JAWS(ジョーズ)
育児でなかなか外出できない人の強い味方、Netflix!
今回は『JAWS(ジョーズ)』だよ!
もう説明不要の往年の名作サメ映画ですね。
作品が公開されて40年経った今でも「ジョーズ」って単語はいまだに現役。
たとえ映画は見てなくても、単語としては誰もが認知していることでしょう。
(もしかしたら、10代ぐらいだともうジョーズって単語通じなかったりすんのかな?)
1975年に公開されたこの「JAWS」、サメ映画の金字塔となった人気作品です。
この映画は視聴者に大きな衝撃を与えました。
まぁ、詳しいレビューの前に、とりあえずあらすじ!
ネタバレありなのでご注意を!
ニューヨークから最近アミティ市に赴任してきたばかりのブロディ署長。
アミティ市は25年間大きな犯罪など起きたことのない海辺の平和な街だった。
しかし、ある日ビーチでサメに襲われたと思われる女性の死体が発見される。
ブロディ署長は海水浴場の封鎖を訴えるが、夏の海開きを前に観光客の減少を危惧した市長はそれを拒否。
そうこうしている間に、公衆の面前で少年がサメの犠牲になってしまう。
惨事を目の当たりにした街は大騒ぎになり、市はサメに3,000ドルの懸賞金を懸けてハンターをつのる。
ハンターの手によりあっさりと1匹のイタチザメが捕まるが、
サメ専門家フーパーは一連の事件とは無関係のサメだと主張する。
しかし市長はフーパーの意見を突っぱねて海開きを強行、
結果的に観光客の男性が食い殺されてしまうという惨事を招いてしまう。
思い直した市長の許可を得てサメ専門ハンターのクイントを雇ったブロディとフーパーは、
オルカ号に乗って沖に出て、サメの退治を試みる―
って感じのお話。
「JAWS」というのは日本語でいう「顎(あご)」を意味します。
ストレートにサメというタイトルをつけなかったのは効果的ですね。
「顎」という単語のほうが、いろいろ連想出来てホラー映画として恐怖感がありますもん。
日本に輸入されるとクソみたいにダサい邦題をつけられがちですが、
ホント本作については忠実に『ジョーズ』のままにしてくれてよかったなぁと。
下手したら『サメパニック大暴走』とかフザけたタイトルつけられて、誰も見る気にならない作品になっていたかもしれない。
そんなばかな、ハハハなんて思うでしょ?
いや、それぐらいのことやりかねないんだって、邦題つける仕事の人達は(やや怒)
はい、まず映画そのものの総評ですが、めちゃめちゃ面白いです。
2時間10分とモンスターパニック映画としてはやや尺が長いですが、ほとんどダレることなく最後まで楽しめます。
そもそもこのJAWSはモンスターパニック映画とはちょっとジャンルが違いますね。
ブロディ一家の家族愛にフォーカスをおけばヒューマンとも取れますし、
海に出て巨大なサメを探し、様々な方法で追い詰めていく過程はアドベンチャー的なワクワク感もあります。
ジョーズを真似て作ったB級モンスターパニック映画が、とりあえず「モンスターギャー!」「人いっぱい死んでギャー!」をやっときゃいいだろ的に作られているのが悪いのであって、『ジョーズ』はそういうのとは根本的に質が違うと言っていいでしょう。
とりあえず、スピルバーグってやっぱりすごいんだなと再確認できる演出の数々。
1件目の犠牲者のあとにブロディ署長がビーチを監視しているときのカメラワークのセンスの良さ、
シリアスな中にちょこちょこと出てくる登場人物のコミカルな人間性、
見ている側の心理を巧みに操って物語を盛り上げる音楽。
どれをとっても一流の作品と言えるでしょう。
DVDに収録されいているメイキングエピソードでも語られていますが、
開始1時間はほとんどサメの姿を見せずにおいて、こちらの想像による恐怖をかき立てる手法が特に秀逸。
JAWSメインテーマが流れるとサメが迫り来るというルールを前半にイヤと言うほどこちらの心理に叩き込んでおいて、
後半では無音だからといって油断しているといきなり飛び出てくるってのはホント卑怯です(笑)
人間関係の描写もとても秀逸。
主人公ブロディは厳格で人の命に真剣に向かい合いながらもどこかコミカル。
そして、とても打たれ弱く、とても人間臭いんですよね。
個人的にはブロディが落ち込んでいるところに息子がきてしぐさを真似てるシーンがとても好き。
あ、登場するサメの種類は言わずもがな、ホオジロザメです。
ホオジロザメは実際は大型でも6メートル級ぐらいとされていますが、
本作のホオジロザメは、クイントの目測で全長8メートル、体重3トンの超大物。
沿岸部に紛れ込んだこのサメは一度人間を襲ったことでその味を覚えてしまい、
この海に定着して水中に入る人間を襲い続けるという設定です。
しかし意外なことに、実はこの映画の中でこのサメに殺されたのは実は5人だけ。
これ以後に作成されたモンスターパニック映画では過激さを求めてもっと多くの犠牲者が出る傾向にありますが、
このJAWSの完成度を考えれば「犠牲者の数が多い=刺激的な映画」ではないことがはっきりわかりますね。
ちなみにイタチザメも登場します。
これはハンター達に冤罪で捕獲されてしまった可愛そうなサメです。
このサメの腹を割いたときに胃袋の中から車のナンバープレートが出てくる演出は、
後のレニー・ハーリン監督作品「ディープ・ブルー」にもJAWSオマージュとして使われています。
こういうの面白いよね。
ほかに登場人物の会話の中では、オナガザメ、シュモクザメ、ウバザメの名前が出てきます。
フーパーがオナガザメにオールや船をかじられた、クイントの足にオナガザメに咬まれた傷がある、なんて会話をしてますが、実際オナガザメはおとなしくて人間に対して警戒心が強いので、このへんの会話シーンに関しては疑問がありますね。
ホオジロザメやイタチザメの描写はかなりキッチリしているだけにこの点だけは残念。
個人的には、クイントが実はインディアナポリス号事件の生き残りってくだりが好きですね。
1100人いた乗組員が無数のサメによって5日後には300人になってしまったその悲惨な状況を淡々と語っているシーンは、強く印象に残りました。
(ちなみに漂流中にサメは実際はそれほど脅威ではなかったという意見もあります。いろんな視点で考察したほうがよいですね。→こちら)
あ、ついでに本作のサメの撮影方法ですが、基本的にロボットを使って撮影をしています。
クレーンのような車にサメのオブジェをくっつけて、そのクレーン車を丸ごと海に沈めて動かす手法。
しかし、このロボットザメがかなり撮影時にはネックになったようです。
陸上動作実験では問題なく動いたものの、水中に沈めると全く動かなくなり、撮影クルーを困らせました。
まともに動くようになったのは撮影開始から何ヶ月も経ってからだったとか。
そのせいで撮影が予定より大幅に遅れ、作品が完成するのが先か、監督がクビになるのが先か、切実な状況だったそうです。
スピルバーグも「作品は最高だが、撮影時は最悪」と語っています。
またサメのリアリティを出すために、実際のホオジロザメの映像を別で撮影して劇中に混ぜて使っています。
フーパーのケージが大破するシーンがまさにそうで、あのシーンのサメは本物のホオジロザメです。
実際には4メートルのサメだったのでケージを少し小さめに作り、サメが大きく見えるように撮影しています。
本来はケージの中に小さめに作ったフーパー人形を入れて撮影するはずだったんですが、
うまくサメがケージを壊している瞬間を撮影できたときには不幸にも人形を入れてないタイミングでした。
そのため、台本ではそこで命を落とすはずだったフーパーを事前に脱出させるという脚本変更を行い、
本編ではフーパーが脱出したあとの空のケージをサメが破壊する、というシーンにしたそうです。
命拾いしたなフーパ―(笑)
この『JAWS』がヒットしたからこそ、その後人気に便乗したクソサメ映画が量産されまくり、
自分を含む「サメ映画マニア」というマイノリティな層が生まれたわけですな。
そういう意味でも本当に感謝しきりの作品でございます。
サメ映画の原点といっても過言ではない『JAWS』、
もうなかなか地上波でも流れなくなってしまったので、まだ観たことない方いればこの機会にぜひー。
したらな!
JAWS(ジョーズ)
1975年アメリカ制作
監督: スティーブン・スピルバーグ
脚本: ピーター・ベンチリー
キャスト: ロイ・シャイダー、ロバート・ショウ、リチャード・ドレイファス、マーレイ・ハミルトン、ロレイン・ゲイリー
コメント