代替案が必要なときと、そうでないとき
・問題点を公開すると複数の人が代替案を考える事ができる
等である— 野田篤司 (@madnoda) August 17, 2019
【引用】
問題点を言う時、「代替案を一緒に出さないで、問題点だけ言うな」と言う人が居るが、そんな事はない
・問題点が発覚した後、代替案を考え無いと報告できないなら、その間遅れが生じる
・問題点を見つける才能と、代替案を見つける才能は別なので、別の人がやった方が速い
・問題点を公開すると複数の人が代替案を考える事ができる
等である
というツイートを見かけました。
よく「文句言うなら代案出しやがれコラァ」って意見を見かけますが、
このツイートは「そんなことないよ、代案なんかいらないよ」って擁護する形ですね。
現時点で15,000以上のいいねがついて、RT数も6,000以上、いわゆるバズってるって状態です。
「問題点を言うとき」っていうのが、
新たな問題(トラブルとか)が発覚したときを指してるのか、
誰かの意見の問題部分を指摘するときを指してるのか、
それははっきり分かんないですが。
とりあえず「代替案なしで問題点を言っていい」というのが根本的な主張。
というか、代替案いらないどころか「代替案考えるのはマイナス」と読み取れるぐらいのこと言ってますね。
代替案は必要ない、かぁ。。。
うーん、
たしかに言ってることもわかるけど、
それケースバイケースじゃない?
代替案の前に何より先に報告をすべきパターンもあれば、
代替案をいくつか添えた上で報告したほうがいいパターンもある。
場合によっちゃあ、自身の判断で対応しちゃって事後報告したほうがいいパターンだってある。
状況によってベストな選択って違ってくるワケで。
もうこれは絶対だと言い切れる。
状況によって代替案の必要性は変わると100%断言していいと思います。
【引用】
問題点を言う時、「代替案を一緒に出さないで、問題点だけ言うな」と言う人が居るが、そんな事はない
・問題点が発覚した後、代替案を考え無いと報告できないなら、その間遅れが生じる
・問題点を見つける才能と、代替案を見つける才能は別なので、別の人がやった方が速い
・問題点を公開すると複数の人が代替案を考える事ができる
等である
でもこのツイートは「状況」については触れていないんだよねぇ。
どんな状況であるかはまったく触れずに、スパッと「代替案が必要という人がいるがそんな事はない」と否定してます。
うーん、
おそらく自分と同じく「いや、代替案の必要性の有無はケースバイケースじゃない?」って感じた人は、
このツイートに対していいねやRTはまずしないと思う。
そうなると「代替案の有無はケースバイケースだと思ってない人」がいいねやRTをしてるわけで。
いいねが15,000以上、リツイートが6,000以上だから、それだけの数の人が「代替案なしでOKだイエーッ!」って思ってるってことなのだろうか。
ああ、これはちょっとイヤな汗が。。。
代替案が必要かどうかは状況によるでしょうよぉ・・・
これは100万歩譲っても絶対だよぉ。
だってそれだと、
「問題点はいつでも好き放題言わせてもらう!だがどうしたらいいかは俺は知らん!」がOKになっちゃうじゃん?
問題点ひたすら言うだけで解決は他人任せな人達があふれる世界なんてイヤじゃあーーーーー!
はい、代替案が必要かどうかはケースバイケースです。
はっきりいって代替案があったほうがいいケースの方が多いんじゃないかと思うぐらい。
たとえばですけど、
ビジネスで地方の客先への出張が決まっていたとして。
2日後に飛行機で向かう予定にも関わらず、台風の接近のせいで飛行機が飛ぶかどうかが怪しくなってきたとします。
この状況であなたのビジネスパートナーAさんとBさんは、それぞれこんな感じでした。
Aさん
「飛行機が飛ばないかもしれない。
どうしよう?」
Bさん
「飛行機が飛ばないかもしれない。
新幹線に変えると少し出発時間を早める必要があるし、そもそもこちらも台風で止まらない保証はない。
出発を前日夜に早める手もあるけど、その場合は宿泊費が余計にかかっちゃうね。
先方が納得してくれるのであれば出張自体をやめてリモートの打ち合わせというのもアリかな。
どうしよう?」
あなたはAさんとBさん、どちらをビジネスパートナーに選びますか?
問題解決が第一であれば間違いなくBさんが優秀でしょう。
あなたが困ったちゃん大好きの甘えさせたがり屋さんであればAさんのほうが好みかもですが(笑)
「飛行機が飛ばないかもしれない問題」をこれから検討して、早く話がまとまるのはBさんのほうです。
別にね、「こんな解決方法があります」「あんな解決方法もあります」といちいち口にして提案しなくたっていいんですよ。
その解決方法だって的を射た正解である必要もないんです。
一番重要なのは、現状の問題を理解して、その解決のためには何が必要で、そこで発生するメリットデメリットはどんなもんなのか、それらを一度頭の中で考えた状態であるってことなんですよね。
Bさんの場合は、
1.問題点に気付く
2.何が原因?
3.どうしたら解消できる?
4.そのために何が必要?
5.何が足りていて、何が足りていない?
6.いくつかの現実的な選択肢を思い浮かべ、それぞれのメリットとデメリットを想像する
までを自分の頭の中でやっていて、この問題に関しての現状把握とおおよその着地点を理解しています。
だからこの後どうするかの相談をしても、お互いに論点をわかっているので話がめっちゃ円滑に進みます。
でもAさんの場合は、
1.問題点に気付く
2.何が原因?
ぐらいで思考が終了してます。
これから相談をするにも、解消方法も、そのための手段も、それぞれのメリットデメリットも全部ゼロスタート。
問題の概要を全体的につかんでいないので、理解が浅いまま思いつきの案を出してきたり、
話が前後へ行ったり来たりしたりして大変です。
問題が起きたって認識で止まっている人と、問題解決への道筋のシミュレートが一度されている人では、
マジで思考に雲泥の差があります。
後者のほうが明らかに円滑に話が進みますし、
こちらが気付けなかった新たな問題点や解決策を把握してくれていることも。
後者の方がほぼまちがいなく最短ルートでベターな解決策に到達することができます。
緊急性があるなら代替案を考えてる場合じゃない
ただし、ここに緊急性が入ってくると話が変わってきます。
止まってしまう飛行機便が2日後の話ではなく、まさにいま乗ろうとしている便の話だったらどうでしょう?
いま乗ろうとしている飛行機が突然運休になった!ってときに、
一人でその事実を抱え込んでどうしようか悩み抜かれるよりは、
「まず飛行機が止まったという事実を報告してくれよ!」ってなりますよね(笑)
だって時間というファクターの重要性がとてつもなく高い状態。
何よりも最優先で情報共有をすべきでしょう。
これが代替案がいらないケースで、
ツイート内にもあった「問題点が発覚した後、代替案を考え無いと報告できないなら、その間遅れが生じる」「問題点を公開すると複数の人が代替案を考える事ができる」ってのがまんま当てはまるでしょう。
決裁権が自分にない場合は報告だけでいいときも
飛行機の例はここまでにして。
問題を共有する輪の中で上下関係があって、自分が下の立場にいるときなんかは代替案がいらないことがありますね。
チェーン店でバイトしていてお客様からクレームが入ったとか、
「対応は上がやるので、自分がやるべきことはまず報告」というシチュエーションは多くあるでしょう。
こういう現場で「え~、解決策としてはですね~」なんて意気揚々と語っちゃうと煙たがられます。
自分の仕事が報告であるなら、それを最優先で遂行すべき。
でも個人的にはですね、
報告だけでいいようなシチュエーションであっても、自分の頭の中で何が原因でどうやったら収束できそうかをイメージするクセをつけておいたほうが、自分のためにも組織のためにもなると思いますよ。
問題解決能力は常に磨いておいたほうが、将来的にどこかで絶対に役に立ちます。
すでに存在する主張に反論する場合は代替案があったほうがいい
ここまでは何か新たな問題点(トラブルなど)があった場合についてでしたが、
次はすでに存在する誰かの意見の問題部分を指摘するとき。
これも代替案があったほうがいいと自分は思っています。
代替案の有無で思い浮かべるのは、やはり米軍基地の辺野古移設問題ですね。
県民投票では辺野古移設について反対派が圧倒的に多く、自分もその気持ちはめちゃくちゃ理解できます。
沖縄の自然は守っていきたいし、米軍基地は減らせるものなら減らしていきたいというのは誰もが思うことでしょう。
ただしこの問題には、
・隣国との関係が良好とは言えない現状で牽制や防衛上で基地はどこかに必要である
・アメリカとの外交的に「やっぱ基地いらんね!ヨロシク!」なんてできない
・朝鮮半島、台湾、尖閣すべてに対応できる点で辺野古の立地が優れている
・辺野古やめてほかのどの都道府県にしようとしても反対必至で決まんない
という点などがあり、すでに「辺野古以外は現実的でない」要素が揃い過ぎています。
政府側もそれらの事情は重々承知のうえで辺野古移設を進めているワケなので、
「反対だ!でも代替案はない!」では、政府もうなずけないし耳を貸すわけにはいかないでしょう。
代替案の有無といえば、横浜のカジノを含めたIR誘致問題もそうですね。
横浜市は一度白紙宣言したはずなのに急に前向きに検討を始めたため、
横浜市民から「俺たちの街にカジノなんて物騒なものはいらねー!」と反対の声が上がっています。
カジノに対してのマイナスイメージ持っちゃう気持ちも個人的にはすごいわかるんですけどね、
少子高齢化への対策がまったくできていない日本において、横浜市も絶望的な人口減がデータで予測されています。
経済縮小が確実に約束されているいま、ぶっちゃけ世間の人が思うよりも日本経済はケツに火がついてます。
スーパー財政難で有名な横浜市においては、それはなおさら。
その打開策として、今回横浜市はIR誘致に出たワケで。
「カジノ誘致で儲けてウハウハだぜ」じゃなくて、
「とにかく何かで金を稼がないとまずい!何か、何かないか!」って形で
選んだ方針であることは明らかだと思います。
シンガポールの成功例(犯罪率もギャンブル依存症の割合も上がっていない、逆に観光によるGDPは爆上げ)をみると、
いまの横浜市としてはベストに近い選択肢だと思いますけどね。
「カジノ反対!」っていうなら「じゃあ他に金を稼ぐ方法教えてくれよぉ・・・」が横浜市の気持ちじゃないですかねぇ。。。
辺野古移設の件にしても、横浜市のIR誘致の件にしても、
共通しているのは「何かの事情があってそういうことになっている」ということです。
そうせざるを得ない事情が複雑に絡み合っていたりします。
その部分を全く汲まずに「反対!」ってだけでは絶対に話は進みませんし、
反対された側も「うるせぇ!じゃあどうしろつーんだ!」としか返しようがありません。
どれもそう簡単に代替案を出せる事例でないことは間違いありませんが、
「何が問題で、解決のためにどうしたらいいのか、何が必要なのか」という思考は持った上で反対しないと、
相手側だって意見を譲る気になれないことも間違いありません。
問題を解決することが共通の目的であって、相手の主張をディスることが目的じゃないはず。
解決に向けて1歩でも進めるためにも、必要最低限の思考を持って議論の場に立つのがスジだと思いますよ。
問題点を見つける才能と、代替案を見つける才能は別?
ツイート内に「問題点を見つける才能と、代替案を見つける才能は別なので、別の人がやった方が速い」とありますが、
個人的にはそれはノーかなと。
問題を見つけ、原因を考え、何をしたら良いかを考える能力は一貫した論理的な思考能力だと思います。
問題点見つける能力に優れている人は、同時に解決能力にも優れてます。
自分もこれまでにいろんな人といろんな仕事をしてきましたけど、
「問題点をすぐに見つけてしかも解決する能力が高い人」
「問題点になかなか気付けないうえに解決能力も低い人」
っていう人にはいっぱい心当たりがありますけどね、
「問題点を見つけるのだけ上手い人」
「問題点を解決するのだけ上手い人」
ってのはちょっと思い当たる人がいないです。
不満ばっか言って解決に取り組もうとしない人ってのはいますが、
それは「問題点を見つけるのが上手い」とイコールとは思いませんしね。
そもそも「問題点を解決するのだけ上手い人」って、そんなの物理的に存在しうるの?
問題を見つけるのはヘタクソだけど解決することだけはプロ級って、それどういう人なのか想像ができません(苦笑)
まとめ
・基本的には代替案(または解決策)があったほうがいいことが多い
・たとえ良案を思いつかなくても、解決法を模索するという思考が大事
・でも緊急を要するときは代替案とか言ってる場合じゃなく、まず報告が優先
・報告をするのが仕事であるポジションにいるときも、まず報告
・すでに存在する主張に対して反対したいなら、代替案があったほうが建設的
・問題見つける人と問題解決する人に分けるのはたぶんムリ
って感じですかね。
いつでもどこでも代替案なくてOK!って考え方が広まったらやだなと思って書いてみました。
代替案の必要性はケースバイケースよ!
したらな!
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