郎氏の支持者も多いのですが、
メインとしている10万円一時金の再配布の政策では演劇界にとっては根本的な解決にならないので。
日銀が買い取るか保証もない都債15兆発行はリスクも孕んでるしね。
もし消費税ゼロ目指すなら、彼には都政ではなく国政に行ってもらいたいところ。
とりあえず以上ー。
一演劇人として、一日でも早く今までどおりの演劇ができる世界になるよう祈って書いてみました。
繰り返しになりますが、大事なのはコロナを恐れ過ぎてる今の世論を変えていくこと。
演劇に限らずこれは全ての業界において今もっとも重要なことなんじゃないかなぁと思います。
我々ができることは非常に限られていますが、できることが限られているなら逆にそれだけはしっかりやっていきたい。
この文章が少しでも何かを変えるきっかけになりますように。
したらな!
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