【映画】ジョーズ 恐怖の12日間

ジョーズ 恐怖の12日間

 

 

B級サメ映画を真剣に楽しもうぜシリーズ!

はい、今回は『ジョーズ 恐怖の12日間』だよ!

 

 

この作品は2004年に作成されたテレビ映画。

製作直後はアニマルプラネットやディスカバリーチャンネルにて放送されていたものです。

 

ちなみに原題は『12 Days of Terror』で、

こちらは邦題と違ってタイトルにジョーズなんて物々しい冠はつけていません。

サメ映画になんでもかんでもジョーズってつける邦題担当は、マジで一回干されてほしい(苦笑)

 

 

 

さて、ストーリーはおおまかには以下のとおり。

ネタバレしまくりなのでご注意を!

 

 

 

 

1916年ニュージャージー。

アレックスは観光客で賑わうビーチの監視員をしていた。

 

そのとき沖のほうで泳いでいた青年がサメらしきものに襲われて命を落としてしまう。

しかし上司はビーチの集客を気にして「サメの姿をはっきりと見ていないなら騒ぎにするんじゃない」と

アレックスのビーチ閉鎖の提案を受け入れようとはしない。

そうしている間に今度はアレックスの同僚がサメに襲われて殺されてしまう。

 

上司の態度に嫌気が差したアレックスは仕事を辞め、サメ侵入防止柵を設置する仕事につく。

柵を設置したことでビーチの安全が確保されたかのように思ったが、次はなんとサメは河に侵入。

河で遊んでいた子供たちを次々に襲撃し、子供を助けに入った親友スタンまでもがその犠牲になってしまう。

 

復讐に燃えるアレックスは、地元の漁師キャップとともに海に出て、

そこで出会った生物剥製家とともに協力してサメの捕獲に成功し、仇を討つ。

 

おしまい。

画像引用:12 Days of Terror (2004) Trailer

 

 

って感じのお話。

 

 

 

ほい、この『ジョーズ 恐怖の12日間』。

 

 

1916年にアメリカのニュージャージーで実際に起きたサメ事件を元に作られています。

ところどころ伝えられている史実と違う部分はありますが、襲撃シチュエーションなどはかなり忠実に模倣しており、ホラー映画ではなく、サメのセミドキュメンタリーに近い演出・構成をしているといえるでしょう。

→WikiPedia「ニュージャージーサメ襲撃事件」

 

ちなみにあの名作『JAWS』も、このニュージャージーの事件が構想の元ネタ。

無能市長が観光業へのダメージを恐れてサメの存在を否定するところとか、そのまんまですね。

 

だから逆に言えば『JAWS』とこの『ジョーズ 恐怖の12日間』はストーリーがかなり似ています。

『JAWS』はホラーエンタ―テイメントに寄せていて、、

『ジョーズ 恐怖の12日間』はドキュメンタリーに寄せている、って感じでしょうか。

 

 

あと『JAWS』と大きく違うのは、本作では史実通りラストは河を舞台にしていること。

『JAWS』では物語が海だけで完結していますが、本作では後半は河での襲撃事件がメインです。

 

 

まぁ、映画にするなら舞台は海だけでまとめたほうがスッキリするのは『JAWS』が証明していますが。

本作は史実へ沿うことの優先度を高くした結果なので、それは仕方ないですよね。

 

 

画像引用:12 Days of Terror (2004) Trailer

 

 

映画そのものの感想としては、うーん地味。

 

前述したとおり、脚本がドキュメンタリーに近いのでホラーアクション映画的な派手な演出が少ないです。

そういう刺激を期待してこの映画を観た場合はかなりの肩透かしを喰らうでしょう。

全編通してとにかく地味。

大事なことだから2回言うけど、ホント地味よ。

 

じゃあ、サメ騒動を描いたドラマとしてて面白いのかと言われれば、やっぱりちょっと微妙。

ストーリーは極めて単調だし、盛り上がりもないまま淡々と話が進んでいきます。

 

 

 

しかも脚色として足されている部分がねぇ、ホントどうでもいい部分なのよ。。。

 

 

主人公アレックス、元カノのルイーザ、そのルイーザと結婚が予定されている親友スタン、

この3人の三角関係がドラマとして挿入されているんですが、

まぁ、悲しいぐらいに本当にいらない設定コレ。

 

元カノと親友の結婚を祝福しているっつーのに

「私と別れた後、やりなおしたいと思った?」なんて聞いてくるヒロイン。

映画そのものがドキュメンタリーテイストの中で目を見張るビッチぶりを発揮されています。

 

スタンが亡くなってしまったラストでは、ちゃっかりアレックスといい感じになっているのも、ね。

どうでもいいB級映画だったそういう恋愛の急展開も別にいいかもだけどさ、

スタンのモデルとして亡くなっている犠牲者が実際にいたことを考えると、

こういう余計な恋愛沙汰の設定を盛り込んでくるのってどうなんかなぁと思ってしまう。

 

 

 

画像引用:12 Days of Terror (2004) Trailer

 

あとサメのスケールが小さいのもインパクト的にね。

史実が2.5メートルのサメなので、それを守りつつもちょっとだけ盛って3メートルにしているんですが、

ジョーズシリーズの8メートル級を見慣れていると、やっぱり物足りなく感じてしまいます。

 

ラストシーンの地味なフィニッシュも残念ポイント。

なんでもかんでもラストは爆破で終われとは言わないですけどね、

サメに網を引っ掛けてOK、あとはエンディングってアンタ。

観てるほうの「え、いまので終わった!?」感では過去映画で1~2位を争うかもしれません(笑)

 

中途半端にいらない恋愛ドラマを脚色で入れるぐらいなら、

最初からガチの完全ノンフィクションドキュメンタリーで作るか、

脚色入れまくりのエンタメ作品として作るか、どっちかに徹したほうが良かったんじゃないでしょうか?

 

 

 

あ、登場するサメについて。

 

登場するのはホオジロザメです。

主人公達が戦う3メートル級のホオジロザメと、キャップが隣町から購入してきた2.5メートル級(冤罪)が登場します。

この作品では海に現れたのも、河に現れたのも、同じこの前者のホオジロザメっていう設定です。

 

しかし、河を6kmも遡っていることから(史実では事件発生したのは河口から26km)、

実際に河に現れたのはオオメジロザメではないかと言われています。

海の事故はホオジロザメ、河の事故は別のオオメジロザメの仕業って考えるほうが自然のような気がします。

 

たまたま襲撃タイミングが近かったので同じサメの仕業だと誤解されたのが真相なんじゃないでしょうか。

まぁ、いまとなっては誰も真実は分かりませんが。

 

 

劇中の撮影では基本的にはハリボテを使って撮影していますが、

襲撃前には実際のホオジロザメの映像を混ぜたり、海面から見える魚影にはCGを使ったりしています。

クオリティは・・・2004年制作であることを考慮しても、中の下ぐらい。

 

 

唯一、おっと思ったのは襲撃のシーン。

ホオジロザメは獲物を一咬みしたら一旦離れて獲物が弱るのを待つ習性を、何気にちゃんと見せていたりします。

普通のサメ映画だと噛みついたまま人間を何十メートルも引きずりまわしたりなんて演出が多いですが、

そういうウソの演出を入れないあたりは、さすがドキュメンタリーテイスト。

 

まぁ、これも映画の演出としてはやっぱり地味なんですけどね(笑)

仕方ないっちゃあ、仕方ない。

 

 

サメに対して設定が忠実といえば忠実なんですけどねー、

B級モンスターパニック映画愛好会的な視点でみると、ちょっと残念な感想を持つかもですね。

 

 

 

本作の紹介文に、

巨大な人喰いザメの恐怖に晒される人々の12日間に渡る死闘をスリリングに描いたパニック・アクション。

なんて記載がありますが、これも邦題と同じで中身観てない日本人が勝手につけたんだろうなぁ。

スリリングでもアクションでもありませんこの映画。

 

そもそも「12日間に渡る死闘」っていうけど、事件発生日からサメ捕獲までに12日間あっただけで、

誰かが12日間サメと死闘を繰り広げ続けたワケでもないしな(汗)

 

 

 

『ジョーズ 恐怖の12日間』、

ご興味あればぜひーっ。

 


ジョーズ 恐怖の12日間

2004年アメリカTV映画
監督: ジャック・ショルダー
製作: デニス・スチュアート・マーフィ
キャスト: コリン・エッグレスフィールド、ジョン・リス=デーヴィス、マーク・デクスター、ジェナ・ハリソン

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