1917 命をかけた伝令
育児で外出がしづらい人の強い味方、Amazonプライム!
我が子もあんまり昼寝しなくなったので、もっぱら寝静まった深夜にしか観れない感じだけど。
でも月に数本見るだけで元が取れちゃうサブスクってホント素敵。
はい、今回ご紹介は『1917 命をかけた伝令』です。
劇場公開されたのは去年の1月頃。
ちょうど舞台『KEISOU』をやっていたときだったんだよね。
こちらの『1917』は、戦場を走る伝令兵の話。
舞台『KEISOU』は物資を運ぶために走る輜重兵の話。
題材的に被るところがあって、ずーっと気になっていたんだけどね。
育児&新型コロナでなかなか映画館には足を運べないまま、
1年遅れで自宅でサブスクで観ることになっちゃいました。
(経済的だし劇場に足を運ばなくていいしで楽チンではあるけどね)
ほい、この『1917』。
あらすじ!(以下ネタばれ含む)
第一次世界大戦中の戦場が舞台。
主人公であるトムとウィルはイギリス兵としてドイツ軍と対峙しているところ。
ドイツ軍が前線を下げたので翌日にイギリス軍の一個中隊が突撃をかける予定になっていたが、
実はそれがドイツ軍の戦略的な罠だということが判明する。
前線にはトムの兄もいる。与えられた時間はたった1日。
トムとウィルは伝令を最前線に伝えるために、たった二人で戦場を駆けていく―
的なお話。
この映画で話題になったのは、この主人公たちの1日の疾走劇を、
全編ワンカット撮影(正確にはワンカット風)にて撮影しているということ。
上官に呼ばれて塹壕の中を移動し、上官から命令を受け、
敵の銃弾や爆撃にさらされながら最前線まで駆け抜けていく様子を、
まるでひとつのハンディカメラが追いかけているかのような撮影手法を取っている。
途中で気を失って画面がブラックアウトしたり、
大木のような遮蔽物がカメラの前を横切ったりするところでカットを繋いでいるので、
あくまで疑似的なワンカットだけど、わざわざ注視してカット部分を意識しない限りは何の違和感もない仕上がり。
戦争モノってことでエキストラの人数もハンパないし、
めちゃくちゃ長回ししてるシーンでもカメラアングルがぐるぐる回ってるので、
その撮影技術と緻密な計算にはホント感嘆の極みだね。
このワンカット撮影を強行した理由は、別にすごい技術を見せつけたかったからじゃあない。
監督たちはこの実話に基づいた話を「忠実に再現したかった」んだそうで。
言い換えれば、視聴者に忠実に体験してほしかったってことにもなるかもしれない。
自分たちがこの情報を最前線に伝えなければ、1600人の兵士が犬死してしまう、
さらにその部隊には最愛の自身の兄も所属している。
タイムリミットが刻々と迫る中で、銃弾が飛び交う戦場を自分の足だけで泥臭く走っていく。
そんな主人公たちの姿と、その体験を、生々しく描いていて、
それがダイレクトで見ている側に伝わってくる。
物語の結末を言ってしまえば、一人生き残ったウィルは無事に任務を果たしてエンディングになるわけだけど、
そこには達成感からくる歓喜も安堵もない。
目的を果たした先にさえも何も幸せな景色は用意されていない。
友人の死を目の当たりにし、己もスタぼれに傷付きながら、
戦場でひとつの命令を忠実にこなした一人の兵がそこに残るだけ。
戦争という非情な空気の中で漂う圧倒的な虚無—
戦争モノの映画は数えきれないほどあるし、自分もその中でたくさんの作品を見てきたけど、
こんなにも自分が「戦場というものを体感した」と感じられる作品はなかったなぁ。
どんな戦争モノ映画よりも親身にグッとくるところがあった。
この『1917』は、もっともっとたくさんの人に見てもらいたいなと思える作品。
Amazonプライムにも入ってますのでご機会あればドウゾ。
1917 命をかけた伝令
監督: サム・メンデス
脚本: サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
製作: サム・メンデス、ピッパ・ハリス、カラム・マクドゥガル、ブライアン・オリヴァー
製作総指揮: ジェブ・ブロディ、Ricardo Marco Bude、イグナシオ・サラザール=シンプソン
出演: ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、ほか
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