コオロギを食べない自由と、デマを撒かない義務
最近はSNS開くとコオロギ食の話題ばっかりですな。
いろんな方面からすんごいバッシングの嵐。
まぁ、自分も別にコオロギ食べたいとは思わないんだけども。
(興味で1口ぐらいなら試したい気持ちはある)
タンパク質を目的にしてもさ、牛肉・豚肉・鶏肉・卵、大豆のようないろんな選択肢があって直近でそれの枯渇が見えてるワケでもないのに、政府がコオロギ食の普及にこんなにも力を入れてる意味もよくわかんないなぁと。
昆虫食は、将来リーズナブルにエコに美味しく嫌悪感なく食べられるように、水面下でしっかり開発進めてくれればそれでいいんだけどなぁ・・・的な思考なのが本音です。
しかもね、急に国と企業が同時に「コオロギ!コオロギ!」言い出してるのが、なんだか気持ち悪い。
太陽光発電、オリンピック、コロナ病床とかで散々汚いお金の流れを見せつけられてきた我々からしたら、やっぱ今回も助成金チューチューとか、どなたかがオイシイ汁をすすれるような利権とか、そういうのがあるように思えちゃうよねぇ。
※訂正
よくよく調べてみたら、2020年に発売された無印や敷島パンのコオロギパウダー入り食品や、2022年2月の河野大臣のコオロギ試食のようなけっこう前の事例がいまさらピックアップされてバッシングされてるのが現状でした。直近でいきなり国と企業がコオロギゴリ押しし始めたワケでもないのね。訂正します。失礼しました。
コオロギ食べたくないのは全然OK。
ただね、コオロギ食自体には別に罪はなくて。
ざーっと世間に出回ってる情報見てると、明らかにそれはデマに踊らされてるだろみたいなのが目につくので、そこだけツッコんでおこうかなと思って。
別にコオロギ嫌いで構わないし、コオロギ食べなくてぜんぜん構わないけどね、
間違った情報や知識を元にそれを乏しめるのは、普通に誹謗中傷。
それは普通に人間としてダサいです。
ダサい人間にならないために。
ちゃんとした知識でコオロギ食のデマやフェイク情報を見てみましょー。
1.コオロギは謎の寄生虫や細菌や毒がある可能性がある
昔から食べられてるイナゴやざざ虫以外の虫には、謎の寄生虫や細菌や毒がある可能性があるので食べちゃダメです。https://t.co/zLtxwLwS0p
— ひろゆき (@hirox246) February 27, 2023
みんな大好きひろゆき氏、
コオロギ食に対しては非常にネガティブな立場を取っておられます。
「謎の寄生虫や細菌や毒がある可能性がある」との主張。
これについて反論しておくと、食用のコオロギはそのへんの野山から野生のものを捕まえて販売するわけではありません。
管理された飼育場の中で養殖されたものが食用として流通します。
餌も人間が用意した飼料を使います。
自然下で育った何に汚染されてるかもわからないようなコオロギが市場に出回るわけではありません。
そもそもコオロギは十分に加熱処理することが前提であり、寄生虫や細菌はそれにより死滅します。
加熱してもボツリヌス菌の芽胞が生き残るなんて話をしてる人もいますが、芽胞も温度と加熱時間を一定条件下まで持っていけば死滅しますし、そもそもボツリヌス菌は自然界にはありふれた菌。
生野菜など我々が何気なく口にする食材にだって付着している可能性があります。
いまさらコオロギにだけボツリヌス菌の危険がある!というのはどうにも筋が通りません。
っていうか、諸外国ではずっと以前からコオロギは食べられていて、日本人に体質が近いであろう中国や東南アジアでも食べられていて、さらに科学者の間で安全性の検証等は幾度も行われている状況です。
【コオロギ食の安全性についての資料】
・食品安全委員会「欧州食品安全機関(EFSA)、新食品としてのヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)の部分脱脂粉末の安全性に関する科学的意見書を公表」・Clinical & Medical Biochemistry「Toxicity of House Cricket (Acheta domesticus) in Mice.」
(↑こちら全文英語ですが、ブラウザの機能で日本語に訳せばほぼ理解できる形で読めます)。
それなのにさ、
いまさら「謎の寄生虫や細菌や毒がいるかも」って、さすがに考えが幼稚過ぎない?
ムーの読み過ぎだ!
2.コオロギに入っているキチンが人間には消化できない!
コオロギで人がどんどん死にそうやな… pic.twitter.com/Tfm8o70EgT
— まったり®︎ver1.0.1 (@mattariver1) February 27, 2023
コオロギに含まれるキチンという成分は人間には消化できないから健康被害が出る、という主張です。
・・・えーとね、まずキチンって何ってとこからですが。
キチンはエビ、カニをはじめとして、昆虫、貝、キノコにいたるまで、きわめて多くの生物に含まれている天然の素材です。地球上で合成される量は1年間で1000億トンにもなると推測されている豊富な生物資源ですが、普通の溶媒には溶けないためにほとんど利用されていません。
文章引用元:日本キチン・キトサン学会
キチンって、別にコオロギだけが持っている珍しい物質じゃないんですよ。
エビやカニのような甲殻類の外殻、イカなどの軟体生物、貝、キノコにも含まれていて、これらを日常的に食べている我々は当然ながら日常的にキチンを口にしています。
キチンを理由にしてコオロギを食べないというのであれば、サクラエビや、カワエビやワタリガニの唐揚げや、キノコ全般を食べないということにしなければ筋が通りません。
そもそも人間って消化できないモノを普通に食べてるんですよね。
そう、食物繊維がまさにソレなわけで、キチンは不溶性の動物性食物繊維の一種です。
昨日まで「食物繊維を摂取して腸内環境を整え健康になりましょう!」みたいに言ってたのに、今日になって「食物繊維は人間が消化できない有害物質だ」みたいに手のひら返すのは一体何のギャグだよって話です。
「消化できない=食べちゃいけない毒」ではありません。
ただし食物繊維を一度に大量に食べ過ぎるとお腹がゆるくなるのと同じで、キチンも一度にたくさん食べればたぶんお腹痛くなります。
でもそれはごく当たり前のことですよね。
3.キチンには発がん性がある!
SNS見渡すと発がん性があるとの情報がいっぱい拡散されていますが、浅草の昆虫食SHOPのTAKEOさんがこれについては調べてくれています。
どうやら発端となったのは2022年8月のたったひとつのツイートだそうです。
2022/8/25、twitterおよびブログにて、ある人物が「他の研究では、キチンからなるコオロギの外骨格が発がん性や免疫系を誘発する可能性があるという証拠が示されている。」と主張しました。この主張がそのまま拡散されました。
しかし「他の研究」が何であるかは示されておらず、何の根拠も無い主張でした。私たちも調べましたが、キチンに発がん性があることを示す文献は見つかりませんでした。
つまり蓋を開けてみれば、SNSでどっかの誰かが明確な根拠もなく「何かの研究で発がん性がある可能性があるって証拠が出た」で言ってるだけで、それが一気に拡散されて広まっちゃってるのが現状になります。
っていうか、キチンがいろんな食材に含まれていて、我々すでにキチンいっぱい食べてるのは前述したとおりです。
キチンに発がん性があるなら、エビもカニもキノコも大好きな人がどんどんガンを発病していってるってことになりますが、そんな話を聞いたことがありますか?
そもそも「発がん性がある可能性がある」ってのが、言葉のマジックだよね。
それでいったらソーセージやハムも、炭火焼肉も、コーヒーも牛乳も酒もタバコも、ぜーんぶ「発がん性がある可能性がある」なんだけど。
極端な話、日光浴びても、運動をしても、呼吸をしてるだけでも「発がん性がある可能性がある」ですぜ。
そのへん理解しましょう。
4.漢方の世界ではコオロギは「微毒」「妊婦に禁忌」とあるぞ!
★コオロギを食べてはいけない理由
コオロギは、微毒。妊婦には、禁忌。
出典:漢方医学大辞典 pic.twitter.com/JeWwJjzNdN— 松本和良【日本を愛する仲間たち】 (@FukueMat) February 16, 2023
コオロギは中国漢方の歴史では「微毒」「妊婦は禁忌」とされているとの情報。
これについてもTAKEOさんが調べてくれています。
2023/1/30、twitterにてある人が漢方医学大事典(雄渾社、1983年)という本の中に「蟋蟀(コオロギの一種)」の項目があることに気付きました。そこには薬効とともに「微毒」「妊婦に禁忌」の記載がありました。このtweetが拡散され、コオロギには毒がある、妊婦に禁忌、コオロギで不妊、などの話が独り歩きするようになりました。
「蟋蟀」の項目は本草綱目(西暦1500年代の中国で書かれた本草学の基本書)を出典とされていましたが、実際のところは本草綱目には「微毒」「妊婦に禁忌」との記載はなく、当時の漢方医学大辞典の編集者が情報を付け加えたものとのことでした。
つまり中国漢方の歴史上で別にコオロギは毒扱いはされておらず、当時の出版に携わった編集者が勝手に脚色したってことになります。
なんじゃそりゃ。
・・・どういう意図で、またどういう根拠があってこの文言を付け足したのかは謎です。
前述した2022年5月の科学的な検証において、コオロギの中に毒となる成分は確認されておりません。
30年前にどこかの出版社の編集者が勝手に付け足した「微毒」「禁忌」って文言と、2022年の最新の科学チームが検証した毒性はないという結論と、あなたはどちらが信頼性が高いと思いますか?
(っていうか、普段あんなに中国のこと信用ならないようなこと言ってるのに、こういうのは簡単に信じるのホント謎・・・)
ちなみに補足。
この微毒やら禁忌やらの情報のせいでSNS上では「中国でさえコオロギを食べない」と思い込んでる人が多いようですが、中国は昆虫食として普通にコオロギ食べております。
腸をしっかり洗浄してから素揚げで塩で味付けして食べるんですって。
全然毒扱いされてねーぞ!(笑)
参考リンク:もぐもぐ昆虫食ランド
5.生物濃縮でカドミウムのような重金属が蓄積されるぞ!
何でも食べるコオロギには、カドミウムのような危険な重金属が生物濃縮されてる可能性があるとの主張ですが。
前述したとおり、食用として流通するコオロギは人間の手で管理された養殖モノです。
そのため自然界からのイレギュラーな重金属がイレギュラーな濃度で含まれることは起こりえません。
あと飼料に使われるのは養殖魚用飼料だそうですが、この飼料に何かしら金属物質が微量ながら含まれる可能性はゼロではありません。
ですが、この養殖魚用飼料に含まれる重金属さえも心配だ!っていうなら、それはもう養殖魚全般は食べれませんよになっちゃいますよね。
体が小さなコオロギなんかより、ブリやトラフグやカンパチのほうが生物濃縮レベルは圧倒的に高くなりますもん。
ましてや自然界の生物濃縮にさらされてるマグロやカツオなんかはもっと食べられませんね。
もし生物濃縮を理由にコオロギを拒否するなら、今後は魚介全般を拒否しないと辻褄が合いません。
例え話ですが、「放射線は浴びたくない!」という人がほとんどでしょうが、一般的に建築材料として使われている御影石や花崗岩から放出される微量の放射線を気にして生きてる人はいませんよね?
生物濃縮も同じで、我々は普通に食事していれば普通にある程度の金属を体内に取り込んでいます。
気にしなくていいレベルっていうのがあって、コオロギの生物濃縮なんてまさにそれだと思いますよ。
6.コオロギでアレルギーの可能性がある!
これはそのとおりです。
食物全般においてアレルギーというものが存在している以上、コオロギもそれは例外ではなく。
そりゃあ人によってはアレルギーが反応出ちゃう人はいるでしょう。
いきなり大量に食べるのはやめたほうがいいですし、甲殻類アレルギー持ちの人はコオロギでも同様にアレルギー症状が出る可能性が高いと見込まれるので、食べるのは避けたほうが賢明です。
7.昆虫食の早食い大会の直後に出場者が亡くなった事例がある!
笑ってはいけないが、そんな大会がある事自体がナンセンス。
昆虫食は危険を教えるためのコンテストになったわけだ。 https://t.co/rxiS0itSCs— 🇯🇵菊次朗無双☢️ (@8UWgAM0GKa37VyU) February 27, 2023
アメリカで2012年に行われた昆虫食の大会で死亡者が出た事例があることから、「ほら、昆虫を食べた人間は命を落とすんだ!」と主張する人がいます。
ひろゆき氏もこの事例をもとにコオロギ食をディスってましたが。
これの死因についてはアナフィラキシーショックや病原体感染などいろんな可能性が調査されましたが、結論として胃の内容物が誤って気管に入ってしまったことによる窒息死と断定されました。
つまり死因は昆虫自体にあったわけじゃなくて、早食い&大食いによる誤飲。
これを昆虫食のせいで死んだことにするのは無理筋です。
参考リンク:農研機構「昆虫早食い大会での死亡事故」
コオロギ食についてのネガティブ情報について、まとめ
以上、コオロギ食について流布されてるネガティブ情報について、代表的なのはこんな感じかな。
他にも酸化グラフェン混入されて電池人間にされて操られるとかムチャクチャなやつもあったけど、もうそのへんは触れなくてもいいよね。。。
IQ50以下の陰謀論に付き合うのはちょっと。
さすがに俺もそこまでヒマじゃないっす(´・ω・`)
はい、客観的にみて、今流れてるコオロギ食についてのネガティブ情報のほとんどが、デマやフェイクニュースや事実誤認ですね。
とりあえずざっくり結論としては、
「コオロギを食べたせいで不健康になる可能性は限りなく低い」と捉えて問題ないと思います。
あ、もちろんアレルギーは別としてね。
もちろん気持ち悪いから食べたくないってのはOK。
生理的にダメっていうのは個人の自由だし、嫌なモノ無理やり食べる必要なんかまったくありません。
自分も今のところは冒険心以外ではコオロギを口にしたいとは思いません(笑)
でも、根拠のない情報にすっかり騙されて乏しめるのはやめときましょーね。
コオロギ食はその時に備えてさまざまな方策を模索しているうちの一つにしか過ぎない。
つまり気にする必要はない。
もちろん気持ち悪いから食べたく無い、は真っ当な感想です。
そのために他国の食文化を貶めたり、陰謀論もってくるのはあたまわるわるさんですよ、という話です。— 兜@カジュアル生活保護 (@sabotenkabuto1) February 28, 2023
この人の言葉が核心を突いていますな。
遠い将来の食糧危機に備えて色々試してる段階なんだから、それにイチャモンつけたって仕方がない。
まぁ、現状コオロギ食開発よりも、他食品のフードロス問題を解決するほうが先だとは思ってます。
おからの廃棄とか、牛乳の廃棄とか、牛の殺処分とか、諸々あるもんね。
正直そっちのほうが優先順位高そうに思える。
諸外国に比べて昆虫食が進んでいないことがバツが悪くて無理やり進めてんのか、
SDGs的な部分で他国に後れを取りたくないと思ってんのか、
もしくは利権やら補助金チューチュー的な汚いお金の流れがあんのか。
そのへんの事情はただの一般市民でしかない自分にはなーんもわかりません。
でも、それとコオロギ食自体の是非は別の次元の話で。
不確かな情報に踊らされてコオロギ食を悪としたり、無駄に乏しめたりすることは死ぬほどナンセンスだと思います。
コオロギ嫌いなら嫌いでそれでよし。
自分がコオロギ嫌いなら自分がそれに触れなきゃいいだけ。
デマやフェイクを脊髄反射で信じて、反政府掲げて正義感の旗を振りかざすのが快感になってるダサ~い人間にだけはならんよう気をつけなはれや!
したらな!
【追記:2023/3/1朝】
「食物科の生徒らが、コロッケに使われるひき肉の代わりにパウダーを使った「かぼちゃコロッケ」を考案して作り、在校生のうち約170人が試食に加わった」
これプロになる子らやん。しかも食べるのは希望者だけ。貴重な職能実習の機会をなんで無関係な外野が潰すの?
https://t.co/66anoAbWBU— НIШIХАТА Осахiро (@_Osahiro) February 28, 2023
徳島県小松島市の高校でコオロギ食が出されたことで、それに対するバッシングが起きています。
生徒に無理やり昆虫食なんか食べさせんな!と。
ですが記事内容をしっかり読むと、
①きっかけは生徒たちの間で流行っていた乾燥食用コオロギ食。
②食物科の生徒ら自身でコロッケに使われるひき肉の代わりにコオロギパウダーを使った「かぼちゃコロッケ」を考案し、調理実習の中で作った。
③食べるか否かは選択できて在校生のうち約170人が試食に加わった。
④事前にアレルギーの説明も行っていた。
ということで、決して学校側が生徒に強制して昆虫食を食べさせたワケではないことがわかります。
別の記事では「新しい食材も柔軟に受け入れていく生徒たちの好奇心に何度も驚かされました。」ともあります。
生徒たちが進んで行ったことを、全く無関係の人間が「生徒たちがかわいそう」と的外れのクレームを入れて潰す。
ホントいったい何なのってぐらいに、ダサいの極みだよね。
なんかさ、いまとある宗教団体で子どものためを思って子どもをリアルにムチで叩いてるってことが問題になってるけどさ、子どもが自ら進んでやってることを「子供がかわいそう」って言って叩いてるのって、その宗教団体とやってることあんま変わらんくない?
良い子はこんな大人にならんようにね!
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