【サメ】イタチザメの生態

イタチザメの生態

 

何故か演劇人がサメの生態について語るシリーズ!

あいかわらず企画の主旨が意味不明ですが、そこは目をつぶっておくことにする。

サメが好き、そこに理由はないのさ!(←雑)

 

 

はい、第四回目となる今回はイタチザメでございます。

 

 

ホホジロザメ、オオメジロザメと並ぶ人間にとって危険性がある三大サメのひとつ。

普段からサメに全く興味のない人でも、その名前ぐらいは聞き覚えがあるかもしれません。

沖縄のほうでは定期的に駆除とかやってますしね。

 

さぁ、そんなイタチザメの生態。

はりきっていってみよー!

 

 

1.イタチザメとは

イタチザメTigerShark

イタチザメは、メジロザメ目メジロザメ科に属するサメです。英名はTiger Shark(タイガーシャーク)。この英名は若い個体の体表にうっすらとトラのような縦縞模様があることが由来で命名されています。

ちなみに紛らわしいことに、和名でトラザメやトラフザメといったまったく別の種のサメがいますので混同しないようにご注意を。タイガーシャークの和名がトラザメだとわかりやすくて良かったんですけどね。獰猛な性格や危険性的にもトラとイメージ重なる部分ありますし。

どうして和名がイタチザメになったのか、その経緯は調べても確かなものは出てきませんでした。トラザメという和名が先に使われてしまっていて別の名前にしなきゃいけなかったことは推測できますが、それにしてもなんでイタチなんでしょ?イタチも性格は獰猛っちゃあ獰猛ですけども、個人的にはあんまりピンと来ないかなぁ。

 

2.イタチザメの身体的特徴

イタチザメのサイズ感

イタチザメはサメのなかでもかなり大型になる種です。メスのほうが大きく育ち、成体の体長は4~5メートルとされています。肉食性のサメの中ではこれはホホジロザメに次ぐ大きさです(オンデンザメやニシオンデンザメのような平均サイズがまだはっきり判明してないサメを除けばですが)。

ただし、いろんなイタチザメのニュースや動画を見ている感じでは個人的にはもうちょっと平均値は小さいラインなんじゃないかなぁと。実際沖縄のイタチザメ駆除のニュースでは、4メートル程度で大型とされて騒がれていますし。

これまでで確認された個体で最大のものでは1957年に南シナ海で捕獲された7.4メートルという記録が残されています。しかしそれ以後6メートルを超える個体の事例で信憑性のあるものがなく、この南シナの7.4メートルの事例さえも測定方法にやや懐疑的な意見があるようです。

イタチザメの全身写真

 

イタチザメのビジュアル的な特徴

体表の色はは上半分がグレー、お腹側が白で構成されています。大きな特徴は先にも書いた縦縞模様。幼魚時代のほうが模様が顕著で、成熟するにつれてどんどん薄くなっていき、大型の個体になればもはや第1背ビレより後ろにぼんやり確認できる程度になります。この縞模様は幼魚時代は天敵の目からまぎれるための保護色で、体の成長につれてそれが必要なくなっていくから薄れていくと考えられています。

体型は成長につれてやや上半身と頭部がふっくらしてくる感じ。大型の個体になればなるほど他のサメにくらべて顔が横にのっぺりと広がったようなビジュアルになるので、他のサメとは簡単に見分けがつきます。人間でいうと、ぼーっとしながら公園でおにぎり食べてそうな、そんな表情(←偏見)。

第1背ビレは小さめでやや後方についているので、サメ映画にありがちな水面を走って迫ってくる背ビレの画はイタチザメにはあまり期待できません(笑)尾ビレは上が長くて下が短い、オオメジロザメやシュモクザメと同じ形状タイプですね。

イタチザメの顔

 

イタチザメの歯と顎

一見のんびりした表情のイタチザメですが、そんな顔とは裏腹にかなり攻撃的な歯を備えています。ハート型をしたその独特な形状の歯は表面がノコギリ状になっており、大きな獲物の肉を咬みちぎるのはもちろんのこと、強固なウミガメの甲羅さえも砕いてしまいます。昔ドキュメンタリー番組ではイタチザメの歯を使って缶詰を開封している映像もありました。

歯列は上顎に18~26本、下顎に18~25本が備えられており、正面から横にいくにつれて歯のサイズは大きくなります。獲物に噛みつく際には顎がやや飛び出て歯茎がむき出しになります。イタチザメは敵を攻撃する際に防御のためにまぶたを閉じて白目のようになるため、白目の歯茎むき出しで咬みつく顔は、なかなかにホラーです。もし自分が咬まれてる対象だったら失神しそう(汗)

イタチザメの歯列

 

ロレンチーニ器官と側線

サメといえば微弱な電位を感知して獲物を探すことができるロレンチーニ器官ですが、イタチザメも例外でなくこの機能を備えています。顔面をアップにしたときに見える黒いブツブツのようは斑点がソレ。獲物への執着や、人間に鼻先を触られてフニャフニャしてしまっている動画を見る感じだと、個人的には他のサメ達よりもイタチザメのロレンチーニ器官は発達しているんじゃないかなぁと思っています。

またイタチザメは側線と呼ばれる感覚器官も発達しており、これによって水中の獲物の振動を感知することができます。イタチザメは真っ暗な夜の海でもこの側線のおかげで狩りができているというわけです。

 

3.イタチザメの生態

イタチザメの生息域

タイガーシャークの生息域

イタチザメは世界中の温帯~熱帯の海に生息しています。沿岸部の水深140メートルぐらいまでのエリアで獲物を追って移動を繰り返しているようです。どちらかというと暖かいほうが好みなのか、寒い時期には赤道近くに集まることも多い模様。一定エリアに長くなわばりを持つようなことはあまりなく、遊牧民的に広大なエリアを回遊していることがわかっています。

日本では沖縄や九州南部の海に多く生息していますが、まれに本州北部のほうで発見されることもあります。温暖化の影響なのかわかりませんが、もし海温がこれから上がっていくのであれば北海道近海なんかでも普通に目撃されるような時代が来るかもしれません。

基本的に群れることはなく単独行動。まれにクジラの死骸などに偶然集まることは多いようですが、シュモクザメのような社会的な集団を作って行動している姿は観測されていません。

 

イタチザメの食性

イタチザメは昼夜問わず活動していますが、夜間のほうがより活動的になるとされています。普段はゆったりと泳いでいるイタチザメですが、捕食の際には瞬間的に素早く泳ぐことができ、その速度は9メートル/秒とも言われます。

イタチザメはサメの中でも食に対して貪欲であると言われていて、口の中に入るものは何でも食べてしまいます。小型のサメやエイ、硬骨魚類、イカ、ウミヘビ、クラゲ、海鳥、クジラ、甲殻類など様々。人間の腰ぐらいの深さの浅瀬に入り込み、馬や牛なんかを襲ったケースまであります。

また、ウミガメの産卵時期や海鳥の巣立ちの時期を覚えているらしく、その時期に合わせてイタチザメは移動を行います。産卵後で弱っているウミガメや巣立ちする雛鳥はイタチザメにとって絶好の獲物というわけです。

 

イタチザメが幼いウミドリを狙う動画:

また、興味を持ったものはとりあえず口にしてみようと思うらしく、海中を漂う明らかに食べ物ではないゴミが胃袋から見つかることも。木片やゴムのタイヤ、衣類など。映画『JAWS』で捕獲されたイタチザメの体内から車のナンバープレートが見つかるシーンがありますが、実際本当にイタチザメの体内からナンバープレートが見つかった事例があるそうです。また一部の情報では、鳩時計なんかが見つかったこともあるそうで、まさにリアルピーターパンの世界ですな。

 

イタチザメの天敵

イタチザメぐらいの大きさになると天敵はほとんどいません。イタチザメの命を奪うことができるのは、シャチ、自分より体が大きなサメ、人間ぐらいではないでしょうか。ちなみにイタチザメ同士で共食いをすることもあるらしく、大型の個体の胃袋から小型のイタチザメが見つかることもあるようです。

イタチザメの天敵

 

イタチザメの繁殖活動

イタチザメは基本単体行動なので、世界中を回遊する際に運良く出会った異性と交尾していると考えられます。春シーズンに交尾を行うようで、春になるとウキウキするのはどの生き物も一緒みたいですね(笑)

イタチザメは胎生。母親ザメはその体内に30匹前後の稚魚を宿し、出産までには1年程度の期間を要します。胎生ではありますが胎盤は持ち合わせておらず、稚魚は自身の卵黄を消費したり、母体から分泌される栄養物質によって成長していきます。こうして育った幼魚は親の体から出てくる時点で大きさは50~70cm程度になっています。一度にこれだけの数の稚魚を産み出せることを考えると、兄弟となる無精卵を食べて1~2匹しか誕生しないホホジロザメなどに比べかなり効率のいい数字に思えます。

美ら海水族館では飼育中のメスの個体に出産させることを成功しました。水族館でイタチザメの出産に成功するのは世界初のことで、このときは27匹の幼魚が生まました。しかもこのときの考察で前述した母体から分泌される栄養物質の存在を認知することができ、イタチザメの生態の研究としても非常に有意義な出来事となりました。

画像引用:美ら海だより【只今出産中!】

 

4.イタチザメの人間にとっての危険性

沿岸部に生息すること、強い雑食性、体格の大きさから、人間にとっては非常に危険なサメです。サメ事故における知名度では圧倒的にホホジロザメのほうが有名ですが、イタチザメによる事故件数の多さもあなどることはできません。

子供が泳ぐような浅い海や河口にも出没しますし、何よりイタチザメは捕食目的で噛み付いてくることが大きいです。ホホジロザメは興味心で一咬みだけして立ち去ることが多いようですが、最初から捕食目的で近寄ってくるイタチザメの場合は一咬みだけでは済まない確率が高いです。イタチザメはホホジロザメより一回り小型なため難を逃れることができたケースもあるようですが、岸から離れた場所で大型の個体に遭遇してしまった場合の危険度はかなり高いと言えるでしょう。

イタチザメの危険性

 

イタチザメによる咬傷事故

2012年春日丸転覆事故

日本国内のイタチザメ事故で一番有名なのは2012年の奄美大島沖での事件です。はえ縄漁船「春日丸」が高波によって転覆してしまい、荒波の中で6人の船員が木片や浮き輪に捕まりながら救助を待つ形になりました。その際に彼らの下半身を攻撃してきたのが1メートル程度の若いイタチザメ。このサメの攻撃が直接の死因になることはありませんでしたが、最終的に2人の方が亡くなってしまいました。

このときの証言によると、溺れないようにズボンを脱いでいた船員の下半身、またズボンを履いていても露出していた足先をサメは執拗に狙っていたそうです。肌色を認識していたのか、それとも露出していた部分からの電気信号をロレンチーニ器官で認識していたのかはわかりませんが、イタチザメの習性による何かがそこにはあったのかもしれません。

2000年9月宮古島平良市でのサーフィン男性死亡事故

2000年9月に沖縄県宮古島平良市の砂山ビーチ、サーフィンボードに座って波を待っていた21歳男性が突然サメによって海中に引き込まれました。男性はサーフィン仲間の助けで陸に引き上げられましたが、下半身の傷が致命傷になり命を落としています。男性の傷跡やサーフィンボードについた歯型から襲ってきたサメはイタチザメであると断定されています。

 

5.イタチザメの駆除

イタチザメは宮古島や石垣島近海では夏場によく集まってきます。そのため人的危険性と漁業被害軽減のため沖縄県では毎年計画駆除を行っています。ニュースでもその駆除作業の様子はよく放送されていますね。はえ縄の仕掛けで1日に何十匹ものイタチザメがかかるそうですから、相当な数が集まっているということですね。

ちなみに駆除の効果はおおよそ三ヶ月ぐらいあるとのことです。駆除してたった三ヶ月で元に戻ってしまうということはその場所で個体数が回復したのではなく、違う場所を回遊していた個体が戻ってきたと考えられます。そのため全体のイタチザメの資源量を心配する識者もいるようです。

 

 

6.水族館で出会えるイタチザメ

画像引用:美ら海生き物図鑑

イタチザメはいろんな水族館で飼育がチャレンジされています。ただし大型の雑食性ということもあって大変飼育は難しいらしいです。そして意外にも神経質。ほかの魚に果敢に襲いかかっていくイメージがあるかと思いますが実際はその逆で、自分より小さな魚が近づいてきてもイタチザメのほうが避けていくようです。水槽という人工の環境がイタチザメの習性に影響をきたしているのでしょうか。

そのため1年程度で亡くなってしまうことが多く、この水族館なら必ず展示しているというのは保証がしづらいところがあります。高確率で展示をしているのは美ら海水族館。次いで海遊館や鴨川シーワールドもタイミング次第といったところでしょうか。

ちなみにイタチザメは知能が高いためか餌付けする人間にはすぐ慣れるそうです。同じ水槽に素潜りしても危険はないんだとか。さすがに抱き合ってじゃれあうようなことは無理でしょうけど(笑)

また、海の中でイタチザメに餌付けをしている動画があるんですが、このタイガービーチに集まるイタチザメは、ちゃんと人間を「餌をくれるいい奴」としてみている気がします。動くものになんでも反応して噛み付いてくるようなそんな危険な雰囲気は全くありません。この海のサメはもしかして人間と自分の関係のあるべき形を理解しているのかもしれませんね。

タイガービーチ

 

7.イタチザメが出てくるサメ映画

人間にとって危険なイタチザメですが、意外にもサメ映画の主役にはなかなか抜擢されません。イタチザメがメインになってるのって『ブルーサーヴェージ セカンドインパクト』ぐらいかな?パッケージのサメがどう考えてもホホジロザメなところは触れてはいけません。

あとは『JAWS』で中盤に見当違いで駆除されたサメとして登場するとか、『ディープ・ブルー』でちょっとだけ出てきてナンバープレート吐き出してるぐらい。モンスターパニックの主役に抜擢するには温厚そうな表情がパンチ弱いんでしょうか?

 

8.イタチザメの資源利用

イタチザメだけを狙って捕らえるという漁は世界中でもほぼ行われていません、たぶん。あるのは定置網などで他の魚と一緒に混獲されるパターンですね。そういった形でまれに港に運び込まれて市場に並ぶこともしばしばあるようです。肉はそれほど美味ではなくサイズ的に扱いにも困るので、買い手には困りそうな印象がありますが(苦笑)

YouTuberのカフーカさんが見事にイタチザメを捌くところを見せてくれています。こういう配信をしてくれる人がいて、それを気軽に見れる世の中になったのは本当にありがたいことですね。

 

9.イタチザメまとめ

とりあえずWeb上や書籍なんかで載っている信頼できるかなと思える情報をまとめてみました。完全にデマみたいな的外れな情報は除外できているはず、たぶん。

イタチザメは個体数が多いぶん、ほかの大型サメよりも確実性のある情報が多く揃っていていいですね。繁殖方法なんかも人間がちゃんと観察できている数少ないサメのひとつだ思います。これからももっともっといろんな生態がわかっていくんじゃないでしょうか。

 

さーて、次はどのサメにしようか。

したらな!

 


参考Web:
Wikipedia イタチザメ
Wikipedia(英語版) Tiger Shark
一般社団法人美ら海財団総合研究センター「イタチザメの飼育下分娩の論文が出版されました」
八重山日報「巨大イタチザメ仕留める 2日で142尾を駆除」
ナショナルジオニュース「サメの赤ちゃん「陸の小鳥」を常食 なぜどうやって?」
ピクシブ百科事典 イタチザメ

参考書籍:
ほぼ命がけサメ図鑑
サメガイドブック
世界サメ図鑑

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