ディープ・ブルー
世の中にあるサメ映画を片っ端から観ていこうのコーナー!
どうしようもないクオリティのサメ映画がはびこっている中、今回はその中でも名作をば。
地上波でも何度も放送されているので知名度もかなり高い作品です。
はい、今回は『ディープ・ブルー』でございますよ。
サメ映画やモンスターパニック映画好きであれば、おそらく観てない人はいないであろう名作。
自分もかなり好きなので、通算10回ぐらいは観てるんじゃないかな。
いやね、てっきりとっくにこのブログでも紹介してると思ってたんですけどね。
なぜかこの『ディープ・ブルー』はすっぽり抜けていたという。
おかしなサメ映画は無駄にたくさん紹介してるのにね(笑)
え?おかしなサメ映画って何って?
うるせー!フランケンジョーズ観ろ!!
はい、本作『ディープ・ブルー』。
とりあえずあらすじからいってみましょー!
ネタバレしまくりなので、知りたくない方は端末投げ捨てろ!
とある夜の海上。
クルーズ船の上ではパリピな若者たちがヒャッホー騒ぎをしていた。
そこに姿を現したサメは船を破壊し若者たちをピンチに陥れるが、
駆け付けたカーターにより難を逃れ、サメも無事に捕獲される。
場所は変わってキマイラ製薬のビル本部。
今回の事件のサメは、キマイラ製薬が所持するアクアティカ海上研究施設から逃げ出したものだった。
アクアティカではスーザンがアルツハイマー新薬の研究を行っていたが、
サメ脱走騒動により研究打ち切り話が浮上してしまう。
なんとしても研究打ち切りを避けたいスーザンは、
研究が完成間近であることを見てもらうため社長ラッセルをアクアティカに呼ぶ。
そこでは研究のために3匹のアオザメが飼育されていた。
(あとからわかることだが、実はスーザンは禁じ手とされる遺伝子操作でサメの脳を大きくしていた)
サメの1匹を海中ラボで固定して脳細胞を採取。
それがアルツハイマーに対して効果的であることがわかり、メンバーは大喜びする。
しかし、そのとき固定していたサメが突然覚醒して暴れ出してしまい、研究員ジムの腕をかみちぎってしまう。
カーターはすぐにサメを射殺しようと銃を向けるが、研究材料のサメが惜しいスーザンはサメを外に逃がしてしまう。
すぐに救助ヘリを呼ぶが、外は大嵐。
到着したヘリはジムを担架ごとワイヤーで引き上げようとするが、
ワイヤー巻き上げの機械が故障し、ジムは担架ごと海中に沈んでしまう。
その担架をサメが咥えてすさまじい力で引っ張ることで、ヘリは制御不能で海上の司令部を直撃。
大爆発を起こしてしまう。
海中ラボにいたメンバーは大きな衝撃に戸惑うが、そこへさらに担架を加えたサメが接近。
サメが加速をつけてラボの窓に担架を叩きつけたことで、ラボの窓は破損。
大量の海水がラボの中に流れ込み、メンバーは命からがら廊下に脱出する。
脱出用の潜水艇も破壊されており(サメの仕業?)、メンバーたちは内輪揉めの言い争いを始めてしまう。
それを見かねたラッセルは、「こういう事態で一番怖いのは人間同士の争いだ。こんなときこそ力を合わせて生き延びることに注力するべきだ」的ないい感じの演説を始めるが、その演説の最中に飛び出してきたサメにパックリやられてしまう。
残されたメンバーは急ぎエレベーター用の縦穴のはしごを登って海上を目指す。
サメの1匹を仕留めたコックのシャーマンと合流してなんとか海上へのルートを模索するが、
度重なるサメの襲撃によって次々にメンバーを失っていく。
また自分の部屋から研究データだけでも持ち帰ろうとしたスーザンだったが、そこにもサメの姿が。
研究データに固執していたスーザンだったが、襲い掛かるサメを撃退するため泣く泣くデータディスクごとサメを感電させて撃退する。
残るサメは1匹。
なんとか海面へ泳ぎ出ることに成功したカーター、スーザン、シャーマンだったが、
そこには今にも破られそうな外部フェンスの姿が。
サメの真の目的は、基地を脱出し外洋へ泳ぎだすことだったのだ。
サメがフェンスを破る前に手を打たなければいけないと判断した3人は、
水中銃でサメに爆弾を仕掛けて爆発する作戦を思いつく。
しかしサメは水中銃が届く位置にいなかったため、スーザンがその身を犠牲にしてサメをおびき寄せる。
スーザンの死を目の当たりにしてショックを受けるカーターだったが、サメは容赦なくカーターにも襲い掛かる。
なんとかサメの背びれにつかまったカーターだが、シャーマンが撃った水中銃のスピアはサメの背びれを射抜き、さらにカーターの足も射抜いてしまう。
起爆をためらうシャーマンだったが、寸でのところでカーターはうまく脱出。
無事にサメを爆破してトドメを刺すのであった。
めでたしめでたし。
上映時間は1時間40分ですが、あらすじを見てもらえばわかるとおり、かなり密度が濃いです。
『MEG ザ・モンスター』もそうでしたが、展開が目まぐるしいので常にハラハラドキドキのテンションで鑑賞することができます。
上映時間は105分ですが、かなり体感時間は短く感じることでしょう。
モンスター系のホラーだと、テンポの良さはひとつのヒット条件かもしれませんね。
あと、やっぱり秀逸なのは演出ですねー。
いわゆるB級のクソサメ映画ってジャンルの作品だと、
「ホラー映画ってこんな感じでいいんでしょ?はい、作りましたよ」って感じのものが多いんですよね。
最初にテキトーにモブの犠牲者出すんでしょ、
途中で水着のお姉さんのお色気シーン挟んでおけばいいんでしょ、
最後はドカーンと爆発させときゃいいんでしょ、的な。
そういうふうに従来のセオリーを低い水準でなぞって、その結果クソみたいなモノができあがるという(苦笑)
でも本作に関しては、
「ホラー映画のセオリーはこう。視聴者もそれを知っている。その視聴者をハラハラさせたい!」
って意気込みが作品から伝わってくるんですよね。
導入部分から安直に犠牲者を出さずに、
「サメを追ってきた男がサメを捕獲して帰る?どういうこと?」というフックから入る。
そこからサメの驚異的な能力と知識の高さを見せて不安を煽り、
ジムが殺される一連の流れで一気に視聴者を引き込み、
トドメになるのはラッセル社長の退場劇ですよね。
ラッセル社長を演じるサミュエル・L・ジャクソンは、このメンツの中じゃ明らかに一番有名人。
明らかに普通のホラー映画だったら最後のほうまで生き残るはずの人なんですよね。
なんだったら最後に事件の黒幕とかであってもおかしくないぐらい。
それが上演時間半分もいかないタイミングでパクッと食われる。
このとき女性研究員ジャニスがギャァァァァァァーーーッ!って叫びますが、
これまさに視聴者の感情を代弁していますよね。
「えぇぇぇ!!サミュエルもう死んだァァァーーーッ!?」って(笑)
その後もジャニスが水に落ちてしまい、そのまま水中に沈んでいってしまうシーン。
どんどん姿が見えなくなっていくジャニスに対して視聴者は「がんばれ!沈むな!浮いてこい!」って願いながら画面を注視するわけですが、
そこにサメに咥えられながらジャニスがすごい勢いで飛び出してくるのはホント反則。
確かに「沈むな!浮いてこい!」とは願ったけど、ソレジャナイーーッ!
最初は人の命よりも研究成果を優先しがちだった、イヤなヒロイン役スーザン。
それが研究データを犠牲にしてサメを撃退したあたりから使命感に燃える良いヒロインに成長するわけですが、
そんな成長したヒロインをラスト近くでサメが瞬殺。
このインパクトには言葉を失った人も多かったのではないでしょーか。
あと細かいけど、ラストで満を持して立ち上がったシャーマンが撃った水中銃が、
カーターに当たるってのもポイント高いと思う。
「そろそろ終わると思ったか?まだ終わらないんだぜぇ?」
っていう監督のしてやったり感がすごい(笑)
最後までやってくれますわ。
あ、登場するサメについて。
本作で登場するのはアオザメです。
サメ映画といえば大抵ホオジロザメ、もしくはメガロドンが起用されるんですが、アオザメは珍しいですね。
現存するサメ映画でアオザメをモンスター役にしてる作品は本作以外にはないかも。
いちおうアオザメも人間にとっては危険な種とされていますが、
基本的に外洋にいるサメなので遊泳中に遭遇ということはまず有り得ません。
飛行機や船舶の事故で外洋に漂流するハメになったら危ういですけどね。
そんな機会はまずないでしょう。
アオザメの大きな特徴としては、サメ最速という泳ぐ速度の速さ。
その速度は35km/h~96km/hと諸説ありますが、とにかくとんでもなく俊敏なのは間違いないです。
その身体能力の高さは劇中でもいかんなく発揮されています。
モンスター役としては、鈍足で近寄ってくるホオジロより遥かに怖いかもですね。
ちなみに劇中のサメのビジュアルがややホオジロザメ寄りな気がする?
シーンによってだいぶムラがあるかもだけど。
アオザメはホオジロザメよりスタイリッシュな体形で、
歯は主にイカなどの軟体の生き物を捉えるため細い刺のような形状をしています。
眼球は真ん丸で大きくて白目がほとんどない真っ黒な形状。
まぁ、劇中のサメは遺伝子操作などで体格もいじってる設定らしいので、そのへんははツッコまなくていいのかもですが。
ほい、この『ディープ・ブルー』。
サメ映画界の中では『JAWS』以来の名作とされています。
さらに言えば、ここから『ロストバケーション』や『海底47m』『MEG ザ・モンスター』までこれに並ぶものがなかったとされています。
とりあえずサメ好きとか関係なく面白いアクションホラー映画だと思うので、
まだ観てないって方はぜひぜひーっ。
20年以上前の映画とは思えないぐらいフツーに楽しめますよー。
したらな!
ディープ・ブルー
1999年アメリカ映画
上映時間 105分
監督: レニー・ハーリン
脚本: ダンカン・ケネディ
製作: アキヴァ・ゴールズマン
製作総指揮: ブルース・バーマン
キャスト: サフロン・バロウズ、トーマス・ジェーン、LL・クール・J、サミュエル・L・ジャクソン
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