「遺伝子組み換えトマトの断面がグロい」はフェイクですよ
私は千葉県在住です
今日スーパーで買ったトマト🍅
切ったら
遺伝子組み換えでした😱遺伝子組み換えトマトは
輪切りにした時の柄が
キモってなる野菜はエセ有機も
出回ってるらしい子供の給食が
一番の悩みの種😓捨てた後…
取り出して写真🤳 pic.twitter.com/4QzVahJwb4— ミフリマーフ (@lx6hp) January 5, 2021
最近たまに目にするんですけどね、こういう系。
たしかにツイートされているトマトの断面は見慣れぬ感じ。
果肉が不規則な配置となっていて、
人によっては、不気味、もしくは気持ち悪いと感じられても仕方がないかもしれません。
でもこれを見て、
「遺伝子組み換えをしたトマトは断面がこんなにも気持ち悪いんだぞ!遺伝子組み換えは悪の所業だ!断固反対ダーッ!」
ってなっちゃうのは、ちょっと気が早いと思います。
えーと、結論から言うと、
「遺伝子組み換えトマトの断面がグロい」はフェイクであり、デマです。
日本にはこういう断面のトマトが普通にあります。
そして、日本国内に遺伝子組み換えトマトは流通してません。
それがフェイクでありデマであるとする理由です。
ほい、せっかくなんでひとつひとつ掘り下げていきましょうか。
1.トマトによって断面は様々である
まず、こういう見慣れぬ断面のトマトが実際に存在するよーという点から。
以下の2つが考えられます。
① そもそものトマトの品種によって差がある
1つは品種的なモノですね。
いま日本で最も普及しているトマトの品種は桃太郎系です。
なので、スーパーで購入できるものもほとんど桃太郎系。
野菜売り場で「あら、今日はトマトが安いわね」と気軽に手を伸ばして買うアレは、みーんな桃太郎系です。
断面はこんな感じですね。
私達が持っているトマトの断面のイメージはコレなはず。
こちらの断面はファーストトマトという品種。
おおっ、紹介2つめにしてすでに個性的。
先端がちょっと尖っていて、苦味が少なくさっぱりとしたトマトです。
保存性が高くなかったことから桃太郎というメジャーな品種に追いやられてしまいましたが、
昔の日本ではこのファーストトマトのほうがシェアが高かったようです。
こちらはりんか409という品種。
ゼリー部分の割合がかなり高そうな断面ですね。
りんか409は桃太郎ほどではありませんが、それなりに一般のスーパーでも見かけます。
あとエアルームトマトなんてのもあります。
個体差が大きそうですが、なかなか張り切ったビジュアルしてますよね(苦笑)
これも正真正銘の、れっきとした正常なトマトです。
ちなみにエアルームトマトの飼育にハマッた方の記事、面白いですよ。
② 育て方による影響もありそう
もう1つは育て方による影響が考えられます。
ちょっとソースが用意できなかったので断言はできませんが。
トマトにはフルーツトマトと呼ばれるものがあって、
これは通常よりも水分を抑えて育てることで成分凝縮させ、糖度を高めたものを言います。
品種は関係なく、どの種のトマトであってもこの育て方をすればどれもフルーツトマト。
(糖度8以上からフルーツトマトと呼ぶことが多いそうですが、厳格なルールがあるわけではないみたい)
フルーツトマトの断面で検索すると、出てくるトマトが断面がどれも見慣れぬビジュアルなんですよね。
フルーツトマト育成による断面への影響ありそうな感じ。
まぁ、そもそもフルーツトマトに選ぶトマトの品種に桃太郎を選んでいないだけなのかもしれませんが。
表題を「育て方による影響もありそう」としたのは、その可能性が否定できなかったからです。
みんないい断面してるでしょ?(笑)
これらはリンク先でも書かれているとおり、すべてフルーツトマトです。
中でも愛知県で作られる『麗』というブランドが、フルーツトマトとして有名みたい。
生産者は10人ぐらいしかいない、糖度9度以上の高級トマト。
こちらも断面はかなり個性的。
この生産者の多大な努力によって作られた高級トマトを捕まえて、
「断面が普通じゃない!遺伝子組み換え反対ーーーー!」って、ね。
とりあえず止めといたほうがいいと思いません?(苦笑)
2.現在、日本国内に遺伝子組み換えトマトが流通していない
現在、国内で遺伝子組み換え食品で流通しているのは、
じゃがいも、大豆、とうもろこし、なたね、わたなど。
またそれらを使用して作られた食用油などに限られます。
まだ遺伝子組み換えトマトは出回っていないんですよね。
ゲノム書き換えトマトの話はありますが、これもまだこれからのことなんですよね。
→JBpress『ゲノム編集のGABA高蓄積トマトは何をもたらすか』
つまり、「遺伝子組み換えトマトの断面がー!ギャー!」って言ってる人。
いったいそのトマトどこで手に入れたの?って話。
実際に遺伝子組み換えを行っている研究所に忍び入って、サンプル泥棒でもしないかぎり手に入りません。
ゼロとは言いませんが、そんなことして遺伝子組み換えトマトを手に入れてる人はいないでしょう。
スーパーで購入したトマトを切ってみたら気持ち悪い断面だったってことならソレ、
そのトマトがそういう品種だったか、フルーツトマトだったか、でほぼ間違いないでしょう。
3.そもそも遺伝子組み換えでビジュアル悪くしてどうすんの?
そもそもですね、何のためにわざわざ食品の遺伝子組み換えをやるのかって話です。
答えは簡単、優れた食品を作り出すため。
さらに言い換えると「売りやすい商品」を作り出すためです。
寒さや虫害に強くして生産量を増やしたり、
味を美味しくしたり、見た目のビジュアルを良くしたり。
すべて生産効率や品質を高めて「売りやすい商品」を作るためにやってることです。
そこで、どうしてわざわざビジュアルを遺伝子組み換えで悪くさせなきゃいかんのよ?
逆に綺麗に整えて売れやすくするのが普通の考え方でしょうよ。
遺伝子組み換えトマトの断面が気持ち悪いとかいう件、結論
はーい。
繰り返しになりますが、結論として
「遺伝子組み換えトマトの断面がグロい」はフェイク。
これは完全にデマとして断じていい情報です。
もしあなたの身近に「トマトの断面がグロい!遺伝子組み換えだー!」って吠えている人がいたら、「それ、あなたがスーパーで安売りしてるトマトしか知らないだけですよ」と無感情な笑顔で教えてあげましょうね(笑)
もちろんね、どのトマトの断面を気持ち悪いと思うかなんて個人の感想だからそれでいいんですよ?
でもそれをホイホイと、遺伝子組み換えだの、放射能による奇形だの、そういう根拠ない情報に結び付けて流布するのは完全にNG。
ヘイト思考の人達は、ノータイムでそういうのを自分に都合のいい情報として変換して発信する。
自分の周りでもそういう人達が少なからずいたりするけどさ、俺は申し訳ないけど超冷やかに見てるよ。
知識も精神もその程度の人なんだなぁって。
その誤情報の流布で傷付く生産者さん達はいっぱいいるし、
事が大きくなれば、その生産者さんに訴訟され賠償責任を負わされるリスクだってあります。
今回のようなフェイク情報が誰かからRTで回ってきても、ひょいひょい拡散しないようにね。
その正義感、結果的に自分も他人も傷つけるだけだよ!
気を付けなはれや!