ジュラシック・ジョーズ
ほら、そこにサメがいるから―
そんなどうでもいい理由でサメ映画をどんどん鑑賞していこうのコーナー!
いったいどこに需要があるのか不明だけど、ひたすら続けていくよ!
オラ、こういう無意味な企画が大好きだもの!(自暴自棄)
はい、今回は『ジュラシック・ジョーズ』だよ!
サメ映画に限らずですが、こういうB級モンスターパニック映画鑑賞を続けていると必ず一定割合で遭遇します。
そう、本作は紛れもない本物。
いわゆるやべぇヤツです。
「B級パニックホラーって設定がバカバカしくて楽しいよねー!」
なんてぬるい心構えで観ると、一瞬でその首もっていかれます。
いるところにはいるんです、想像の斜め下をいくホンモノのやつが。
楽しもうと思うな!
死ぬ気でかかれ!
ほい、まずは本作『ジュラシック・ジョーズ』あらすじから。
いつもどおり以後ネタバレしまくりです。
場所はたくさんの観光客で賑わうハワイ。
その近海で海洋調査をしていた教授。
しかしそのとき海に潜っていた助手が何かに襲われて死んでしまう。
さらに観光PR写真を撮影していたカメラマンも海岸で何かに体を引きずり込まれて行方不明になってしまう。
カメラマンが襲われる瞬間を目撃したヒロインはホテルの経営者にそれを伝えるが、
観光客が減ってしまうという理由で相手にしてもらえなかった。
そうこうしているあいだに、大勢の前にモンスターが現れて人を襲ってパニックを巻き起こす。
ホテル経営者は観光客を呼び戻すために起死回生の策で、モンスターに懸賞金をかけて街をお祭り騒ぎに。
街中の人間が武器を手にとってモンスター退治に出かける。
主人公、ヒロイン、教授もモンスターを倒すために海に出る。
途中教授が命を落としてしまうが、
教授の死体に爆弾を仕掛けてサメに食べさせることでサメの撃破に成功。
ハッピーエンド。
いやもう、サメの倒し方がサイコパスの所業です。
これだけでこの映画がいかにやべぇヤツなのががわかるでしょう。
まぁ、とりあえず落ち着いて最初から見ていきましょう。
この『ジュラシック・ジョーズ』は、1979年にアメリカとフィリピンが共同製作した映画です。
1994年製作なんて情報もちらほら見受けられますが、これは日本で製品化されたのが1994年ってだけで、実際に作られたのは1979年。
英題は「Up from the Depth」で、深いところから上がってくる的な意味。
これが邦題になるとね、「ジョーズ」だの、「ジュラシック」だの、ウケそうな単語を付けてしまうわけですよ。
ぶっちゃけ本作に登場するモンスターはビジュアル的にどう見てもサメではありませんし、
ジュラ紀を生きた古代生物だなんて説明も劇中に一度も出てきません。
『ジュラシックパーク』がヒットしたのが1993年、邦題がつけられたのが1994年。
もうゲスな算段が透けて見え過ぎですよね。
以前から何度も言ってますが、ホント邦題付ける仕事の人に一回隕石落ちるといい。
さぁ、このジュラシック要素もジョーズ要素もない『ジュラシック・ジョーズ』
なんかもうねー、
B級映画とかそういうのじゃないのである。
B級とか、C級とか、Z級とか、そういうのを超越しているというか。
この作品は評価してはいけない、観ている側をそういう気持ちにさせてくる恐ろしい作品。
まずお話的には『JAWS』の丸パクリです。
サメ騒動が起きるけど観光業が心配な偉い人が聞く耳持たないとか、ね。
まぁ、それはほかのサメ映画でも同様のパクリが横行してるので別にいいんですが(←いいのか)
とにかく演出面がしんどい。
モンスターパニック映画において肝であるはずの襲撃シーンですが、
モンスターがいざ人間に襲いかかろうってタイミングになると、水しぶきと泡と血糊がそれぞれ大量に出て、視界不良状態になります。
本作における襲撃シーンは全て例外なくこの演出。
「泡と血糊で画面がぐちゃってなったら人が死んだってことでーす」
監督は視聴者側にそんなルールを強いてきます。
おおぅ、なんてクレイジー。
演出が基本こんなスタンスなので、
モンスター絡みのシーンでは今いったい何が起きているのか伝える気がないシーンが多数。
っていうか、むしろ誤魔化すほうに注力し何も見えないようにしてるフシさえ感じる。
一番大事なモンスターを倒すシーンもぐちゃぐちゃ。
セリフのおかげで「教授を餌にしてサメに爆弾を食わせる」って流れは理解できるのですが、
画だけ見てても何が起きているのかさっぱり。
気が付くといきなりモンスターが爆発していて主人公たちヒャッホー。
トドメという決めのシーンで完全に視聴者を置いていくという暴挙(笑)
決めのシーンさえ誤魔化すなら、そもそも何を観せたくて作った作品なんだろう。。。
またね、すごいのは清々しいぐらいに登場人物がみんな悪人であるところ。
観光客離れを恐れてサメを見て見ぬふりをするホテルの経営者は当然悪人なんですが、
未知の生物の論文を書くために助手の死を黙っていた教授も悪人だし、
主人公なんかは、普段から観光客を騙して小銭を稼いでいる詐欺師。
こういうモンスターパニック映画見ててさ、
こいつ生き残ってほしいって奴が一人もいないってすごいよね。
特にラストの極悪非道展開は歴史に残していいと思う。
船の上でモンスターに襲われて瀕死の状態の教授。
教授「海中に捨てないでくれ、あんな怪物には食われたくない!」
そして哀れ息を引き取る教授。
みんな「教授ーーーーーッ!」
主人公「どうしよう・・・そうだ!サメに爆弾を食べさせて爆破して倒そう!」
ヒロイン「爆弾を食べさせるには餌が必要よ!」
主人公「よし!教授の死体を餌にしよう」
ええーーーーーーーーーっ!!!Σ(°д°lll)
教授が死に際のセリフがまさかの伏線。
化け物に食われたくないという最後の意思を無視して教授の死体に爆弾を設置、
それをサメに食べさせて爆破する作戦を滞りなく遂行です。
ひ、非人道的すぎる・・・。
スパイ映画の主人公だってもうちょっと人の心があると思うんですが。
全米が震えます、違う意味で。
ちなみにヒロインだけはさすがに良識があるのか「そんな所業は許されない」と反対するのですが、
いざその作戦でサメの撃退に成功すると、ガッツポーズでバカ喜びです。
どさくさで頭でも打ったんでしょうか。
また、中盤で登場する日本人のミスター鈴木は、典型的な日本人の偏見描写です。
裸にふんどし姿に日本刀1本でモンスターに挑むという(苦笑)
決め台詞は「イッタルデー!」
もちろんギャグ要員なわけですが、結局ボートが岩に引っかかて出番終わりという雑さ。
その存在そのもののスベり具合に見ているこっちが複雑な気持ちになってしまいます。
(「イッタルデー!」は後世においてサメ映画フリークの合言葉にまで昇格しましたが)
ああ、何から何までアレな映画・・・(゚Д゚)
ほい、登場するサメについて。
登場するのは未知の深海性のサメです。
完全にオリジナルの生き物なので実際にはこんな種のサメはいません。
っていうか分類的にサメかどうかも怪しい。
生態は完全に不明。
体長は4~5メートル程度でしょうか。
水面から顔を完全に出した状態で泳ぎ、スピードはそこまで早くありません。
ボートを破壊していたので、獰猛さとパワフルさはなかなかのものかも。
浅い海まで浮上してきた理由は劇中では説明されていませんが、
冒頭で助手が潜水しているときに海底地震のような描写があったので、もしかしたらそれが原因なのかもしれません。
ただの推測でしかありませんが。
とりあえずビジュアルがところんダサいです。
どういう方向性を目指したデザインなのかさっぱりわからん・・・。
そもそもパッケージ詐欺が甚だしいよね。。。
ビデオパッケージでは、ホオジロザメをゴツゴツさせた古代感たっぷりの怪物ザメが描かれています。
なかなかカッコよくて迫力があると思うんですが、。
ぬーん。
実際に登場するのはコレ。
アンコウとネコザメにナマズ足したような、一般的なサメのイメージとはかけ離れたビジュアル。
邦題で勝手にサメ映画としてカテゴライズされちゃってるけど、
本来はオリジナルモンスターによるホラー映画ってのが正しい分類なんだろうなぁ。
そもそも怖いビジュアルにすればいいのに、なんでちょっとコケティッシュな感じにしちゃったんだろう(笑)
うん、『ジュラシック・ジョーズ』、
なかなかにヤベぇやつでした。
ちなみにこれとは別に『ジュラシック・シャーク』っていう、もっとヤベぇやつも控えてるんですけどね。
いずれそっちも再視聴してレビュー書きたいと思いまーす。
お楽しみに!いや、楽しめないけど!
したらな!
ジュラシック・ジョーズ
1979年 アメリカ・フィリピン製作
脚本: アルフレッド・スウィーニー、アン・ダイアー
監督: チャールズ・B・グリフィス
キャスト: サム・ボトムズ、スザンヌ・リード、ヴァージル・フライ、ケドリック・ウルフ、チャールズ・ハワートン
登場するサメ: オリジナル深海ザメ
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