ロスト・バケーション
育児で外出できない人の強い味方、Netflix。
今日は「ロスト・バケーション」を観たよ!
そろそろ、アホみたいにホラー洋画ばっかり見て何この人って思われてそう(笑)
いやー、子供を寝かしつけつつの鑑賞になるから、映画の途中で子供がグズッたりすることも多いのですよ。
子供を気にしながら、それも何度も一時停止しながらの鑑賞だと、集中力が必要な繊細な映画はなかなかチョイスに入ってこなくて、ついつい気軽なテンションで見れるホラー映画にいってしまうという(苦笑)
さてさて、ロスト・バケーション。
2016年にアメリカで制作されたサメ映画です。
サメ映画っていうと、『JAWS』の大ヒット以来は低予算でB級の駄作ばっかり作られてるイメージっすね。
そういうB級映画をB級映画として楽しめる人ならいいんだけど、まぁ、一般的な映画の基準でいうとハズレ作品はハズレ作品でしかなくて、つまんないよねー。
JAWS以外で一般人でも楽しめるサメ映画なんて「ディープ・ブルー」ぐらいじゃない?
あとは完全にB級映画マニア向けクオリティという悲しい現状(涙)
そんな中で満を持して作られたサメ映画、ロスト・バケーション。
いや、すばらしいっす。
「サメ映画はB級ばかりでクソ」という概念を、しっかりと払拭してくれましたヨ!
さてさて、あらすじ。
毎度ながら完全ネタバレです。
テキサスに住む医学生のナンシー。
彼女は闘病で苦しんで亡くなった母の姿を見て医学の無力さを知り、自身が医者になる意味を見失っているところだった。
そんなナンシーが母との思い出をたどり、母が愛したというメキシコの秘密のビーチにやってくる。
その隠れ家的ビーチは極上の景色と最高の波。
ナンシーはそこでサーフィンを楽しんでいた。
日没が近づいて最後の1本と思っていたところにナンシーは大きなクジラの死骸に気付く。
嫌な予感を感じたナンシーは急ぎ岸へ戻ろうとするが、そこへ大きなホオジロザメが出現し、彼女の太ももに大きな傷を負わせる。
死に物狂いで岩礁の上に逃げた彼女だが、岩礁は人が1人乗れる程度の大きさしかない、岸までは200メートル、太ももには裂傷、サメは岩礁の周りをうろつき続ける、しかも岩礁は翌日の満潮時には水没してしまうという絶望的な状況だった。
麻酔なしで激痛に耐えながら自らの足を縫合し、寒さに耐えてじっと助けを待つナンシー。
ビーチに現れた酔っ払いの男、戻ってきた地元のサーフィン客など、助かる希望に思えたものはすべて無情にもサメの餌食になり、どんどん窮地に追い込まれていく。
体力も水位も限界に近づいていく。
ナンシーはサメの回遊パターンを読み、意を決して30~40メートル先にあるブイへの移動を試みる。
なんとかブイにたどりついたナンシーは備蓄されていた信号弾を使って付近を通る船に存在を知らせようとするが、1発目は不発、2発目は成功するも気付いてもらえず船は去ってしまった。
ここでサメもとうとう我慢ができなくなったのか、ナンシーが乗るブイに猛攻撃を繰り返し、ブイは破壊され水没してしまう。
ここで海底にあるブイ用の重りに気付いたナンシー。
ナンシーは自らをオトリにして、ちぎれた鎖が海中に引きずり込まれる力を利用して海底に。
それを追いかけていったサメは、海底にあるブイ用の重りに口から突き刺さり絶命する。
地元民に救助されたナンシーは、1年後に父と妹とともにビーチに。
様々な困難を乗り越えた彼女は医師としての道を歩んでいた。
おわり
主人公ナンシーを演じたのはブレイク・ライブリー。
ゴシップガールに出て有名になった人らしいけど、スンマセン、自分はゴシップガール観てなかったので知らなかった(汗)
とりあえずスタイルの良い美人さん。
あらすじからも分かるとおり、ほぼナンシー1人が出ずっぱりの映画です。
話の舞台も秘密のビーチだけで、シーンの半分ぐらいは岩礁の上。
ごく限られた人物とごく限られた場所だけでストーリーが進むので、蛇足的な部分はまったくなしでテンポも良く、すんなりと物語に入っていけますな。
舞台を限定させるっていうのはかなりこだわりがあったみたい。
序盤で家族とテレビ電話をしてるときに画面上にテレビ電話のモニターを表示させる演出が違和感あったんだけど、観終わってみれば、これはナンシーからの視点のみに表現を徹底した演出なのかなと。
物語の舞台をこのビーチだけに限定して完結させようという意図なんでしょうね。
この映画で上手いなぁというのは物語の緩急と絶望感の演出。
序盤は最高のビーチで「いぇーい!パラダイス楽しいぜぇ!」というシーンの中で、視聴者に対してところどころに「そろそろサメ来るか?」的な仕掛けを細かく入れて集中力を切らさせず、サメ登場後からはあくまでサメ単体の脅威ではなく「絶望的なシチュエーションによる恐怖」をメインにして演出がされてる。
ナンシーも賢いからいろんなことを思いついて試していくんだけど、それがなかなか功を奏さないんだよね。
めちゃくちゃ必死の思いで弾を込めて撃った照明弾はプスンってなっちゃうし、鯨油でうまくサメを火だるまにしたと思ったらあっさり火は消えちゃうし、とにかく突き放しが多い。
機転!→やっぱダメだった!→新たな機転!→これもダメかーい!っていう展開が、非常にピリピリしていいんですわ。
恐怖感じゃなくて、絶望感と緊張感で攻めてくる感じ。
もしこの映画が恐怖だけを前面に押してくる作品だったら、ここまで集中力持って最後まで観れなかったかもなぁ。
あと個人的にはホラー映画ってシチュエーションが大事だと思っていて。
サメ系のモンスターパニック映画って、「サメ自体が海中にしか存在できない存在」っていう部分がどうしても恐怖の演出をする上で足かせになるんだよね。
ほら、どんなにサメが怖くても陸地に逃げてしまえば安全で安心じゃないっすか。
安全地帯を与えてしまうと、そのモンスターの脅威は薄くなっちゃう。
作り手もそれをわかっているから、安全地帯を排除するために油田施設のような海上に隔離された施設を舞台にしたり、サメ自体に陸上でも動けるような奇抜な進化を与えたりして、視聴者に恐怖を与えようと工夫をするわけだけど。
でも、我々日本人が隔離された海上油田施設に行くことはまずないし、陸上でも活動できるようなおかしな化け物ザメはもちろんこの世にいないわけで、安全地帯を取り払おうと制作側が工夫を重ねれば重ねるほどシチュエーションに現実味がなくなって、所詮は映画の中のお話としてしか観れなくなって恐怖感がなくなるというジレンマがある。
その点、このロスト・バケーションは「穴場のビーチに行ったらサメに襲われて岩礁に孤立する」という、自分たちの身にも起こりかねないシチュエーションで展開するんですよねー。
自分も子供の頃に岩礁が多い場所で海水浴してたから、ものすごい具体的にこのシチュエーションが想像できちゃう。
ホラー映画やサスペンス映画は、この自分への投影性があるかないかで緊張感が15倍ぐらいになる気がする(笑)
あとカモメがいい味出してるね。
CGじゃなくてリアルカモメ使ってるらしいから驚き。
動物界でトップを争うんじゃないかというぐらいの名優でございますw
ナンシーを咬んだシーンが完全にナウシカまんまで笑っちゃった。
個人的には決着シーンだけはちょっと漫画っぽくってアレかなと思っちゃったけどね。
あれだけ長い時間しつこくナンシーを苦しめた悪役だから、視聴者がスカッとするような倒し方にしたかったのかもしれないけど、もうちょっと現実感のある方法が良かったなぁ。
いっそサメ倒さずに脱出だけしても良かったのではとも思う。
ロスト・バケーション、サメ映画好きにはなかなかの良作でございました。
こういうサメ映画いっぱい作ってくれーい!
ロスト・バケーション
2016年コロンビア映画
監督: ジャウム・コレット=セラ
脚本: アンソニー・ジャスウィンスキー
製作: リン・ハリス、マッティ・レシェム
製作総指揮: ダグ・メリフィールド、ジャウム・コレット=セラ
キャスト: ブレイク・ライブリー
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