ジョーズ・イン・ツナミ
個人的にサメ映画強化月間、絶賛開催中でございます。
とりあえず片っ端から目に留まったサメ映画をむさぼっていくよ!
ほい、今回は『ジョーズ・イン・ツナミ』です。
原題は『Malibu Shark Attack』。
10年ぐらい前に一度観たことはあるんですが、
内容は津波の後にミツクリザメがいっぱい出てきて水没した廃屋でゴタゴタやってたような、ぐらいしか記憶がなくて。
ここまで覚えていないと初見のつもりで楽しめていいですな。
話逸れるけど、映画を年間200本とか300本とか観てる人って、内容覚えてるもんなのかな?
自分はけっこう内容を忘れてしまいがちな方なので。
鑑賞することでセンスが磨かれたりで、それはちゃんと経験値として残るかもだけどね。
せっかく時間割いて観るのに作品自体の内容忘れちゃうのはもったいない気もする。
ああ、早く脳内にHDDやSDD埋め込む技術カモン!。
閑話休題。
さてさて、この『ジョーズ・イン・ツナミ』。
こちらは2009年に製作されたオーストラリア・カナダ合作のサメ映画です。
なのになぜ舞台がアメリカのマリブなのかは謎。そして観た感じかなり制作予算は低そう。
低予算でジャンルがモンスターパニック系って、
もうクソ映画の条件を十二分に満たしていると判断してもいいんですけどね。
あえて言おう、それがいいのだと。
世の中にいるサメ映画マニアはみんなそういうのを求めているので、
需要と供給のバランスは取れているといってもいいでしょう。
さぁ、あなたも甘いクソサメ映画の世界にどうぞいらっしゃい。
ストーリーはざっくり以下のとおり!
いつものごとくネタバレしまくりです!
ネタバレが嫌なら今お手持ちの端末を黙ってハンマーで粉砕だ!
場所はカリフォルニアの平和な海岸。
そこは海水浴を楽しむ観光客で溢れていた。
しかし海底で地震が発生し、その影響で深海に住むサメがいっぱい浮上、人々を襲い始める。
サメの存在を知ったライフセイバー達だったが、
その刹那、さらに起こった海底地震によって大津波が発生してしまう。
30メートル級の大津波が海岸に押し寄せて、彼らは海岸の監視小屋に取り残されてしまう。
孤立した彼らにサメたちは容赦なく襲い掛かる。
心配して恋人がボートで救助にやってきたが、岸に向かう途中でボートは燃料切れ。
しばらく海上を漂流した彼らは恋人の職場の建物に彼らは流れ着く。
しかしそこにもサメ達が現れ、仲間にどんどん襲い掛かっていく。
建物の中で武器を手に入れた彼らはサメを次々と撃破。
無事に救助を呼ぶことができてハッピーエンド。
おしまい。
うん、いい感じにひどいです。
もう脚本も演出も何もかも。
津波災害で孤立してしまったところにサメの襲撃があるっていう設定は別にいいんですけどね、
サメも津波も理不尽な点が多過ぎて物語に入り込んでいけません。
見てる側をゲンナリさせるウソが散りばめられ過ぎです。
サメについては後の項で詳しく書いてますが、
ミツクリザメの生態を全然調べないままでテキトーに脚本書いてるのが明白です。
サメが主役の映画なのに、そのへんの下調べが全くされてないってどういうことだ(怒)
とりあえず、まずひどいのが津波の描写。
ものすごい大津波が浜のすぐそこまできてるっていう描写のCGを見せたあとに、
次の人々が逃げ惑うカットで映り込んでいる海は極めて穏やか。
また津波が迫っているのに登場人物が悠長にサメを守るか殺すか議論してるシーンも。
「津波はすぐ近くまで来てるの?それともまだ遠くなの?」っていうのがよくわからない時間が多く、
見ているこっちはどこまで緊張していいのやら分からず、これが非常に気持ち悪いです。
ちゃんと責任持って視聴者のテンションをコントロールしてよ!
いざ津波が到達してからも、おかしな部分満載。
主人公達が逃げ込んだ監視小屋(2階建てのショボい木造建築)は
30メートルの大津波に対してほぼ無傷という神懸り的な耐久力をみせます。
2階建ての小屋なんて高さ6メートルぐらいしかないのに、なぜか窓からは水しぶきが多少入ってくる程度。
いったいどういう構造してるんだろうこの小屋。
でも大津波が過ぎた後は、小屋は2階部分でも膝が浸かるぐらいにまで水位が上がっています。
しかもビーチにあったこの小屋は海上で完全に孤立していて、陸まではざっと400メートル。
その400メートル間、建物どころか樹木ひとつありません。
いったいどういう立地に建ってたんだこの小屋。
さらにいうと、津波って一時的に水が押し寄せるだけなんで時間が経てば水は引くはずなんですが、
この作品ではなぜか水が全く引きませんし、水の流れすら感じません。
津波が来たというよりは、海の水位がいきなりズイーッと上がったような感じになってます。
津波というよりは、ただの満潮みたいな感じ。
この映画、もしかして海を見たことがない人だけで撮ったんじゃなかろうか。
登場人物の行動もかなり不可解。
ミツクリザメを生かすか殺すかの議論に花を咲かせて津波のことをすっかり忘れて逃げ遅れるし(有り得るソレ?)、
サメが全部で何匹いるかもわかんないのに、篭城して6発しかない限りある銃弾で1匹ずつおびき出して倒そうとするし、
さっさと安全な屋根の上に逃げればいいのにいつまでも部屋の中にいるし、
助けを呼ぶための照明弾を、それほどピンチでもないのにあっさりサメに対して使っちゃうし、
サメがジャンプできるのわかってるのに背の低いボートに乗ったり、沈んだ車の中に逃げ込んだりするし、
ヒロインは命をかけて助けにきた今カレが頑張っているときに、元カレとイチャイチャしてるし(笑)
あと、元カレ役の腕に入ってるタトゥー、ネョラョテって書いてあるんですけど、これ何?(笑)
この俳優さん、別で『スーパーナチュラル』って海外ドラマにも吸血鬼役で出演されているんですが、
そちらのレビューでもこのタトゥーが気になって作品に集中できないという声が聞かれています。
この俳優さんが腕を出している映画ではもれなくこのネョラョテが見れるわけですな。
このネョラョテが意外にも話題をさらっておりまして、
しまいにはTシャツまで販売されてしまう始末です。
いったいどういう意味なんなんだよネョラョテ!
教えてくれネョラョテ!
演出面もホント意味がわからず。
人々がビーチで楽しく遊んでいるカットとサメが水中を泳ぐカットが細かく交互に入ります。
別に襲われるシーンでもなんでもないのに、しつこいぐらいに何度も何度も。
小屋で孤立しているときも同様で、室内の登場人物のカットとサメのカットが細かく繰り返されます。
おかげで会話の内容はなかなか展開しないし、慢性的にサメを見せられるせいで緊迫感も緊張感もなし。
モンスターパニック映画としては不可思議な構成だと思いますが、
何の意図があってこんな構成にしてんでしょ?
サメに殺されるシーンはちゃんと見せないくせに、
女の子の太ももの傷を縫合するシーンは妙に生々しく尺をとって撮影しているのもナゾ。
なぜそこピックアップなんだ・・・。
そして一番エエーッ!って思ったのはラストの決着シーン。
こういったモンスターパニック映画って、大体最後は爆弾でド派手にボーンってのがセオリ―です。
今回も最後の舞台が建物だったのでそういうオチだと思っていたんですが、意表を突かれました。
ラスト決着はサメをみんなで囲んでリンチです。
誘い込んだサメに仕掛けを倒して動けなくしたあと、メンバー5人全員がチェーンソーやモリを使ってサメをザクザク。
サメは阿鼻叫喚、ものすごい叫び声をあげながらもがき苦しみ暴れます。
メンバーは鬼の形相でサメを切り刻み続け、その顔には大量のサメの返り血が。
違った意味で怖いよこの映画 (´;ω;`)
サメが足に食いつきそうになるシーンとか、不意打ちで桟橋の男が食われるシーンなんかは好きだったんですけどねぇ。
あ、あと後半の夜の建物内の雰囲気もまぁまぁいい感じ。
でもホントそれだけの映画だったなぁ。
うーん、残念。
あ、登場するサメについて。
主役となるサメはミツクリザメです。
英名はゴブリンシャーク。
認知度が低いこのミツクリザメをチョイスしてくるのはサメ映画としては珍しいですね。
まぁ、元々が悪魔みたいな顔をしてるってことでゴブリンシャークの名がついているので、
ヒール役として仕立てるには都合が良さそうなサメではありますが。
ただしこの映画にでてくるミツクリザメの設定はムチャクチャです。
サメを見た生物学者のバーバラが興奮して「絶滅したはずのミツクリザメよ!」
なんて騒いでいますが、このサメ絶滅してません。
ミツクリザメは東京湾や駿河湾の海溝なんかに普通にいます。
深海に生息していてその生態があまり解明されていないってだけで、
とくに絶滅の心配をされているわけでもありません。
自称専門家って奴はいつの世もテキトーですな。
あとミツクリザメはビジュアルは強面ですが、獰猛なサメではないです。
基本的に中型魚やイカなどを食べていて、人間はもちろん、
冒頭シーンみたいにホオジロザメを襲ったりすることもありません。
劇中でずっとアゴが飛び出たままですけど、実際は獲物を捕らえる瞬間しかにアゴは飛び出ませんしね。
あと頭突きで監視小屋の床をブチ抜いたり、金属のシャッターを破壊したりしてますが、
実際はミツクリザメの頭部の角は固くないので攻撃には向いていません。
また海面より上へのジャンプもできません、尾びれの構造的に。
「これがミツクリザメかぁ」と思って映画を見ると間違った知識を植えつけられます。
あくまで「深海からきた新種の凶暴ザメが、たまたまミツクリザメに似ていた」というつもりで見たほうが良いでしょう。
最終的な映画を観た感想。
とにかくネョラョテの一言に尽きます。
これがまたいろんなシーンでチラホラ画面に映りこむのよ、ネョラョテ。
劇中で一度でも意識してしまうと、ネョラョテがフレームインするたびに集中力を全てを持っていかれます。
すげー破壊力だわ、ネョラョテ。
サメ映画好きで会話するときは、まずこのネョラョテを合言葉にしたらいかがでしょうか?
この言葉を知っているかどうかでお互いのサメ映画好きレベルが計れるかもしれません。
流行るといいな、ネョラョテ。
ジョーズ・イン・ツナミ。
いろんな意味で楽しいサメ映画でございます。
ご興味あればぜひ!
したらな!
ジョーズ・イン・ツナミ
2009年オーストラリア&カナダ製作 テレビ映画
脚本: キース・ショー
監督: デビッド・リスター
キャスト: ペータ・ウイルソン、ウォーレン・クリスティ、シャーラン・シモンズ、ソーニャ・サロマ、ジェフ・ガンロンド、ほか
登場するサメ: ミツクリザメ、ホオジロザメ
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