M² vol.3『鉄音、轟然。』
盟友・緑慎一郎が脚本演出を務める『鉄音、轟然。』を観てきた。
なんか最近このブログ、浅草グルメ記事か、生物の解説か、緑慎一郎演劇作品か、って感じなのはきっと気のせい。
あと、コオロギ食とか遺伝子組み換えトマトとかな。
雑記ブログな自覚はあるけど、ここまでジャンルがブレブレだと我ながら清々しい(笑)
はい、この『鉄音、轟然。』。
エムツーは社会問題、それも「そこチョイスするかー!マジ重いやつじゃん!」ってところを率先して題材にしていく団体。
前に自分が出演した『そして、死んでくれ』は日本最大のクーデター事件である二・二六事件が題材だったし、コロナ陽性者出て中止になっちゃった直近の公演『ショーリキ』は原子力の父と呼ばれる正力松太郎が題材だった。
そして今回は三里塚闘争、いわゆる成田闘争のお話。
いや、重いってばよ。。。
まだ配信があるのでネタバレになるような具体的な感想は書かないほうがいいかと思いつつ、でもまぁ、史実を元にした話だしネタバレ的な要素もないっちゃあないかぁ、と思いつつ。
ざっくり言えば、あの時代あの場所にいた三里塚の農民の視点から事の一部始終を追っていくような展開。
闘争的なシーンはもちろんあるけど、上演時間90分の大半はその時間を生きた「人間」を描くのに使っていた感じ。
M2「鉄音、轟然。」100分休無
三里塚闘争の話。最近だとあやめ十八番「江戸系 宵蛍」でも似たテーマだったな。面白かったけど不思議。舞台上の闘争熱とは裏腹に、客にはある種覚めた視点が、意図的に伝わってくるように感じる。淡々とした、でも国家とのケンカのやり方と、心意気の話かな。オススメ。 pic.twitter.com/sdntL8unxG— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) March 11, 2023
演劇人にはお馴染み、てっくぱぱさんの劇評。
「舞台上の闘争熱とは裏腹に、客にはある種覚めた視点が、意図的に伝わってくるように感じる。」
てのが、まさに同感だった。
自分の愛する生活を守るために全てを投げ打って戦う人達の姿を描いているのに、その行動にどこか滑稽な部分や違和感を感じられるような仕掛けがちょこちょこあって、あえて観客側に絶対的な共感を与えないように作ってるんじゃないかなぁと。
成田闘争の農民側から応援するお芝居ではなく。
もちろん政府側を応援するお芝居でもなく。
あくまでそういった史実があって、そのとき人々はその時間をこう生きていたという事実をどちらに肩入れすることもなく淡々と描いていて。
「これ、あなたの目にはどう映りますか?何を想いますか?」
っていう投げかけが、163km/時のストレートで飛んでくるような、そんな感じだった。
あと、音と照明ホント良かったなぁ。
オープニングからあの始まり方はずるい。
タイトルの『鉄音、轟然』ってのは、観劇前は飛行機が飛ぶ爆音のことだと思っていたけど、強制執行による破壊音も含めたダブルミーニングだったのね。
また、長い間正義を信じて抵抗を続けてきた人達の心中には、相手側の命を奪ってしまったことや、生活を守るための戦いで逆に生活を失っていくジレンマに、戸惑いと後悔と自責の念がうずまいている。
その頭の中にもきっと想像を絶するような凄まじい感情の轟然があったんだろうなぁと。
勝手にそんなトリプルミーニングなのかな、なんて思ったりして。
いろいろ考えさせられる舞台でございました。
皆さま公演おつかれさまでした!
【速報!】
M² vol.3
『鉄音、轟然。』
配信決定!2023年3月22日(水)ー29日(水)予定
購入方法や詳細は追って発表いたします!
劇場で、ご覧になれなかったもう少しお待ちください。#鉄音轟然 pic.twitter.com/4n5gXRtxHx— M² (@m2_theater) March 12, 2023
あ、本作品23日~29日でアーカイブ配信する予定らしいので、ご興味ある方はぜひー。
したらな!
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